≪序~だれ?~≫

初めてキャロンが『視線』に気づいたのはとある夏の日の事だった。

その日、キャロンは久しぶりに自分が育ったルーク老人の家を訪れていた。
宮殿の生活に比べることさえ恐れ多い、粗末な木造の家での粗末な食事。
しかし、それが自分が長く育った家での団欒であるのなら話は違う。
久しぶりに王女の肩書を離れて『おじいちゃんの孫娘』に戻る時間はキャロンにとって得難く楽しいひと時だったのだ。


夜。キャロンは暑さから下着一枚というあられもない恰好でベッドにもぐりこんでいた。
とはいえそれは成熟する前からの習慣である。寝る時にネグリジェを着る習慣は城に住む王族にしかなく、村育ちのキャロンにはこの方が自然なのだ。
しかし、薄いシーツは成熟した身体の曲線をくっきりと浮き立たせ、少女が寝返りを打つたびに布はめくれて悩ましく腕や足がのぞいてしまう。
美しく成熟した少女の奔放な寝姿はそれを見る者がいたならば劣情を堪えることなど出来ぬものであっただろう。
そう、見る者がいたならば…

「?」

深夜。眠っていたキャロンは怪しい気配を感じて目を覚ました。
何かは分からないけど、誰かがいるような。そんな気配。いや、違う。目だけがじっと自分を見ているような…?
その気配…『視線』はベッドに横になっている少女の、シーツからのぞいている太ももからお尻に注がれていた。

(何?誰か…こっちを…見てる?…)

どこからかは分からない。けれど確かに『それ』の存在を少女は感じ取ることができた。
あまりに好色なその『視線』が、肌の毛穴まで確かめるような近さで、まるで舐めるようにじっくりとキャロンの臀部を捉えているのだ。

成熟し、豊かに育ったキャロンの身体。王女となってからも剣術をはじめとした運動を欠かさない為、その肉は柔らかでありながら無駄な脂肪はない。
女らしさを際立たせるように膨らんだ柔肉の内側にはしっかりとした柔軟な筋肉がついて、どこも弾力に富んでいる。
ハリがあって形が良く、ツンとした上向きの乳首も美しい乳房、大きくも引き締まってぷりっと膨らんだお尻、カモシカのようにむちむちとした健康的な太もも…
それら媚肉の外側を若々しく、傷のないすべすべした皮膚がしっとりとした艶を持って包み込んでいた。
肌…特に露出の多い肢は少し日に焼けて健康的な血色を醸し出し、オレンジがかった金色のポニーテールや好んで着る赤い服ともよく合っていた。
小柄ながら凹凸のくっきりした、むしゃぶりつきたくなるような瑞々しい肢体は、まるで日の光をたっぷり浴びて熟し、ぎっしり果肉の詰まったもぎたての果実のようだった。

その果実のような少女の肌に『視線』は虫のように纏わりつき、蜜の臭いを嗅ぎまわっている。
壁の向こうか、どこからか。白いシーツから見え隠れしているキャロンの艶めかしい太ももとお尻から匂い立つ雌の香りに誘われるようにして…

(……さっきからお尻ばっかり見て…エッチな視線……やあ…ね……誰…?ペルル?…だったらとっちめてやるんだから……)

ばっとシーツを翻して振り向く。が、誰もそこにはいない。辺りを見回しても、家の壁の向こうにも、木の壁の向こうにも、外にも人の気配は感じない。
外していたリバースの腕輪を見るが全く何も反応していない。ということは魔物でもない。
気になってキャロンは起き上がり、あたりの壁を調べると一か所だけ覗けるくらいの小さな穴が開いているのに気が付いた。

(…?…穴が開いてる…これかしら?)

覗き返してみるがうっすらと外の暗闇が見えるだけだった。シーツで体を隠してから窓を開けて表を見たが、やはり誰もいない。

(…気のせい…なのかなあ?)

キャロンは首をひねりながら一応、と穴を塞いで再びベッドに横になった。
その後は『視線』を感じることもなく、キャロンは眠りに落ちていった。その夜はただそれだけの出来事だった。

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≪幕間~視られている!~≫

だが、その後もキャロンは時折現れるどこからともなく見られているような感覚から解放されることがなかった。
お風呂に入っているとき、街を歩いているとき、キーラに乗っているとき、自室で本を読んでいるとき、トイレにいる時、眠っているとき。
その『視線』はふいに現れてはキャロンの挙動を舐めるように視てくるのだ。
後ろからうなじや肩口を。前から胸元や腋の下を。下からお尻やあそこを。太ももを。服の膨らみを。服の隙間を。露出した肌を。髪の毛や乳房の揺れるさまを。
身体中を舐めるように執拗に、いやらしく。ありえないような角度からでも。まるで間近にいるかのように見て来るのに、しかし実態はどこにもいない。
それはいつもそこにいて、キャロンが気づくとふっと遠くに離れていく。

(気味が悪い…何なのよ…もう…!)

しかも『視線』はひとつだけではない。いくつもの目がいくつもの方向から、近くから遠くから見てくるのだ。
そのすべてがキャロンの一挙手一投足をじっと見つめ、視姦してくる。恥ずかしいし、気持ち悪い。
キャロンは窓を閉じたり、カーテンを引いたり、あたりを探したりしたが、その正体は結局わからないままだった。
苛々したり、感情的になる時もあったが、そのうちに少女は諦め、努めて気にしないようにすることにした。
『視線』は何もしてくることがないと分かったからだ。しかしそう自分に言い聞かせようとしてもやはりどこかで気にはなってしまう。
そんなもやもやとした日々がしばらく流れた。

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Act.1「めばえる」

さて、処女のように爛漫な少女であるキャロンだったが、その身体は実はもう無垢ではない。
まだ未熟な少女だった彼女が伝説の剣士となり、魔王との闘いを繰り広げた日々の中で彼女の貞操は奪われてしまったのだ。
やがて傷は癒え、記憶も薄まり、少女は王女として、伝説の剣士としての平和な毎日を送っていた。
しかし、彼女がつけられた傷は自身が意識しなかったとしても身体が熟れるにしたがって徐々に傷口を広げ、そこから蜜を漏れ出させてしまう。
若く、芳醇な蜜を湛えた瑞々しい肢体を持つ少女。『視線』はその後も蜜の薫りに誘われるように現れ、何度も彼女の体をその視線で犯していた。
少女はそれを知りながらどうすることも出来ずに日々を送っていたのだ。
そしてそのうちに少女の日常に変化が訪れる。それは心より先に身体が成熟して花開き、女になってしまった少女の宿命のようなものだった。


「はぁっ…あ、あぁっ…う、んぅっ…んんっ…はぁっ、あくぅんっ…い、いや…ぁっ!だ、だめ…あぁっ!」

その夜。王女の寝室でキャロンは衛士であるマリオの腕に組み敷かれていた。
夜着は乱暴に剥ぎ取られて床に放り捨てられている。瑞々しい裸身はベッドの上に押し倒され、広げさせられた肢の間には逞しい牡の体があった。
裸の男の筋肉質の裸身が小柄な少女に覆いかぶさり、太く黒々とした逸物が少女の狭い秘部を割り開き、膣道を深々と貫いていた。
キャロンには恋人がおり、それは衛士ではない。その恋人でもない男に抱かれているというのに、少女の顔には喜色こそあれ、嫌悪は浮かんでいなかった。
むしろ男の首にすがりつくように腕を回して自ら唇を重ね、蕩けた表情を浮かべて舌を突き出し、男の舌に絡ませたりしていた。

「あぁぁっ!あっ、はぁっ!あんっ!あぁんっ!んっ、むぅ…ちゅ…んぁ…ふぅっ…はぁ、はぁ、んぁっ!あっ!そこ…あぁっ!」

豊潤な乳房を貪らせ、瑞々しい唇を奪わせ、むっちりと膨らんだ尻肉を弄らせ、弾力に満ちた太ももを思うままに味あわせ、彼女は快感に喘いでいる。
汗にまみれた肢体をくねらせながら男の身体に擦りつけるように縋り付き、より快楽を味わおうとする姿は昼間に見せる快活な乙女のものとはとても思えない。
まるで娼婦のような、ただ快感だけを求めるような男女の交わりがそこにあった。
そう、彼女は自らを犯させる為にこの衛士を自分の部屋に招き入れたのであり、衛士は望み通りに王女を抱いているのだった。
性には奔放なこの世界である。情夫の一人や二人、珍しいことではない。それが王族であったとしても。ただ、彼女の場合は少し事情は異なっている。
魔王の手で性の扉を開かれ汚された体が成熟することで無意識に牡を欲するようになり、耐え切れなくなってしまっていたのだ。

「あんっ…は、あ…ふぅっ…ん、あっ…あぁぁっ!…あはぁ…っ…いい…の…っ…きゃ…ぁっ、あっ、あぅっ…イきそ…ぅっ!…あぁぁっ!………えっ!?」

人間としての初めての相手でもあり、今は情夫でもあるこの衛士との関係はもう一度や二度どころではない。
最初は遠慮がちで、隠れるようにして始まった関係だったのが、いつしか侍従たちの間でも公然の秘密と化し、白昼堂々と行われるようにもなっていた。
衛士の性技は少女の身体の弱点を知り尽くすほどに熟練し、少女の身体は衛士のモノにすっかり馴染んで、容易く、何度も絶頂を迎えてしまうほど回数を重ねていた。
男の大きな手に弄ばれるように身体を揺さぶられ、愛撫と注挿に感じ入って昂奮に赤らんだ体を身悶えさせ、はしたない嬌声をあげながらいつものように快楽に耽るキャロン。
背筋を貫くぞくぞくとした官能に少女がアクメに達しようとしたその時、いつもセックス中には感じなかったというのに、ふと例の『視線』がいるのを感じた。

(えっ?…や、この視線…また…?い、いやっ…!だめっ!…今、イキそうなのに…っ…いや、見ないで!…いやぁっ!イクとこ、見ちゃだめぇっ!)

一瞬、キャロンは快楽の世界から素に戻ってしまい、思わず目を見開いて辺りを見回してしまう。
しかし『視線』はいつものように姿なく、困惑するキャロンにお構いなしといった風に近寄り、肢体へと絡みついてゆく。
汗ばんで艶っぽく輝く肌に。快感にぷっくりと膨らんだ乳首に。喘ぎ、溜息を漏らす半開きの濡れた唇に、そして痺れたように突き出される赤い舌に。
赤らみ、涙の浮かんだ目元に。痙攣し、ぶるぶる震える太ももと内股に。そして深々と貫かれて充血し、蜜を溢れさせているあそこに。
蕩けた肢体を牡の手にすっかり委ね、はしたなく大股を開いて牡のモノを咥え込み、あられもなく喘いで痴態を見せ、絶頂を希求する…
それはキャロンが最も女として、牝としての自分を曝け出してしまっている姿だった。それを『視線』は少女自身に意識させてしまう。

「あぁぁっ!ダメ、ダメぇっ!あっ、あぁっ!いや、いやぁっ!あっぐ…んっぅっ!イっちゃ…あぁぁぁぁぁーーーーっ!」
(いやっ!見ないで!だめ、だめっ!恥ずかしいっ…こんなとこ見ないで!…いやぁっ!そんなとこまで、見ちゃいやぁっ!)

あまりの恥ずかしさに激しく首を振り、衛士の首にすがりつくように腕を回し、男の体で自らを隠そうとするようにきつく抱きつくキャロン。
いつもより激しい反応に衛士は一瞬戸惑う。しかし『視線』には気づいていないのか、モノを深々と突き込むとキャロンの最奥を擦り上げ、絶頂へと導いてゆく。
密着したままの状態でがくがくと身体を揺さぶられ、激しい突き込みに一気に我を忘れさせられてしまうキャロン。
元々絶頂間際の身体である。ポルチオへの刺激に拒むことができるはずもない。あっという間に少女は快楽の極みへと登り詰めてしまう。

「あぁぁっっ!はぁっ、はぁっ、あ、だめ、もう、い、イクぅっ!だめぇっ、みないで…っあ、あぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」
(いやっ!…あ、もうダメっ!あたし、イっちゃう…っ…えっ?…なにこれ?…あっ、これ、いつもより…すごっ…だめっ…あ、ああぁぁぁっ!!!)

子宮の入り口を男のモノに擦りあげられてはしたなく絶頂し、混乱しながら一際高い嬌声をあげる少女。
何という因果か、『視線』に羞恥を煽られながら達した結果、キャロンは通常よりも強烈な絶頂感を味わってしまったのだ。
男の身体にきつく縋り付いて潮を結合部から噴出し、全身をひくひくと痙攣させながらエクスタシーに浸る少女の様を『視線』は一部始終見届けていた。

(……やだ………イクとこ…見られちゃった…恥ずかしいよ…)

力の抜けてゆく腕を衛士の背中に回したまま、男の体の下で荒い吐息を吐くキャロン。恥ずかしさと快楽の余韻に少女の顔は赤く染まったままだ。
そんなキャロンの恥じらうさまを、『視線』はじっくりと観察し続けていた…

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≪幕間~ひらく~≫

その後くらいから『視線』はたびたびキャロンがセックスをしているときにも現れるようになった。
キャロンがどんなに対策しようが『視線』からは逃れることは出来ず、恥ずかしい思いを重ねるだけだった。
そして視られる回数が増えていくにしたがってどうやら『視線』はキャロンだけにしか感じられないものだという事に気づいていった。
自室で、森の中で、秘めごと場で、水車小屋で。衛士としている時、恋人としている時、はぐれ村人の浄化をしている時、そして魔物に犯されている時…
その『視線』は現れるとその一部始終を見届けて消えていく。『視線』は毎回現れるわけではないが、現れてもやはり何もしようとはしない。
試しに犯されている時に助けを求めてみたこともあったが、その時も何も変わらなかった。
キスしている時も、胸を揉まれている時も、秘裂を弄られている時も、男のモノをしゃぶっている時も、花芯を舐められている時も、お尻を貫かれている時も。
『視線』はどこにでも現れて、いつもキャロンが辱められ、乱れ達するまで、じっと絡みつくような、執拗なまでの好色な目で見ているのだ。


そして恥ずかしい思いを繰り返すうちに、いつしかキャロンは視られている時にいつもより気持ちよくなってしまっている自分に気が付いてしまう。
少女は知らないことだが、女は人の視線を意識することで軽度の興奮を覚え、色気を増し、美しく磨かれるといわれている。
キャロンは自分にしか感じられない『視線』に見られて昂奮し、視られながら達する倒錯した快感を覚えてしまったのだ。


それからというもの、キャロンは少しづつ大胆になっていった。まず手始めに外を歩くときの服のサイズを日ごとに変えた。
小さい服を着て肉に服を食い込ませ、むちむちした身体を強調したり、逆にゆるい服を着て服の隙間をチラチラと覗かせたりしたのだ。
『視線』が現れると、かがんで物を拾ったり、しゃがんだり、のびをしたり、隙を見せて誘うような仕草をして、キャロンはその度に体の奥に点る火を感じていた。
ある時などは下着をつけずに出歩いたりもした。服が密着し、こすれて乳首が勃ってしまったり、風にスカートがめくれてしまったり、汗で透けてしまったり…
流石に短いスカートに下着なしで歩いた時などには、あまりにどきどきして気が遠くなりそうになったりもした。

また、川や池に涼みに行っては布を巻きつけただけのような大胆な水着で泳ぎ、衛士や恋人を誘って行ったときは裸で泳いでそのまま屋外でセックスをしたりもした。
部屋では透けるように薄いネグリジェや下着姿で過ごし、窓を開け放ったまま全裸で眠ったり、覗いてくれと言わんばかりの行為を繰り返すようになった。
『視線』を挑発するような振る舞いは、結果として村人たちの視線も集めることとなり、視られる毎にキャロンの昂奮は日に日に倍増してゆく。
市井では「王女は色っぽくなられた。結婚でも近いのだろうか」と噂になっていたのだが、彼女は噂にまったく気づていなかった。


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Act.2「ゆめみる」

そしてある夜。
キャロンは全身に広がってゆく、むずむずとした感覚に半ば覚醒する。
その感覚は自分の下半身から鐘のように打ち鳴らされては波紋を描き、さざ波のように体中に染み渡ってゆく。
甘い鐘の響きに指先までが悦びで震えだす。少女の身体は既にそれが快楽であると知ってしまっている。
ゆっくり目を開くと自身は全裸で、身体は上も下もない桃色に光る空間の中に、まるで水の中にいるかのように浮いていた。
空間は暖かく肌を包み、穏やかな桃色の光を見ていると頭の中にゆっくりと靄がかかり、身体が暖かくなってくるようだった。
そして、下半身に生まれているむずむずした違和感が徐々に強くなって来て、ようやく自分の身体を確認する。
内股の間。花芯を押し潰しながらスリットを割り開き、深々と突き立てられている太い触手を目にして、少女はようやく犯されていると認識した。

(ああぁっ……)

認識すると同時に全身へ甘い痺れが走り、キャロンはおとがいを跳ね上げ、空間に浮かんだまま背筋を反り返らせる。
触手はどこからともなく伸びてきて、キャロンの内股の間に潜り込んで陰唇を押し開き、膣道を貫いて子宮口にまで達していた。
いつから挿入されていたのか、その逞しさと柔軟さを兼ね備えた逸物に少女の体は既に痺れさせられてしまっている。
それまで蠢きを緩めていた触手はキャロンの意識が戻ったとみるや、注挿を再開した。

(…ま、また…こんな…夢…っ…あ、うぅっ…んっ!ああっ!ひゃ、は…くぅんっ!…あ…んんっ!)

奥を擦られて痺れる肢体を悶えさせ、桃色の空間の中にキャロンの喘ぐ声が反響する。
キャロンはこの状況が夢だと認識できていた。淫夢を見てしまうのは魔王との戦いの後からの事で、もう数えるのも諦めたほどになっていたからだ。
淫夢の内容と舞台や相手は毎回さまざまだが、いつも決まっているのは必ず犯されるという事と、絶頂するまで夢は醒めないという事だ。
それでも夢だからといっていつも凌辱を受け入れることなど出来ない。痺れだした体で必死にもがくが、膣奥に深々と突き立てられた触手は出ていこうとしない。
ごつごつした触手の襞が膣壁に絡んで抜けるのを防いでいるのだ。おかげで拘束されてもいないのに体が完全に繋ぎとめられてしまっている。
膣内で膨らんだ熱い肉茎のいやらしい感触が少女の秘部を乱暴に蹂躙し、どくどくと脈動して少女の鼓動に同調させてゆく。

(あぅっ…んんっ!…ぐ…はぅんっ…あぁっ、あっ…はぁっ…あっ…いやぁんっ…あぁぁぅっ!は、あぁっ!)

ならばと両手で触手を押し留めようと握るが、手に力が籠められず抜くことはおろか、荒ぶる肉塊の蠢きを抑えることさえ出来はしない。
肢体は注挿に胎から揺さぶられて感じ入り、すっかり乳首が勃ち、昂奮が抑えきれない乳房が縦横に揺れ動く。
触手のピストン運動は勢いを増し、キャロンの膣内の襞の一枚一枚まで擦りあげ、脳内を快楽で染め上げてゆくのだ。
身体は痺れ、漏れ出る声は既に甘く蕩けてしまっている。貫かれているあそこはとめどなく蜜を溢れさせ、花芯を膨れさせて喜んでしまっている。

(あぁぁぁっ!あ、あぁんっ!はぁっ、はぁっ、ふ、ぅぅっ…はっ…あっ…く…んんっ!はぁっ、あ、ひゃっ…あくぅんっ!)

性感を煽るような桃色に光る空間の中でキャロンの身体は触手1本に翻弄され続ける。
上下の感覚もなく、自分が空間の中に触手で繋ぎとめられているような錯覚を覚え、キャロンはいつしか触手を強く握りしめていた。
両手で太いモノに掴ると脈動する逞しい触手の動きに頼もしささえ感じて頬が緩んでしまう。
触手を撫でて刺激し、もっと自分を犯させようとさえし始めてしまう少女。触手の熱と脈動に身体はすっかり飲まれてしまった。
熱に浮かされたように顔を朱に染めた少女は身悶え、喘ぎながら自らを快楽の淵へと追い込んでしまう。

(…あぁっ……こんなの…ダメ…きもちいい…あそこが…じんじん痺れて…たまらないよぉ…っ…あぁぁっ……おちる…あたし…おちちゃう…)

いつの間にか手はより快楽を求めて自らのクリトリスを弄りだしていた。快楽に弱い少女の身体は夢の中で今回もまた容易く陥落してしまったのだ。
やがて脳裏には初めて犯された時の、あの感覚が身体に鮮烈に蘇ってゆく。ラモー・ルーの触手。まだ未熟だった身体に刻みつけられたあの逞しさと熱さ。
あの時からいくつも経験を積んでしまった体だからこそ分かってしまう。あれは紛れもない快楽の極み。至上の魔悦だった。
そして思考力を奪う桃色の光の中に目がいくつも浮かび上がる。それはどれもあの記憶にある赤い光を放っていた。
あの、少女を快楽の世界に堕としたラモー・ルーの目が無数に浮かんで取り囲み、成熟したその身体を赤い光で舐めるように炙ってゆく。

(…だめ……あの赤く光る目………だめ…なのに……ラモー・ルーの…目…あぁ…熱い…あたしの身体……燃えちゃいそう…)

切なげな潤んだ瞳で赤く光る眼を見つめ、ぎゅっと自分の身体を抱きしめるキャロン。下腹の奥からとめどなく湧き上がってくる疼きが抑えきれない。
火照った肢体はどこもかしくこも心地良く、抱きしめた自分の腕の感触ですら性感を刺激してしまい、膨らんだ胸の先端で赤く尖った乳首がふるふると震える。
そうしているうちに夢の中で少女は忌まわしいはずの記憶を呼び起こしてしまう。赤い視線に肌を炙られ、触手ペニスに胎内を貫かれ、身体中が快楽の炎で炎上してゆく。
そして幾度も凌辱を追体験して堕落していってしまう。いつしかキャロンの脳内は快楽に蕩け、無意識に肢を大きく開き、腰を蠢かして触手を深く迎え入れようとする。

(あぁっ…あっ…はっ…はっ…はぁっ…んっ…あぁっ!…エッチな声っ…響いて…あうぅっ…はぁんっ!…あぁぁっ!はぁっ、はあっ、あぅんっ!)

夢の中では自分の喘ぐ蕩けた声が無限に脳内で反響する。少女は快楽に堕ちた事を自覚させられる恥辱の中へ溺れてゆく。
突き込んで来る触手の蠢きに汗まみれの肢体を完全に委ねてしまい、蜜を滴らせ、髪を振り乱しながら絶頂へ駆け上ろうとするキャロン。
赤い視線はいつしか粘液のように赤く可視化して身体に絡みつき、少女の乱れ喘ぐさまを味わいつくそうと煽り、肌を焼き焦がす。
触手は脈打ちながら太さを増すと一層動きを激しくし、少女の狭い膣内を擦りながらポルチオを何度も叩く。
キャロンは高みからラモー・ルーが嘲笑うように見下ろしている姿を幻視しながら抗えぬ快楽に身悶え、魔悦の手中へと沈んでゆく。

(あぁっ、ダメ…イく…イっちゃう…あぁっ!……イクのぉっ…はぁっ…あ…あたし…っ…あぁっ!…もう…うぅっ…あぅっ!…あっ…あっ、あぁぁーーっ!)

触手がドクン、と大きく脈動し、胎内に白濁液がぶちまけられると牝の幸せに脳内が白く染め上げられる。
キャロンは忌まわしいはずの魔王の触手凌辱を夢に見て絶頂してしまったのだ。
身体を支えていた触手が抜かれ、キャロンの身体は何もない空間の中に放り出される。
びくびくと全身を痙攣させながら、押し寄せて来る浮遊感と開放感、脱力感が一気に少女の心を押し流してゆく。

「…そうだ…キャロン…これがお前の本当の姿。お前の本当の望みなのだ…」

力を失って目を閉じ、消えてゆこうとする意識の中、魔王の声が呪いのようにキャロンの耳元に囁きかけていた。
夢の中は彼女の精神世界。魔物に影響を受けているとはいっても少女自身が快楽を求めていなければこうはならない。そう言って、彼女を追い詰める。
少女はその声に言い返す言葉も思い浮かばないまま、目を閉じて快楽の余韻に身を任せた。

そしてキャロンが夢から覚醒して世界から姿を消すとピンク色の光に紛れて遠くから視ていた『視線』たちは消えた。まるで彼女を追いかけるように…

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Act.3「おちる」

はっと気づくとキャロンは自室にいた。ネグリジェ姿で床に倒れていたのだ。
あたりは暗く、窓から見える月も高いので真夜中であることが分かる。起き上がると吐息が荒く、顔が熱かった。

「…また…エッチな、夢………」

少女はふらふらとベッドへ向かう。セックスをした後のように全身が火照り、疲労感を覚えていた。
部屋着は汗にべたつき、下着は夢に身体が反応して濡れてしまっていたので脱いで脱衣籠に放り、パンティとパジャマの上だけ着る。
本当はお風呂を使いたかったが、こんな夜更けでは流石に使えない。

「はぁっ……」

ベッドに寝転がり、目を閉じるがとてもすぐには眠れそうにない。胸に手を当てると鼓動はまだどきどきと高鳴っていた。
そしてさっきまで見ていた淫夢を思い返してしまう。いつものことだが、リアルな夢。そして実際体験したかのように身体には余韻が残っている。
触手の愛撫に感じてしまっていた自分。あそこを貫かれて悦んでいた自分。魔物の膣内射精に絶頂してしまった自分。

「……本当の……あたし…」

夢から醒める時に囁かれた言葉が無意識に口をついて出る。
キャロンの脳裏には先刻までの自分が犯されている姿が客観視されたようにはっきり映し出されていた。
はしたなく肢を広げて触手を咥え込み、ひくひくと蠢いて快楽に反応していた腰。何度も胸を反り返らせ、ぶるぶると震えていた上体。
自ら乳房やクリトリスを弄っていた手。あられもなく喘いで髪を振り乱し、涎と涙を零しながら快楽に翻弄され続ける蕩けた自分の顔。

「あたしの……望み…」

肉欲に負けて打ち震える自分の身体が目蓋の裏に蘇る。犯されながら悦んでいた自分の顔。白濁を浴びせられて蕩けた、幸せそうな笑顔。
思わず首を振る。そんなこと認めたくない。あたしはそんなエッチな子なんかじゃない。
でも…身体が嘘をつけない。お腹の奥から湧き上がる熱い疼きは自分の言う事を聞こうとしない。そう、現にこうして…

「あぅっ…」

胸の上に置いていた手が優しく服の上から乳房の形を確かめるように包む。すると鞠のような弾力を感じると共にじんわりと快感が染み出てくる。
ぎゅっと目蓋を強く瞑り、快感が体を通り抜けてゆくのに耐える。通り抜けた後、もう一度…もう一度だけ味わいたい…と体が訴えかける。
むずむずとした感覚が身体を埋め尽くす。耐え難い快楽への欲求。我慢をするために必要な少女の心のブレーキはあの時、奪われてしまっていた。

「…ダメ…だめなのに…」

手は身体の声に逆らえずゆっくりと動き、寝間着の上から乳房を弄りだす。乳首が歓んでむくむくと起き上がり、薄布を持ち上げてゆく。
そして、まるで自分のものではないように手が蠢きだす。こうなってはもう、止められはしない。身体の疼きが少女の心を蝕み、どんどん溶かしてゆく。
手が胸の高鳴りと乳房の弾力を自らで味わうように優しく揉むとキャロンの喉から切なげなため息が密やかに漏れ出てくる。

「はぁっ……あ……あ…ふぅ…んんっ…」

起き上がった乳首を親指の腹で撫でるとじんじんとした快感が胸の奥へと突き抜け、緩みだした口元から出る熱い吐息が徐々に止まらなくなってくる。
疼きは全身に伝播し、無意識に足が蠢きだす。膝を立てたり、太ももをすり合わせようとしたりして少女の健康的な肢が白いシーツの海を艶めかしく泳ぐ。
その奥、白い下着の中央には既にはっきりとした蜜の染みが浮かびだしてしまっていた。

「ぁ……あ……っ…はぁ…はぁ……んっ…はぁっ…あ…」

快楽はさざ波のように湧き上がって体中を満たしてゆく。体温が上がり、はぁ、はぁ、と熱い吐息を零す口元が更に緩んで赤い舌が伸び、乾いた唇を舐める。
目元が赤らみ、額は湿り気を帯びていた。キャロンはボタンをはずして胸元をはだけさせ、しっとりと汗ばんだ乳房を露出させると再び揉みしだく。
揉むたびに胸の奥からとめどなく、違うリズムで湧き上がってくる妖しい快さに甘い声が漏れ出そうになるのを指を噛んで我慢しようとする。

「あぁっ……ん…ぅ…はぁっ…あ…あ…っ…は…うぅっ…はぁっ…はぁっ…あっ…いい……っ」

布越しではない、素肌の強い感触にキャロンの身体が震え、背中がぐっと反らされる。
手は夢中になって自分の胸を揉み立て、乳房はぐにぐにと柔軟に形を変えながら内側から溢れる快感に膨れだして手を押し返していた。
やがて片方の手がお腹やおへそを撫でながら太ももへと滑り、そのままもじもじとすり合わせられ続けている太ももの間へと伸びていく。

「んっ…あ…あぁ…はぁ、はぁ…はぁ…っ!…んぅっ!…く…ぁ…は…はぁっ…はぁっ…ぁ…っは…んんんっ!」

肢体を駆ける快感に吐息が漏れ、痺れた口元が緩み、次第に声が溢れるようになり、喘ぎが耐え切れなくなってゆく。
下着の上からなだらかに盛り上がっている恥丘へと指を滑らせれば、着替えたばかりなのにそこはもう蜜が溢れてしっとりと濡れてしまっていた。
指を蠢かせるとさっきよりも強い快楽の波が体中を駆け抜けてゆく。指を止め、一呼吸置いてもう一度触れる。
中指が花芯に触れ、緩慢で甘い痺れが下腹から広がってゆく。もう一度、もう一度、と続けるうちにもう指を止めることを考えられなくなる。

「あぁ……っ…んっ……だめ……手…とめられない…よ…ぉ…っ…ん…うっ!…は…ぁ…ぁ…っ…はっあ…あぁっ!…んっ…ぅぅっ!」

敏感な快楽中枢である淫核への愛撫で生まれる快楽は麻薬のようなものである。一度味わえばもっと強い刺激を体が求めて止まらなくなってしまう。
腰を浮かせて蜜に濡れた下着を下ろし、あそこを覆うように手で触れる。陰唇のふにふにとした感触と同時に粘った蜜が指に絡まって来る。
そのまま指を立てて指に蜜を絡めながら陰唇を撫でつつ、真珠のような花芯を人差し指で優しく触れる。
男を知り、幾度も愛撫され、淫らに育てられてしまった少女の花芯。そこは快感に充血してぷっくりと膨れ、包皮を自らめくりあげて蜜を溢れさせながら輝いていた。

「あぁっ……ぁ……っ!はぁっ…あ…く…んっ…んんぅっ!…ぁ…あっぁ…はぁ、はぁ、はぁ…あぁっ!」

敏感な花芯から、じん、と体に甘い電流が走る。強く目をつむり、涙が零れ落ちる。大きく息を吸うと全身の毛孔が開きだしたかのように息づいてゆく。
快楽を知ってしまった少女の身体は完全に抵抗を失い、もはや止められない。自分の意思とは無関係に指が動き、自慰に耽ってしまうのだ。
キャロンの心は自分の指が快楽中枢である花芯を捏ねるたびに溢れ出す快楽の奔流に押し流され、気づかぬうちに歪んでゆく。

「あぁっ…あっ…ん…はぁっ…んんっ!…あ…うぅっ…んっ…ぁ…あぁ……もう…がまんできない……」

身体から湧き上がる熱に耐え切れなくなったキャロンは服をすべて脱いで全裸になり、射し込む淡い月明かりにその美しい肢体を晒しながら一層自慰に没頭してゆく。
汗にしっとり濡れた背中が浮き上がり、カモシカのような肢は快楽の逃げ場を探すかのように動き続け、太ももを幾度も震わせ、腰が勝手に蠢きだす。
自分の指に翻弄されて身悶える少女。経験を重ねてしまった体は感じやすく、またどうされれば気持ちよくなるかを身体が知ってしまっている。
こんなのは自分ではない、と強く思えば思う程、指は経験をなぞって自分の意思を無視したように蠢き、まるで他人の指のように少女を弄ぶのだ。

「あぁっ…だめ…い、いやぁ…あっ!…あ…んっ…やめて…あっ…はぁっ…あんっ…く…ぅ…っ…あぁっ!…」

やがてぎゅっと閉じられた目蓋の奥に淫らな記憶の数々が蘇り、指はその体験をなぞるように自身を犯し出す。
マリオの愛撫が、操られた村人たちの愛撫が、快楽の記憶が脳裏に蘇るにつれてキャロンの手の動きは徐々に激しくなってゆく。
少女の経験はその実、ほとんどが強姦である。乱暴に押し倒され、身体を押さえつけられ、強引に胸をまさぐられ、無理やり足を広げさせられ、あそこを舐められ…
ごつごつとして節くれだった手、筋肉質の厚い胸板、脂肪でぶよぶよした中年男の腹、乳房をくすぐる胸毛の感触、唾液と舌の味、昂奮した息、熱い逸物、精液と汗の臭い…
思い出すごとに少女の手は乱暴に乳房を弄り、足はより大きく広げ、指は激しくあそこを掻き混ぜる。少女は一人、妄想に犯されて激しく喘ぎ、身悶え続ける。

「あああっ!…ひゃ…んくぅっ…いや、いやぁっ…!…あぁっ!やめて…おねがい…あぁっ!だめ…はぁんっ…さわっちゃ…あぁぁっ!はぁっっ…んんっ!」

そしてそれでも足りないとばかりに記憶は人間との行為だけでなく魔物たちの凌辱にまでたどり着いてゆく。
戦い、負けた時の。罠に落ちて捕らえられた時の。魔物たちの獣欲の餌食となった時の。蜜を啜られた時の。辱められ、なお快楽を得てしまった凌辱の数々。
少女の身体を捉えたさまざまな触手。カエル型のぬめぬめした肌と長い舌、獣型のちくちくした体毛、スライムのぬるぬる、オーガの巨根、オークの臭い、その他数え切れない記憶。
溢れた蜜を指に絡ませては舐めるような手つきで体に塗り、シーツに手足を絡ませて自分を拘束し、自分の指を陰茎にするように舌を這わせ、舐めしゃぶりながら喘ぎ悶える少女。
キャロンは今や忌まわしいはずの記憶さえ快楽の糧にして自ら溺れ、淫乱に喘ぎ続けているのだ。

「あぁっ…い、いれちゃ…ダメ…あっ!…あ…んぅっ!…ぁ…やぁんっ……あっ…だ…だめぇ…っ…そこ…そんなに…されたらっ…あぁっ…」

淫らな自分に抵抗しようとした結果、より淫らに溺れてしまう少女。自分は犯されているのだと妄想しながら自分の手を動かし続けてしまっている。
犯されるセックスに快楽を感じていること自体をおかしいと思うことが、少女にはできないのだ。
そのうちに耐え切れなくなったキャロンの指が下へと滑って小陰唇をめくり、中指が挿入を意識したような猛々しさをもって襞を掻き分け、膣口へと潜り込む。
いくつかのモノや触手、舌を思い出しながら指は暖かな膣口付近を捏ね、途中でくの字に曲げて敏感な処を撫で擦りだす。
天井のつぶつぶとした肉襞を指で舐めると鋭い快感にキャロンの身体がびくんと跳ね、胸を高々と突き上げて震えた。

「あぁぁっ!……や、あっ…ぁ…んんっ…く…はぁっ…はぁっ…や…あぁっ!…か、感じちゃう…っ…あああぁんっ!」

大きく喘いであごを跳ね上げたまま震え続けるキャロン。指を2本に増やし、ぐちゅぐちゅと音を立ててあそこから溢れる蜜を掻き混ぜる。
そして少女はとうに気づいていた。自慰を始めた頃から『視線』が少女を視ていることに。
それらは記憶の中の目に重なってゆく。マリオや輪姦する村人たちの目に、凌辱された時の、周囲を囲む獣欲に満ちた魔物たちの目に。
そして自分を犯す全ての牡たちの目に、犯されている自分の目に、それらすべてを見ている魔王の目に重なってゆく。
そうして欲情に駆られた熱い視線たちに炙られるようにしてキャロンの身体と心は倒錯し、燃え上がっていってしまうのだ。

「あぁっ……はっ…あっ…目…目が…っ…はぁっ…はぁっ…見られてる……あたしが犯されるとこ…みんな…視てる…あぁっ…だめ…だめぇ…見ないで…」

いやいや、と首を振るキャロン。しかし嫌がるような言葉とは裏腹に体は更に熱く火照り、手の動きは激しくなり、悶える身体の動きも大胆になってゆく。
左手は乳房を強く捏ねて乳首を抓り、右手は指を深く膣内へ埋め、親指で花芯を押しつぶす。
キャロンの脳裏では今、最も忌まわしく、最も心に刻まれている魔王の触手の感触が蘇り、妄想の記憶たちを一つの風景に収斂させていった。
あの触手と熱い舌に身体中を舐めまわされ、魔王の逸物に蜜の極めを奪われて犯されるその様を配下の魔物たちと操られた村人らがギラギラした目で見ている。
粘液と汗と蜜にまみれ、魔王の愛撫に翻弄される裸に剥かれた少女。犯され、淫らに喘ぐ口元から零れる涎までもが鼻息のかかるほどの間近で見られている。
陥落した少女は快楽に蕩けた顔を晒して嬌声をあげ、肢体をくねらせて汗と蜜を振りまき、その痴態と牝香で見ている牡の劣情を煽り立てる。
魔物たちも操られた人間たちも揃ってキャロンの痴態に昂奮して息を荒げ、今にも襲い掛からんばかりの目で少女の身体を視姦しているのだ。

「あぁっ……い、いやぁっ…み、みないで…えっ…あっ…んっくぅ…あぁ…だめ……はぁっ……きもち…いい……っあ…んぅっ!…く…ぁ…っ!」

頭の中までが痺れて混乱し、爛れた妄想に耽りながら嬌声をあげ、自慰の快楽に身を沈める少女。もう、声を我慢しようとしていた事も忘れてしまっている。
充血した秘裂は少女の指に掻き回されて陰唇の内側まで晒してしまっている。そこから溢れたとろりとした蜜が太ももを伝い、シーツに落ちては沁みを広げてゆく。
少女はすっかり淫蕩に染まった体を『視線』にむしろ見せつけるかのように開き、夢中になって指で自らを犯しながら絶頂へと駆け上がってゆく。
髪を振り乱し、白い喉を天井に晒す。腰が浮き上がり、太ももは痙攣し、肢がぴんと張りつめて、足指がシーツをつかむ。

「あぁぁっ……イきそうなの…っ……見て…あたしがイクとこ…見て……あぁっ…はぁっ…はぁっ…見てぇっ…あたし…見られながら…イっちゃうの…ぉっ!」

喘ぎながらうわごとのように誰もいない虚空に向けて呟くキャロン。目蓋の裏では無数の目が間近に迫ってキャロンの痴態に昂奮しているのだ。
自分のあられもない姿を見て昂奮しているだろう存在を感じることで羞恥心と背徳感が煽られ、昏い悦びが身体を走り抜けて少女は背筋をぞくりと震わせた。
これが、自分の本心なのだ。自分はこうして犯されたいと望んでいるのだ。これが自分の快楽のかたちなのだ。と内なる声がする。
赤らんだ頬が更に緩んで熱い溜息がこぼれる。『視線』の存在を間近に感じ、いけない歓びに目覚めさせられながらキャロンの身体は再び絶頂を迎える。
指を花芯とGスポットに強く押し当てながら痙攣する身体を張りつめさせ、内側を駆け抜ける特大の電流にぎゅっと目を閉じて唇を噛みしめた。

「あぁぁぁぁぁーーーーーっ!!っ、く、はぁっ…っくっ…んうぅぅぁっ!…イク…いくぅぅぅっ!…ぅんんっ!…んんんーーーーっ!!」」

細い悲鳴と発情した牝猫のような呻き声が少女の喉から迸った。物狂おしいほどの悦びが全身を貫き、ぴんと伸び切った肢体と意識を真っ白に染め上げる。
その瞬間、指を突き込んで広げた秘裂からぷしゃぁっと透明な潮が迸った。痺れきった陰唇は指を咥え込んで締め付けながら別の生き物のようにひくひくと痙攣している。
キャロンの身体は浮き上がるような開放感と甘い痺れ、そして脱力感。そしてもう、何もいらないと思えるほどの充足感に満たされてゆく。
蕩けきった恍惚の表情を浮かべ、ひきつった体をしばらくぶるぶると震えさせると、キャロンは肢体をベッドの上にどさりと投げ出した。

「はぁ、はぁ、はぁ……ぁ…はぁ…っ…は…」

ベッドの上で際限なく弛緩する少女の肉体。汗まみれの乳房が上下し、あそこから溢れた潮がシーツに染み込んでゆく。
完全に力の抜けた手足を投げ出し、キャロンは荒い息を吐きながらじわじわと波打ち続ける絶頂の余韻に浸り続けていた。
しばらくして涙がこぼれるほど強く閉じ続けていた目をゆっくりと開く。そこは魔王の城でもあの森でも秘め事場でもなく自分の寝室で、周囲には誰もいない。
ほっとすると同時にキャロンの胸にはどこか寂しさが去来する。あれほど激しく達したというのに身体には快楽の残り火がまだ点っていた。
なんとなく物足りない、そう思ってしまう程少女の心は快楽への希求に染められてしまっているのだ。

「…………」

キャロンは裸身のまま、天井を見上げる。身体はぐったりとしているが胸は熱い。胎の奥の疼きは収まる気配もなく、当分眠れそうにない。
月は高く、深夜では誰も呼べない。階下にいる今日の不寝番はマリオではない。
目が潤み、身体が疼く。物足りない。指だけじゃ満足できない。誰か、この身体を鎮めて欲しい。激しく抱いて、入れて…欲しい。
熱く火照る身体を抱きしめ、堪えようとするが、溢れてくる欲望が抑えきれそうにない。
いつしか少女の目には天井の壁紙にある蔦の模様が触手のように見えてくる。そしてあの獣のような、劣情にかられた視線たちが脳裏に蘇って…

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≪幕間~手招き~≫

数刻後。少女は城を人知れず出て、深い森の中にいた。元々お転婆な少女である。脱出はお手の物だった。
平和になってからはしばらく着ることのなかった伝説の剣士の衣装を着て、少女は月の高い深夜の森を歩いている。
露出の多い剣士の衣装は成熟したキャロンが着ると胸やお尻が隠しきれず、肉がはみ出てしまう。それはもはや扇情的な格好ですらあった。
少女の顔は昂奮に少し紅潮している。夜の涼風に晒されても肌は熱を失うことがなかった。
少女は一人、森の奥へと歩いてゆく。目的地は特にない。彼女は知っているのだ。この森を夜に女一人で歩くとどういう事が待っているのかを。
やがて背後に視線が一つ、二つと増えていく。ふとももやほとんど丸出しのお尻、剥きだしの背中に注がれる熱い視線を感じながら、なおも歩いていく。
美味しそうな餌に釣られた闇の中の視線が数え切れなくなった頃、キャロンは足を止めた。気づけばそこはかつて自分が村人たちに輪姦された場所だった。
意図していなかった偶然にキャロンの唇が悪戯っぽく緩む。

立ち止まったのを見て闇の中の視線たちも足を止める。赤や金に光る眼が木々の間にいくつも浮かび、キャロンを幾重にも取り囲んでいる。
その目はいずれも向き直ったキャロンの身体に食らいつかんばかりの欲望で溢れている。鎖骨やうなじ、おっぱいやおへそ、太ももやお尻、あそこへ…
伝説の剣士のコスチュームに身を包んだキャロンの肢体は闇の中の目たちの獣欲をこれでもかと煽っていた。
じりじりと近寄って来る気配にキャロンは妖しく笑うと剣を抜いた。



「……ギラギラした目……そんなにあたしを犯したいの…?…そう……かかっていらっしゃい……勝ったらこの身体…好きにしていいわよ…?」

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Act.4「饗宴」

「あぁぁーーーーーーーっ!」

しばらく後、森の奥で少女の苦痛と快楽に蕩けきった嬌声が響き渡った。
辺りには魔物たちの血まみれの残骸が転がっている。木々は爪と牙の痕で傷つけられ、草花は踏み荒らされている。
激しい戦闘の痕。そのいきつく果てで少女は触手に腕を絡めとられ、足を獣に掴まれて押し倒されていた。
剣は向こうで倒れ伏した大型の魔物の胸に突き立てられたまま抜けなくなっている。
剣士の衣装は戦闘の中で剥ぎ取られ、放り棄てられていた。全裸にされてしまった素肌にはところどころ爪や牙の痕が残って痛々しい赤い筋を残している。
激しい戦いに傷つき敗れたキャロンは汗と土と魔物たちの血に塗れながら約束通り魔物たちの身体に組み敷かれていたのだ。

「あぁっ!あ、ぐ、うぅっ!んっ、あ、あはぁっ!いやぁっ…は、はげし…いっ、やぁっ!ああぁぁっ!!」

秘裂を汚れた魔獣のモノで強引にこじ開けられ、欲望の滾りを叩きつけられて苦しげに喘いでいるキャロン。
多勢に無勢。という戦いだった。無数の敵を屠りながらもその数倍の敵に囲まれた少女は力及ばず遂に捕らえられ、約束した通りに犯されてしまっている。
いや、そもそも少女は勝つつもりだったのだろうか。負けて犯され、屈辱にまみれているはずの少女の表情には嫌悪が薄く、むしろ悦びすら浮かんでいるのだ。
そして、犯される自分と順番待ちをするようにあたりを取り囲んでいる獣の目……それは寝室で自身が思い浮かべていたいけない妄想そのままの具現だ。
そう、間違いなく彼女の身体は歓んでいた。ようやく実物に貫かれ、イかせてもらえるのだから。

「んぅっ!ぐ、あふんっ!はぁっ…はぁっ…だめ…こわれちゃうっ!…はぁっ、はぁっ…あぁっ!でも…いいの……もっとして…やめちゃいや…あぁんっ!」

転がされた地面の硬さや草の感触が裸の背中や腕、足やお尻に刺さるが、痛みを訴えることも出来ぬほど次々と魔物は無防備になった少女に襲い掛かる。
そうして種類も大きさもさまざまな魔物の手と舌に弄られ続けるキャロンの肢体。乳房を乱暴に捏ねられ、乳首を吸われ、お尻や太ももにモノを擦りつけられる。
爪を立てられ、甘噛みされ、淫虫に刺され、魔物の肌の鱗のごつごつや毛皮のちくちく、両生類のぬめぬめした感触がかわるがわる敏感な柔肌を襲う。
しかしその痛みも痒さも淫乱に堕した少女の肢体は全て快楽のアクセントとして受け止めてしまう。
淫毒や媚薬に狂わされ、大きすぎるモノに串刺しにされ、卵を産み付けられ、精液を飲まされ、膣にも尻にも溢れるほどに注がれてしまっているキャロン。
魔物たちの劣情のはけ口にされ、凌辱の限りを尽くされながら、それでも少女は恍惚とした表情さえ浮かべて凌辱を受け入れてしまっているのだ。

「あぁっっ!!ダメ、イく、イっちゃう!あぁぁっ!な、中にっ…きて…あぁぁっ!またっ…イくとこ、見られてるっ…いくうぅぅっ!…ああああああぁぁーーーっ!」

魔物の汚れたモノに何度も最奥を貫かれて浅ましく絶頂の叫び声を上げる少女。そのままばたりと地面に倒れ伏すが、休む暇は与えられない。
白濁を胎内に浴びせられた余韻にぶるぶると震えながらも顔を起こし、次にやって来る魔物のいきり立ったモノを見つめて切なげな溜息を漏らす。
前の魔物が逸物を抜いて離れると、次の毛むくじゃらで大柄な魔獣が小柄なキャロンの汚しつくされたあられもない姿を見下ろしていた。
汗と精液にまみれ、土に汚れたお尻に大きな手がかけられると、小柄な少女は容易く転がされて四つん這いに体勢を変えさせられる。



そして腰を掴んで持ち上げられると後ろから昂奮に滾った逸物にいきなり蜜と白濁に蕩けきった膣口を深々と貫かれた。

「…はぁ…はぁ…はぁ……あ、ぐっ!うぅっ…あ…んぅっ!ふ、太いっ…あぁっ!お、奥まで来て…ダメ…あぁっ…こ、これ…感じちゃうっ…」

身体を引き裂くような勢いの、乱暴な挿入。あそこに走る壊れそうなほどに強い刺激に涙を浮かべながらも快楽に再び飲まれてゆくキャロン。
夜はまだ長い。この後もキャロンは犯され続ける。欲望を吐き出し足りない魔物はまだまだいて、ギラギラした目を光らせて辺りを囲んでいるからだ。
宙釣りにされ、這いつくばらされ、串刺しにされ、全身に絡みつかれ、モノを咥えさせられ、アヌスも貫かれ、獣のように後ろから、また前から、何匹も同時に…
あそこもお尻も、口も犯し抜かれ、乳房のみならず手や腋や膝裏、太ももやおへそにまでモノを擦りつけられて射精され、体中を魔物の白濁液で染め抜かれてゆく。
何体もの魔物を切り裂いたその場所で魔物たちに敗北し、犯されて精をぶちまけられているというのに、翻弄されるままにはしたなく喘ぎ、悶える淫蕩な少女。
魔物たちのセックスは生きた人形を弄ぶかのように無遠慮で、とても普通の女性には耐えられそうもない程の凄惨極まりない凌辱だというのに少女の心は壊れない。
それどころか小柄な少女は淫靡な笑みさえ浮かべて大きな魔物たちを誘惑し、大きなモノを咥え込み、獣の精を受けて酔いしれたように悦び続ける。
それは最早王女のものでも伝説の剣士の姿でもない。発情した淫乱な牝獣の姿にさえ見えてしまっただろう。

「あぁっ!ま、またイク…イっちゃうっ!あぁあっ!…はぁ、はぁ、はぁっ!イかせてっ…おねがい…あたしを…もっとイかせてぇっ!あぁぁーーーっ!」

この凌辱劇は朝まで続く。いや、朝には終わってしまう。この森では朝になれば夜の国の魔物は力を失い、昼の国の王女であるキャロンはリバースの力で回復するからだ。
魔物のつけた傷も失われた体力も毒も精液も、リバースの魔力が発動すれば一気に癒し、浄化してしまう。キャロンの持つ力はそれほど強いのだ。
そして回復してしまえば昼の国の王女であるキャロンの前に敵はいない。それまでに意地汚く残っていた者たちはあえなく一掃されてしまうだろう。
回復を防ぐ方法も学習する知恵もこの森の魔物たちは持ってはいないが、キャロンは経験からそれを知っている。
ラモー・ルーの息がかかった夜の国の魔物は本能として必ず少女に欲情し、犯しはしても殺しはしないことも知っているのだ。
そう、これは朝が来るまでの一夜限りの宴。血と肉と性に満ちた、爛れた享楽の祭。
牝の快楽に飢え続けてしまう身体を満たすために、悦楽に堕ちて少し歪んでしまった王女が考え出した危険な遊びなのだ…

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≪終~次元を超えるもの~≫

『視線』はやはりその一部始終を見続けていた。
そして朝が来て、キャロンが服を拾って周囲に誰もいなくなった森を出てゆくまでを見届けると、満足したように存在を消した。


どこかで語らう声がする。
「今回も濃厚でしたね」
「いつもながらエッチで良いですねえ」
「肉食系のキャロンと言うのは珍しいかな」
「あの、恵っぽいイメージ?」
「心は堕ちてないから魔物は退治するんだけど、ちょっとは愉しみたい…そんな感じでしょうか?」
「倒錯。いいですね、そういうのも」


『彼ら』は決して離れず、しかし触れず、干渉せず、視続ける。愛しいキャロンの痴態を一つでも多く観察するために。
『視線』は過去から未来、別次元に至るまで、見初めた少女の可能性の全てを観測しようとする存在たち。
次元を超えて、伝説の記録者たちは少女を視続けているのだ…