その部屋は他の部屋より少し広く、ちょっとした調度品で飾られている。
何でも娼婦遊びで破産した商人宅の家具類を格安で引き取った…とかなのだそうだ。
当然、別料金はかかるが、ちょっとした貴族気分を味わえるこの部屋は予約が多い。
そして理由がもう一つ。この店…娼館の売れっ娘はこの部屋をお気に入りにしていた。となれば人気の高いことも頷けるだろう。

「ああぁんっ!お許しください、ご主人様ぁっ!あぁぁんっ!こ、これ以上は、いけませんっ…あぁぁんんっ!」
「はしたない声をあげおって、ますますけしからん。こらしめてくれるわ」
「あぁっ、そんな…わたくし、わたくしはぁっ!あぁっ、はぁっ、はぁっ、あうぅんっ!」

手を前で柱に拘束されているのはフレンチメイド服の少女。ブラウスの釦は弾け落ちて、胸を強調する形のエプロンスカートから乳房が零れ出ている。
短いスカートの裾はまくり上げられ、その下には何も履いてはおらず、白いお尻が丸出しになっていた。
その背後から男が少女の腰を掴み、自らの逸物を剥き出しの秘裂へと叩きつけていた。
端的に言えば「メイドを性的に折檻するご主人様」。それが今宵、娼館の売れっ娘ロットが受けた注文であった。

「ふしだらな娘め、こうしてやる。どうだ、どうだっ!何とか言ってみろ!」
「ひいぃっっ!ご主人様、お許しくださいっっ、わたくしはふしだらな娘ですぅっ!あぁっ、そんなにされてはっ!あぁぁんんっ!」

ロットはしどけない顔でホワイトブリムを付けた頭を振り、甘えた声をあげている。
男の腰に叩かれたお尻が高い音を立て、尻肉がぷるんと震えるたびに、ガーターのついた白いストッキングに溢れた愛蜜が滴ってゆく。
膝が震え、縛られた手が幾度も虚空を掴む。イメクラプレイとはいえロットのそれは途中から演技3割、本気7割くらいになっている。
キャロンの性衝動の具現化である彼女は、性行為に対する好奇心が強い。色々な役を演じながらセックスを愉しめるこの娼館は天職に近かった。
そして少女が本気で感じているのが分かるからこそ、男達の人気も高いのだ。

「くぅぅぅっ、締めつけて来おって…ええい、こうなったらもっと罰をくれてやるぞ。そらっ、そらっ」
「あぅんっ、はしたない娘にもっと罰をお与えくださいっ、ああ、だめです、もうわたし、イってしまいますぅっ…あぁぁんっ」

紅潮した顔であられもない声をあげ、男のやや乱暴な注挿に感じ入るロット。
剥き出しの乳房を揺らし、貫かれて淫猥な水音を立てるあそこをひくつかせ、腰を蠢かせて妖艶に射精をねだる。
男は煽られるままに腰を叩きつけ、やがて少女の膣内に精を搾り取られるようにして果てたのだった。




「お疲れ様ですー」

ひと仕事を終え、風呂に入ってさっぱりしたロットは控室へと戻ってくる。他の仕事仲間はもう帰ったらしく、部屋には女店主がいるのみだった。

「ああ、お疲れ。ちょうどいい、あんた明後日の予定はどうなんだい?」
「予約ですか?大丈夫ですけど」
「なら、午後に来ておくれ。ちょっとお願いしたい客がいるんでね」
「はい。ごきげんようー」

女店主はロットがあがって来るのを待っていたらしく、言い残すとさっさと自室へ引っ込んでしまった。
ロットは女主人の気配を怪訝に思いながらも、その日は何も問わずに店を去った。


そして当日。ロットに依頼の内容が明かされた。

「え?今回は衣装はなしなんですか?…その、最初から裸で行けばいいって…珍しいですね」
「ああ。アンタとしてはちょっと物足りないかも知れんけどね、そこは堪忍しとくれ」
「いえ、それは別にいいんですけど…」

演技が必要ないならそれはそれで問題がない。問題は別の所にあった。
女主人に答えながら、控室に備え付けられているしつこい客や乱暴な客対策用の覗き窓をロットが見る。
素っ気ない小さな待機室に座っているのは初老を少し通り過ぎたくらいの老人だった。おじいちゃんより少し若いくらいかなあ、とロットは思う。
彼は場馴れしていない風で何度も湯呑みを手に取り、きょろきょろと辺りを見回している。

「…ずいぶんとお年を召した方ですよね。その…あたしで大丈夫ですか?」
「何を心配してるかは分かるけど、大丈夫。女遊びなんぞした事のない堅物だよ。床あしらいが足りないなんて事は間違っても言わないさ」

奥のソファにどっかと座り、煙管をふかしながら女主人が答える。
かつては娼婦たちの長として君臨したらしい彼女はそうやって座っているとある種の威圧感を醸し出していた。

「え!?…あ、あの、失礼ですけど、どうしてそんな方がここに?…それにどうして、あたしを指名…」
「アンタを指名したのはあたし。あの爺さんは、あたしの父の古い知り合いなんだ。今日は、あたしがちょっと強引に誘って連れて来たんだよ」
「そ、そうなんですか。でも…どうして?」

この娼館は密かな人気があるため特に宣伝や客引きを必要とはしていない。むしろ客を断る事すらある程だ。
そんな店の女主人が自らお客を連れて来るなんていう事をロットは一度も見たことがない。

「あの爺さん、若い頃は腕の立つ衛士だったんだよ。そりゃあ忠義に厚くて、誰からも信頼されてた。あたしの父も尊敬してたしね」
「衛士?……衛士って、つまり王家のですか」
「そう。だけどずいぶん前に、まだ結婚する前の先代女王さまを暴漢から護るために足を大怪我しちまってね。衛士は辞めざるを得なくなっちまった。
だけど立派なもんさ。恩賞で生涯の税の免除と経済援助が出るって話だったのに、務めを果たせない自分にそんな資格はないって言い張ってさ。
自分から百姓になって、ずっと働いてきたんだ。苦労を共にしてきた女房も5年前に亡くして、子供も独り立ちして、今は天涯孤独のお迎え待ちさ」
「…そう、だったんですか。」

言われてみれば老いてはいるが腕は太く、筋肉がまだ残っている感じが服の上からでも見えた。
(先代の…お母様に仕えた人、かあ。おじいちゃんとも知り合いなのかなあ…)
素性を明かせないため聞くわけにはいかないが、会ったことのない母親を知っている人と聞くと、少し胸にちくりと来るものがある。

「だから、ね。昨日で女房の忌も明けた事だし、せめてちょっといい思いさせてやりたいって、そう思ったわけさ。あたしなりの方法でね」
「……」

そういう事を考える人だとは思っていなかったところもあるのでロットはちょっと意外そうな表情を浮かべる。
見れば彼女は少しだけ寂しそうな顔を浮かべていた。女主人は深々と吸った煙をふう、と吐き出してからコン、と音を立てて煙管を置く。
これ以上自分の事は聞かないでくれ、という意思表示のようにも見えた。

「正直、アンタより床上手な子は何人もいる。だけど、アンタほど男を優しく癒せる子は、正直そうそういない。だからちょっとお願いしたいんだよ。
あんな、モノも勃たない枯れた爺さんが相手じゃ不服だとは思うけど、ここはあたしに免じてひとつ頼むよ。その代わり、手取りは弾むからさ」
「いえ。是非やらせてください。…お金は、いつも通りでかまいません」

ロットはきっぱりと首を振る。手当てで仕事をしている訳ではないが、割増する筋もないと思っていた。
その顔に迷いはなく、そんな顔をする時の少女は娼婦には不似合いな気品のようなものさえ感じられると女主人は見ていた。
しかし深い干渉をしないのがこの業界の不文律である。当然、ロットの出自なんて聞きはしない。

「ああ、やっぱりそう言ってくれるかい。さすがだねえ!」
「…?」
「金なんかいらないなんて、安っぽい憐れみを口にするような子には任せたくなかったんだよ。きちんと男として、当たり前の客として向き合える。
そんな子だと思ったのさ。…じゃあ、よろしく頼むよ。持病持ちとかじゃないけど、見ての通りの年寄りだ。だから、アンタから動いてやってくれよ」
「はい。じゃ、頑張ってきます」

明るく言い残し、ロットはタオルを手に控室を後にした。



タオルで軽く前を隠しただけのロットがいつもの部屋に入ると、ベッドの上に裸で所在なさげに座っている老人がいた。
初めて連れてこられた、というのが嘘ではないことがよくわかる。しかもだいぶ無理やりだったのだろう、緊張している様子すら見えた。
ロットは明るく挨拶してタオルを取るとベッドに上がった。

「そのまま、楽になさって下さい。上に乗りかかっても大丈夫ですか?」
「ああ、かまわんよ。あんたくらいの重さ、何でもない」
「それでは失礼します。ご希望のところがありましたらどうぞ。…あ、先にこちら、咥えさせて頂きましょうか?」
「ん?いやあ、結構じゃよ。勃つとも分からん老いぼれたモノじゃ。適当にあしらってくれればいい」

立ち振る舞いが良く分からない、というのと遠慮とが入り混じっているようだった。
無理もない、自分の年からして孫にも近いだろう。そんな女の子と床を共にするというのだから。
とりあえず…とロットは軽くローションを身体に塗ると老人の身体に寄りかかってゆく。

「私の体は、どこでもご自由に触って下さい。お口でお楽しみになりたいところがありましたら、遠慮なく言って下さいね。いつでも、私が動きますので」
「はは。妙な具合じゃねえ。あんたみたいな娘さんに、こんな事をしてもらうというのも。何だか申し訳ないわい」
「…いいえ」
「ん?」
「私にできる事は、これくらいですから。今は、この体を好きなだけお楽しみ下さい」

元衛士だけあって、老人の身体は芯がしっかりしていた。流石に筋肉は落ち、肌も染みと皺だらけだが、手は大きく腕も太い。
そして両手のタコの凹凸が長い年月を剣と鍬に生きた証拠を深く刻んでいた。
ロットはこんな手が嫌いではなかった。一生懸命に働いた男の人を癒すのは何となく仕事をしている感じがしたし、
こういう手で肌に触られるのはくすぐったくてちょっと気持ちいいからだ。
ロットは老人に身体を擦りつけるように絡ませながら、肌に舌を這わせてゆく。

老人は時折、ぴくぴくとむずがるように動く。こういう刺激にはあまり慣れていないのだろう。
ロットはこういう男の反応を愉しく思っていた。されるのは勿論好きだが、偶には責めに回るのも気分がいい。
特に今回は相手が積極的ではない分、思うように出来るという面が強い。

「くちづけしていいですか?」 
「ああいいよ、おいで。わしもそんな気分になってきたからの」 
「はい!では失礼します」



「ん…」
少女のしっとりとした唇が老人のかさついた唇に重なってゆく。
舌を絡ませ、指を全身に這わせ、乳首で文字を書くように胸を擦る。
ロットはまるで乾いた老人の肌を潤おそうとするかのように全身を蠢かせ続けた。
そうしているうちに老人の肌にも少しづつ赤みが差してくる。

「…口先だけで並べとる商売の文句とも思えんな。いやいや、良い回春じゃよ。何だか、妙に女房に後ろめたくなってきた」
「…どうか、今だけは奥様の事は仰らないで。今は、私を見て下さい」

照れたように言う老人の言葉を遮るように、ロットは老人の手を取ると自分の乳房へと導く。
柔らかく弾力に富んだ感触が直接手から伝わり、老人は少し驚いたような顔になった。

「私を、そのお体で味わって下さい。私も…今この時は、全身全霊であなたを愛します。あなたに、全てを捧げます。だから」
「ははは、こりゃあすまなんだ。じゃ、しばらく楽しませてもらうかな」

そう言って老人は遠慮がちにロットの身体を弄ってゆく。ロットはみじろぎしながら気持ちよくなれるように老人の手や頭を誘導していった。
乳房や、乳首、太股やお尻、あそこを触らせ、その手の動きに合わせるように体をくねらせてゆく。

「はぁ、はぁ、はぁ、んっ、そこ、いいです…んんっ、もっと強くても大丈夫ですから…あんっ、そう、もっと…あぁっ」
「あんた、本当にいい女じゃな。言葉にも体にも、嘘がまったく感じられん。…そう、今の、この痴態にもな」

そうして愛撫に応えているうちにロットの太ももに硬いものが当たる気配がした。
萎えたままだった老人のモノが勃っていたのだ。

「あっ、あん、ああぁん!……あ。…何だか、元気になってきましたね」
「いやはや、お恥ずかしい限りじゃな。あんまりあんたがその気にさせるもんじゃから」

ロットは笑って老人の頬に口づけする。

「私ももうその気ですから。どうします?まず口でしましょうか。それともこのまま挿れますか?」
「口はいい。あんたの顔が見えんようになるからな」
「分かりました。じゃあ、このままじっとしていてくださ…」
「いやいや。今度はわしが動くよ」
「あっ」

言うと老人はロットの身体を抱えて体勢を入れ替えた。
意外なほど強い力にロットは少し驚きながらも身を任せて転がされ、老人の下になると肢を開いて身体を迎え入れる。

「もうこれが最後かも知れん。思う存分、あんたの体を楽しませてもらおうかの」
「…はい!」

老人は自分のモノを掴むとロットの襞にあてがう。そこは充分に滑って迎え入れる準備を整えていた。
ぬるり、と吸い込まれるようにしてモノがロットの身体に収まってゆく。膣内の襞が蠕動し、モノを奥へ奥へと呑み込んだ。
腰から下が溶けてしまいそうになるほどの熱くて心地良い感覚が老人を包み、彼は知らず知らずのうちに腰を振り始めていた。
ロットは腰を蠢かしながら老人の注挿に応えつつ、更なる快感を得ようと膣内を蠕動させる。
そうしているうち、いつしか老人は女の身体が生み出す心地良さに溶かされ、ただの男となって少女の身体に包まれてゆく…


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それは彼にとっては魔が差したとしか言いようのない出来事だった。
田舎から単身出て来て一兵卒から叩きあげ、王族の警護兵にまで昇進した彼の忠勤ぶりは誰もが認めるものだった。
だから当時18歳くらいだった王女が隣国への親善の為に行幸をする一行の警護役を任されたのだ。
最高の栄誉に震える思いで彼は役目に励んだ。親善も成功し、意気揚々と帰路に就く一行。しかし、運悪く山道で彼らは時ならぬ嵐に遭う。
王女の乗った馬車はがけ崩れに巻き込まれてしまい、警護もお付きの者も皆散り散りとなってしまう。
彼は嵐の中、必死の思いで王女を探し続け、遂に岩穴で一人身を隠している王女を発見する。
ほっと一安心した心に悪魔が忍び寄った事に彼は気づかなかった。

嵐の中、これ以上動くのも危険と判断した彼はまず鎧を脱いで火打石と岩穴奥の枯木を使って火を起こし、暖を取りつつ服を乾かそうとする。
薄暗い岩穴が明るくなったその時だった。彼は雨に濡れてびしょびしょになった王女の肌がドレスから透けているのを見てしまう。
一気に高鳴る鼓動。必死に平静を取り戻そうとしたが、王女は気づかないのか、それとも濡れた服が寒いのか、彼の目の前でドレスの裾を絞る。
濡れたうなじが、裂けたドレスの裾から白い肢がのぞき、彼の体温が急上昇する。
30も半ばに差し掛かろうという今の今まで女っ気もなく王家に仕え続けた彼には、王女の艶姿はあまりにも刺激が強すぎた。
一気に頭が煮えてゆく。股間がいきり立ち、脳裏に悪魔が囁きかける。
王女は彼の異変に気づかないのか「一緒に暖まりましょう」と濡れ透けたドレスのまま彼の隣に座り、馬車から持ちだした毛皮の敷物を背中から肩へかけた。
王女の白い腕が彼の武骨な腕に触れる。その柔らかな感触が伝わった瞬間、彼の理性は弾け飛んでしまった。


「きゃぁっ!な、何をするのです!やめなさい、あぁっ!だめよ、やめて!おねがい!」
「王女様!お許しくださいっ!王女様!王女様!」

彼の耳にはもう、制止の声が聞こえなくなってしまっていた。
王女の肩を掴んで押し倒し、白い首筋にむしゃぶりつく。甘い、良い香りが彼の牡の本能を焚き付け、爆発的に燃焼させる。
抱きしめた身体の柔らかさは彼が初めて経験する女の子の感触だった。
碌な経験もない三十路の男が10代の少女の身体の感触に抗うことなど出来ようはずもない。まして、他に誰もいない岩穴。
外の嵐では声も外には漏れず、誰も助けに来ることは出来ないだろう…彼は決して許されない裏切りの快楽に身を任せてしまう。

「あぁっ!や、やめて、だめ、だめよ、こんなこと、いけません!あぁっ!おねがい、もうやめて、あぁっ!」

悲鳴を上げて抗う王女をよそに彼は血走った目で白いドレスを強引に剥ぎにかかった。
胸元が無理やり広げられ、豊かな乳房が露わになる。寒さに震えていた双丘は軽く鳥肌を立て、赤い突起が浮いてしまっていた。
彼は吸い込まれるようにして乳果の間へと顔を埋める。この世のものとは思えないほどの柔らかな感触と甘い香りに顔を包まれ、彼は益々猛り狂う。
乳房にむしゃぶりつき、まるで赤子のように夢中になって乳首を吸いたてた。

「あぁぁっ!だ、だめ、いけません、あうぅっ!あ、いやぁっ!離して、はなしてぇっ!」

王女は乳首を吸われる感覚に震えながら必死に彼を止めようと頭を掴む。しかし、非力な王女の腕が兵士である彼の力を上回ることはない。
もがいているうちにドレスはどんどん捲れて王女の肌は露わになってゆく。太い腕が、ごつごつした手が、その白い絹のような肌を弄る。
そしてすべすべした太ももを触りながらスカートの中へと彼の手が入ってくる。

「やっ、そ、そこだけはダメっ!おねがい、ゆるしてっ、あっ!だめ、だめぇっ!いやぁぁっ!やめて、やめてぇっ!」

雨で冷たく濡れていた王女の下着が剥ぎ取られる。彼は急かされるようにズボンを脱ぐ。
誰かが何かを叫んでいる。手に触れるものは全て熱く、柔らかく、甘い。彼は熱い滾りを握り、未だ解れていない襞へと触れる。
柔らかく、暖かく、ふにふにとした、そして僅かにぬめった感触が亀頭から脳天へと突き抜ける。
その感触だけでも彼は果ててしまいそうになる。身体の奥の煮え滾るような熱さ。これを、この中に!

「いやぁぁぁあぁぁぁっ!!!だめっ、いけませんっ、あっぐ、うあぁぁっ!止めて、とめてぇっ、いたい、痛いっ…あぁっ!!!」

王女の秘唇が押し広げられ、彼の熱い滾りが王女の暖かな胎内へと包まれる。瞬間、蕩けそうなほどの快感が下腹部に突き抜けた。
彼の腕を掴んでいた王女の手がぎりりと爪を立て、肌が破れて血が滲んだが、彼はもう止まることが出来なかった。
一番奥までモノを突き込み、王女の狭い膣内の襞に包み込まれ、彼は快感のあまりに震え、唸り声を上げる。
彼は発情した獣と化し、本能に急き立てられるまま腰を振り始めたのだった。


「あぁっ、あっ、はぁっ、く、んぁっ、はぁ、はぁ、はぁ、あっく、んんっ…」

雨はまだ止まない。薄暗い岩穴の中を焚火が煌々と照らしている。その灯りが岩壁に絡み合う二人の影を映し出していた。

「うぅっ、く、んんっ、あ、あぁっ…はぁ、はぁ、はぁ、ん、んくっ…うっ、うっ、うっ…」

岩穴では王女の堪えるような低い喘ぎ声と、彼の荒い吐息だけが響いている。裸の二人が毛皮の敷物の上で繋がりあっていた。
ドレスも服も地面に投げ捨てられたまま。衛士は王女の身体にのしかかり、獣のように乱暴に腰を振り続けている。
王女は衛士の体の下に組み敷かれて美しい髪を乱し、涙を浮かべながら苦しげに呻いていた。

「あぁんっ、う、くぅんっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、ふぅぅっ!…うっく、あぁぁっ!」

淫魔に憑りつかれたかのように彼女を犯す衛士は既に2回も彼女の中で精を放って、まだ萎えることがない。
繋がったままの秘裂からは注挿のたびに精液がごぼごぼと溢れ、王女の内股を汚す。
王女はもう抵抗を止めていた。彼女は彼の背中に手を回し、愛おしむように撫でながら彼の猛りを受け止め続ける。
…彼が我に返るまで、あと2回の射精を必要とした。


そして…正気に戻った瞬間、彼は自分の体の下で精液にまみれている全裸の王女を見て血の気を完全に失った。
裏切り、という言葉では済まされない、万死に値する暴挙。よりにもよって警護役である自分の手で王女の身を穢してしまうとは。
一瞬のうちに色々な思いが駆け巡った末、彼はまず飛び跳ねるように後ずさりすると地面に自らの頭を打ち付けた。

「わ、私は何という愚かな事を!!…こ、こ、このような畜生にも劣る狼藉、申し開きようもございません、かくなる上は…!」

額が割れ、血が流れ落ちるのも構わず剣を取り、抜き放つ。そしてそのまま自分の胸に突き刺そうとして……王女の手に制止された。

「いけません」
「しかし、私は王女様を……あぁぁ、取り返しのつかぬ乱暴を働いてしまったのです…!この愚か者の命でお詫びさせてください!」
「よいのです。あなたは死んではなりません」

王女は乱暴にされたせいで汚れ、擦り傷だらけになったぼろぼろな身体のまま微笑んで見せた。

「あなたが来て下さらなければ私はここで途方に暮れたままだったでしょう。火も起こせず、寒さで死んでいたかもしれません」
「お…王女様……わ、私は、私はぁっ!」

そう言って衛士の手から剣を取り上げる。王女はよりにもよって反逆行為をした自分を許そうとしている。
彼は感情が入り乱れすぎて、血と汗と涙も混ざったぐしゃぐしゃにな顔のまま、ただ平伏した。

「わたくしの貞操など、命に比べれば安いものです。わたくしがあなたの忠義に報いるのに身体を与えたとて何の問題がありましょう」
「そんな、お、王女様!この犬にも劣るわたくしなどに…!なんと勿体ないお言葉を!」

当然、詭弁だ。王女が忠義の代償に身体を自由にさせたなどという話はどこにもありはしない。
彼は泣きながら再び頭を地面に叩きつける。もう、それしか出来なかった。

「第一、あなたがここで死んだらわたくしはまた一人になってしまうではありませんか。あなたはわたくしを無事に城に送り届けねばならないのですよ?」

王女はそう言って悪戯っぽく膨れてみせると、平伏したままの全裸の衛士の肩に手を置く。その手は少し震えてはいたが柔らかく、暖かだった。

「さ、顔をお上げなさい。いつまでもそうしていては身体が冷えてしまいます」
「お、王女様……王女様………私は…」

泣き崩れている衛士をそのままに、王女は裸のままで岩穴の外へ出て辺りを見回す。雨はまだ止まず、辺りは暗くなって見通しがない。
立ち上がったことで王女のあそこからは溢れた精液が太ももを伝い落ち、降り続く雨が肩口の土汚れと一緒に洗い落としてゆく。

「これは…出歩くのは危険ね……ここで一晩待つしかないでしょう。服も……まだ乾いてないですし」

言いながら岩穴へ引っ込むと王女は、地面に落ちている自らのドレスを拾って確認する。幸い、破れている箇所は大したことがなさそうだった。
王女は下着も拾い上げ、衛士の服と一緒に火の当たる岩肌の角へ引っ掛ける。
一人言を言いながら裸で動き回る王女の口調は何故か明るく、楽しそうですらあった。

「薪は奥にまだあるし、食料はあなたの携帯食料があるから、今夜くらいはなんとかなるわね。明日中には帰りたいけれど…心配性のルークあたりが来てくれるでしょう」

焚火に追加の薪を放り、衛士の鞄をちらりと確認してパンを一かけ口に放り込むと平伏し続ける彼の隣に敷物を敷きなおし、腰を下ろして寄り添った。
漸く泣き止んだ衛士の肩に、温もりを帯びた王女のしっとりとした肩がちょんと触れる。

「…さて、続きをしましょうか」
「………は?」

彼は思わず顔を上げる。自分がまだ錯乱から立ち直れていないと思った。王女が何を言っているのか理解できなかったのだ。
王女は言葉を重ねる。その顔は少し拗ねているような、年相応の可愛らしい少女のものだった。

「身体が暖まってきていたのに冷えてしまいました。あなたには今宵一晩、わたくしを暖める責務があります」
「え、え、え????」

混乱する衛士。意味がまるで分からないまま、王女の顔を見直す。その間の抜けた顔に、王女は仕方ないわね、という風に溜息をついた。
王女は彼の腕を取ると腕を絡めて裸の胸を押し当て、頬に優しく手を触れて唇が触れるほどの近さまで顔を寄せる。
そして先ほどまでとは打って変った、艶っぽい表情で耳元に囁きかけたのだった。

「せっかく気持ち良くなってきた所でしたのに……まさかこれでお終いになさるおつもり?」

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「あぁっ、あ、うぅんっ、ん、んっ、んんっ、はぁっ、あっ、あっ、あぁっ!ふぅ、うんっ」

老人の体の下でロットが身悶え、喘いでいる。
繋がった時の鮮烈な感覚から、彼の脳裏にはあの時の岩穴での一夜が鮮明に蘇りつつあった。
無論、それを口にすることはありえない。それは王女と二人だけの、墓場まで持って行く秘密だからだ。
しかし身体と心はあの時へどんどん帰ってゆく。長い年月で王女との記憶も多くはおぼろげになってはいたが、あの夜の、あの声とあの薫りは忘れてはいない。
そしてあの手のぬくもりと、身体の柔らかさと温かさも。

「あうっ、んっ、んんっ、あぁっ、あっ、あっ、く、くふ、ふぁっ…あんっ…」

ロットの身体を抱きしめ、一心に腰を振る。あの時のように。ロットが抱き返してくる。あの時のように。
岩穴の、ちくちくする毛皮の上で、焚火の灯りの中で。体を温め合った時のように。
肌を擦り合わせ、汗にまみれて、お互い力尽きて、眠ってしまうまで。求め合い、抱き合ったあの秘密の一夜を。
決して許されはしない、しかしあの時があったから今まで生きてこられたのだと思えるような、そんな一夜の事を思い出していた。
あれから何十年たったことか。懐かしい、遠い記憶と柔らかく暖かい感触に包まれながら老人の心はあの時へ返ってゆく。

「んんっ、んぅっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、っく、あぁっ、あんっ、あんっ、はぁっ、はぁっ、くぁんっ…」

身体が火照り、汗が滴って少女の身体を濡らす。疲労に目が霞みだす。頭がくらくらしてくる。
それでも構わず、老人は力を振り絞るような懸命さで、紅潮している少女の肌を愛撫し、ぬめる秘裂へ注挿する。
あの夜、彼が望まれて王女を暖めるために全力を振り絞った時のように。
少女の身体はあの時のように、柔らかく、暖かく彼を迎え、受け止め、応えてくれている。応援されているなら、応えなければ男ではない。
朦朧とし始めながらも彼は最後の力を込めて腰を動かし、王女への奉仕を続ける。

「あぁぁっ、ん、やぅ…んっは…ぁあ…ああん…はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………ん……あら?……」

しかし彼は既に老いている。身体には昔のように滾るものはない。ロットを果てさせることも、自らが射精することも叶わないことだった。
やがて、老人は力尽きて萎え、ロットの乳房に縋り付いたまま倒れてそのまま眠ってしまう。
ロットは自分の身体の上で眠ってしまった老人の頭を抱きしめ、優しく、時間が来るまでずっと撫で続けた。
眠っている老人の顔は年齢に似合わないほど穏やかなものだった。


あの岩穴での一夜の二人も、最後はこのように力尽きた男の頭を王女が労わるように撫でていた。
この世では誰も知る由のないことである。


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翌朝、岩穴を出た二人は城から駆け付けたルークたちの救助隊と合流して漸く帰国を果たした。
当然であるが、この一夜の睦言はお互いに永遠の秘密であり、再び二人が夜を共にすることはなかった。
彼はその後、以前にも増して…というよりは狂信的な程に任務に精励し、そして2年後、無理が過ぎて引退することとなった。
田舎へ戻り、結婚する事になった彼の式には王女より特別に花が贈られたという。
その翌年、王女は隣国の婚約者と結婚して女王となる。彼女が可愛らしい女の子を生むのはその5年ほど後の事だった。
そして子供を出産する前後から国は不穏な空気に包まれ、女王は心労で体調を崩してしまう…

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目覚めた老人は途中で寝てしまった非礼を詫びながら服を着てゆく。
ロットは気にしないで、と笑って着替えを手伝いつつ、髪の乱れをささっと直す。
着替えは控室に置いているのでロットは裸のままである。

「ありがとう。少し元気になった気がするよ」
「こちらこそありがとうございました。またいらしてください」

老人は扉に手をかけ、廊下へと出る。ロットが裸なのでここで別れとなるのがルールだ。

「ごきげんよう」

外へ出た時、懐かしい声が聞こえた気がした。思わず振り返ると部屋の入り口に立った裸の少女が笑顔で老人に微笑みかけていた。
その姿は全裸で、少女は娼婦であることに違いはないのだが、何故か彼はその仕草に気品溢れる佇まいを感じたのだ。
次の瞬間、彼の頭の中に閃くものがあった。が、彼は思い付きを振り払うようにかぶりを振ると、手を振って少女と別れた。
浮かんだその考えは、あまりに不敬であった。あの夜の王女と娼婦の少女の面影が重なった…などとは。
彼にとって、そのようなことは考えてもいけないことだった。



しかし、老人はその後も時にふれては思い返す。最後に聞こえたあの声は王女様のものではなかったのではないか?と。
衛士時代、よく聞いた王女のあの言葉。それを少女があんな所で使うはずもないのだ。
だが彼は確かめようとも思わなかった。老人にとっての王女は遠い記憶の中にいる彼女、ただ一人だからだ。
それを思い出させてもらっただけでも少女には感謝の思いがあり、これからしばらくは生きてゆける。彼はそんな事を思ったのだった。