それは、あるよく晴れた春の日のこと。
その日はラルの国中が光に満ち溢れた一日だった。
ラルの正統後継者、王女キャロンがゴモロスの神官の子ペルルと結婚式を執り行う日なのだ。。
先代の女王が亡くなり、戦に巻き込まれ、ラモー・ルーによって国を荒らされ…と、暗い話題の多かったラルの民にとって、
その日は何よりも待ち遠しく、歓びに満ちた日だった。

着飾った二人は朝早くから白馬の牽く馬車に乗って村々を廻ってゆく。
待ち受ける村の人々は思い思いの準備を重ねた趣向で花嫁と花婿を歓迎し、祝う。
花吹雪が舞い、花火が打ち上げられ、踊りや歌、人々の喜びに満ちた歓声が二人を祝福する。

赤いドレスを着たキャロンはお転婆な少女だったとは思えないほどに美しい女王として、
白い正装を着たペルルはやんちゃ坊主だったとは思えないほどに凛々しい王として振る舞い、
豪華に飾り立てられた馬車に並んで座り、幸せに満ちた笑顔を村人たちに振りまいていた。


数え切れないほどの笑顔と祝福に見送られて二人は城へと入ってゆく。
そして城内の神殿でルークやユリア、ライケなどの特別近しい者たちだけを集めた厳かな結婚式を挙げた。
赤いバージンロードを歩む純白のドレスを着たキャロンの姿に思わずルークは感極まり、目頭を熱くしてしまう。
思わずもらい泣きをするキャロンの頬を拭いつつペルルは指輪を交換し、神前で誓いのキスをしたのだった。

夕方からは披露宴だ。各国からの来賓たちの前で結婚の報告とラルの再興を宣言する二人。
遠い海の向こうからも二人を一目見ようと参列者が駆けつけるほど宴席は盛大なものとなった。
そして居並ぶ参列者たちは皆、美しき王女と若き王の輝かしい姿に溜息を漏らし、祝福と賛辞を惜しむことはなかった。


盛大な宴は夜になっても終わらない。
肉が運ばれ、酒樽が開き、音楽と踊りは止むことがなかった。
そして城内は勿論のこと、国中全てが宴に湧いていた。
これから三日間、ラルは夜通しの宴となるだろう。それほどに喜ばしい出来事なのだから。
ラルの未来に何の不安もありはしない。そう思わせるに充分すぎる一日はこうして更けてゆく。

今宵は満月。一点の曇りもない銀色の月が平和なラルを優しく照らしていた。



……………………
……………
………



夜は更けて。

キャロンは宴席を中座して花嫁衣裳である白絹のドレス姿のまま一人、自室へと戻って来た。
ペルルは宴会場にいる。きっとまだ来賓たちに捕まってやっかみ半分に飲まされているのだろう。
だいぶ無理をして飲んでいたからそのうちに潰れてしまうかもしれない。

「ふふっ、お酒強くないくせにね」

そう言って笑うキャロンの顔も赤く、足元も少しふらふらしている。
キャロン自身、葡萄酒をここまで飲んだのは久しぶりだった。
楽しい一日だった。幸せな一日だった。そんな思いが盃を重ねさせてしまったのだ。
キャロンは幸せで胸いっぱいになりながら手袋を外した左手を掲げ、指輪を眺める。
左手の薬指には精巧な銀細工の結婚指輪が輝いている。その内側には「C L P」と刻まれていた。
すなわち、Caron loves Peruruである。

「結婚、したんだなあ…」

ベッドに腰かけ、ガラスの水差しを取るとコップに水を注いでゆっくり唇をつけた。
花の香りがつけられた冷水が喉の奥を心地良く滑り落ち、葡萄酒の酔いが心地よく醒めてゆく感じがする。
キャロンは窓の外の月を見上げ、感慨に大きくため息をついた。

「ふう……」

振り返り、大きな姿見を見る。純白のドレスに身を包んだ花嫁である自分が映っていた。
数年前の自分が見たら笑ってしまいそうな格好。まるで本当にお姫様のようだ。
何も知らぬ村の少女が一夜にして伝説の剣士となり、ラルの王女という秘められた出生を知る。
そして魔王を討ち、お姫様になって、王子様と幸せな結婚式を挙げる…まるで幼い頃に聞かされたおとぎ話のフィナーレだ。
そんな出来事が自分の身に起こるなんてあの頃の自分は思いもしなかった。
色々な事があり、そしてこんなにも幸せな日を迎えられたのだ。

「ほんとに、色々あったわね…」

キャロンは水を飲み干すとコップを置き、ゆっくりと立ち上がった。
鏡に映る自分の姿は剣士として戦っていたあのころの自分とは少し違って大人になっている。
戦いが終わってからのキャロンは、王女としての日々で身体を動かすことが徐々に減っていた。
村娘時代の日焼け跡は薄れ、背も伸びて少し身体全体に肉がつき、柔和な印象になった。
それが彼女をあの頃より更に美しく、体つきをより大人の女性らしくさせていた。
大胆に肩を出し、豊かな胸元を強調するようなドレスを着たその姿はグラマー、あるいはセクシーという言葉が似合う。
葡萄酒に酔った頬はほんのりと赤く、翡翠のような瞳はうっすらと潤んで表情にはうっすらと憂いが浮かんでいた。
もはや魅力的という言葉では収まらない。成熟し大人の色香を帯びたその姿は男を惹きつけて止むことがない。
蠱惑的、あるいは魔性、傾城…といった表現が相応しくなってすら来ている。
そして彼女はそのことを心のどこかで自覚していた。
…それだけの経験を彼女は重ねてきたのだ。

「………」

花嫁を映す金縁に飾られた鏡面はいつの間にか、湖面のように僅かに揺れ始めている。その意味する事を彼女は知っていた。
彼女は胸に手を当ててプロポーズの時を思い起こす。ペルルは自分の全てを受け入れてくれると言った。それはすごく嬉しかった。
しかしペルルは自分の全てを知っているわけではない。ペルルに言えないような行為を自分は重ねすぎてしまっている。
そして、今から自分がすることを、彼は決して許してはくれないだろう。でも…

「…行かなきゃ…」

目の前の鏡を見るキャロンの表情に憂いの蔭が差し、鏡から目をそらすようにキャロンは外を見やる。
明るい銀色の月は高く上り、開かれた窓からは宴の歓声が漏れ聞こえて来る。
平和なラル。人々が楽しく毎日を過ごす、美しい大地。自分が守ってゆこうと決意した国だ。
キャロンは名残惜しそうに窓辺の景色を眺めていたが、やがてゆっくり、決意したように鏡へと歩み寄り、揺れる鏡面へ触れる。
すると鏡は水のように波打ち、キャロンはまるで湖に落ちる石のように鏡の中へと沈み込んでゆく。
鏡はキャロンをすっかり飲み込むと微かな波紋を残し、やがてまた元のように只の鏡に戻ってしまう。
後には薄く口紅のついたコップと、白い絹の手袋が左手だけ残されていた。






鏡の向こう側。
そこは、ディメルンの森奥深い夜の国の中心部。あの魔王ラモー・ルーの居城だった。
ラモー・ルーが復活し、夜の宮殿が再び築かれていることは、キャロン以外誰も知りはしない。
無理もない。元々ラルの民はラモー・ルーが現れる以前からこの森にはほとんど近づくことがない。
さらに、キャロンの働きによって魔物たちが森から出ることがなくなっていたからだ。
しかし、魔物は滅びてなどおらず、魔王の城はこうして現存し、禍々しいほどの妖気に包まれてそびえているのだ。

鏡使いに恭しく出迎えられ、案内されてゆくキャロンに先ほどまでの笑顔はない。
少し固い、緊張したような面持ちで篝火のみが照らす薄暗い廊下を鏡使いに案内されるままついて歩く。
今まで何度この城を訪れ、この廊下を歩いたことだろう。扉に近づくにつれてキャロンの胸は徐々に高鳴ってゆく。
重い扉が開き、豪奢に禍々しく飾り付けられた玉座へと通されると、そこには夜の王が待ちかねた様子で主役の到着を歓迎した。

「ようこそ、キャロン。我が王妃よ」

玉座の間に入ると扉はひとりでに閉まる。いつも通り配下の魔物たちはいない。この広い部屋に二人きりだった。
夜の王…ラモー・ルーは玉座にかけたまま、花嫁に語り掛ける。
結婚したばかりの彼女を自分の花嫁だと言い切る傲岸、その言葉には絶大な力を持つ王者の畏怖さえ感じられる。
魔王の発する低い声の響きにあてられるように、キャロンの細い肩が微かに震えた。
今の魔王の力は夜の国を覆い尽くす程に満ちている。力の弱いものは彼の前で立っていることさえできないだろう。
これほどの力を得るためにどれだけの蜜を必要としたのか、それは花嫁の体が一番知っていることだった。

「嬉しいぞ。こうして自ら我が下へ来てくれたのだからな」

こうして魔王の前に立って声を聴いているだけでもキャロンの胸はトクン、トクンと高鳴り、お腹の底が少しづつ熱くなってゆく。
そしてあの赤く妖しく眼光に晒されてているだけでも全裸に剥かれてしまったような気になり、顔が熱くなり、肌が泡立ってしまう。
魔力など未だ一切使われていないのに純白のドレスの内側でひとりでに乳首が浮き勃ち、あそこがじゅん、と熱い湿り気を帯びてくる。
この玉座の間で、あの手に、あの身体に今まで何度抱かれたのだろうか。戦って敗れ、罠にかかって囚われ、諦めて身を任せ…
あの触手に、あの逸物に何度貫かれたのだろうか。そして何度快楽に流されて絶頂に達し、白濁を浴びせられてしまったのだろうか。
それを脳裏によぎらせるだけでも今のキャロンは体を熱くしてしまう。
そう、彼女はここに戦うために来たのではなかった。既に勝機は遠く去ってしまっているのだ。

「さあ、来るがよい」

玉座に座ったまま、ラモー・ルーはキャロンを手招きする。
キャロンはゆっくり、しかし迷いのない足取りで魔王の足元にまで歩み寄ると膝まづいた。
するとラモー・ルーの膝の間。闇色のローブの隙間からそれは蛇のように顔を出し、ゆっくり鎌首をもたげてゆく。
荒縄のように太く、蠢く繊毛を生やし、粘液でぬらぬらとぬめり、鱗は鈍く光り、妖しく臭う闇色をした肉蛇。
それはラモー・ルーの持つ絶大な牡の力の象徴。最大の武器であり、生殖器でもある触手だ。

「そら、我が逸物も待ち切れずにこうしていきり立っておる……キャロンよ。まずは慰めてもらおうか…」

牝を蹂躙し、貫き、啜るための化物を眼前に突き付けられ、あまりのおぞましい姿に一瞬眉を顰めるキャロン。
しかし、彼女はそれに両手を添え、押しいただくようにしてゆっくりと握った。
牡の肉棒の弾力と熱さ、ぬめぬめした感触、どくどくとした脈動が手のひらからじわじわと伝わってゆく。
その感触を彼女はよく知ってしまっている。そしてそれは彼女の肌にとても馴染んだ感触。
濃厚な記憶が次々と蘇るに連れて、期待と不安に肢体は疼き始め、彼女を発情した牝へと変えてゆく。

「はぁっ……あ…あつい…」

肉蛇の放つ性臭に鼻をくすぐられ、思わず溜息を漏らすキャロン。その瞳は知らず知らずのうちに蕩け、唇が緩み始めている。
ラモー・ルーの触手。女の体を狂わせる毒蛇。処女を辱め、身体を開発し尽くし、少女を女へ、そして牝へと導く忌まわしき熱い舌。
魔物に対しては強大無比なリバースの力も、女である限りこの触手が与える快楽の前には決して敵わない。
弄ばれる女が流してしまう愛液を触手が蜜として啜り上げて自分への力と変換する時、女の身体は至上の快楽を味あわされる。
そして身体が一度その味を覚えてしまえば、もう忘れることも逃れることも出来ず、永遠に虜となってしまうのだ。
どんなに抵抗しても、どんなに我慢しても、どんなに時を経ようとも、どれだけ他の牡に抱かれようとも。
リバースの力で浄化したとしても、記憶は浄化できない。思い浮かべるだけで子宮は疼きだし、触れられれば身体は瞬時に思い出してしまう。
あの愛撫を、あの蜜を啜られる感覚を。吐きかけられる白濁の熱さを。そしてあまりに昏く、甘美な絶頂感を。
罠にかかった獲物は逃れられず、もがけばもがくほどに深く嵌まり込み、遂には貪られる。それはもう、官能の蟻地獄に等しい。
その事をキャロンは身をもって経験し続けてきた。

「…っ…んっ…んっ…はぁ、はぁ…んっ……」

二の腕に鳥肌をうっすらと浮かべつつ、彼女は肉蛇をゆっくり扱き始める。
しゅに、しゅに、と扱かれるたび蛇はのたうつようにうねり、王女の白い手に粘液を吐き出し擦りつけてゆく。
立ち上り濃くなってゆくすえた粘液の臭いにすっかり包まれ、ため息を漏らすキャロンの頬も少しずつ緩む。
手淫は徐々に速さと強さを増し、肉蛇は先端から先走りを溢れさせながらびくびくと悦ぶ。
手袋をしたままの右手が、銀色に輝く結婚指輪をした素手の左手が白濁した粘液にまみれて汚されてゆく。
しかし彼女は構わず、うっとりしたように肉蛇を見つめながら手での奉仕を続ける。
やがて、彼女の顔は立ち込める牡の臭いに惹きつけられるように徐々にその肉蛇へとにじり寄って行った…

「うむぅっ、んぐ、んぐっ、んっ、んっ、んんっ、む、はぁ、はっぁん、むんっ、んぁ…ぁむ、んぐ、んぐっ、んんぅっ!」

…そして、花嫁の唇を太い肉蛇が犯す。
桜色の可憐な唇を淫獣のような太い肉蛇が幾度も割り、押し広げ、白い歯を、赤い舌を、口の中を蹂躙してゆく。
どろどろした粘液が突き込まれ、引き抜かれるたびに唇を捲り、汚し、零れ、溢れる。花嫁の口が穢し尽くされてゆく。
口の中も、口の周りも濃厚な牡の性臭に包まれ、ひくひく蠢くそこは淫靡な性器のように変えられてしまう。
しかし実際、肉蛇は未だ積極的に口を犯してはいない。彼女自身があのおぞましい肉蛇を咥えこみ、自らの唇を犯しているのだ。
喉を突かれて苦しげに何度もえづき、目に涙を浮かべながらも彼女は手と口の動きを止めはしない。
舌を蠢かせては蛇の繊毛を撫で、唇をすぼめては鱗を擦り、口腔の全てで肉蛇の肌を愛撫しているのだ。

「んぐ、んっ、ぐ、はぁっ、はぁっ、んぁ…ちゅ、じゅるるっ、ちゅうぅっ、ん、んっん!ごほ、ごほっ…あ、む、んっ、んっ、んっ…」

滲み出る粘液を啜っては飲み込み、また啜っては飲み干してゆく。零れた粘液が喉を伝って純白のドレスを汚してゆくのも構わずに。
噎せても、えづいても、キャロンはまるで花の蜜を啜る蝶のように肉蛇の汚れた粘液に舌を這わせ、幾度も口を開いてむしゃぶりついてゆく。
恍惚に蕩けた顔を牡の前に晒し、濡れた唇の端から涎を零すほど夢中になって口淫に耽る浅ましい女の姿。
その姿は最早結婚式直後の花嫁のものとは言えない。ましてや、ラルの女王の姿であろうなどとは…

「ふふふふ、良い姿だぞ、キャロン。それでこそ我が永遠の僕、夜の花嫁に相応しい…」

ラモー・ルーは足元に膝まづいて奉仕を続ける花嫁の姿に満足げな笑みを浮かべていた。
長い年月をかけ、ここまでじっくり、ねっとりと調教を続けてきた成果の結実だった。
今宵を最後に彼女は永久に彼に歯向かう事はできなくなり、最上の蜜奴隷となる。
幾重もの陥穽、飴と鞭、策謀の果てに今宵、彼は尽きぬ力を持つ王女のすべてを手に入れるのだ。

「んぅぅっ!ん、んんっ、ぷぁ、あむぅんんっ!んんんん……んは…あぁぁ…れる、れる、ふぁぁんっ…」

細い触手が幾本も伸び、ドレスの隙間から潜り込んで汗ばんだ脇や背中、乳肌を擽りだす。
乳房を撫でられてキャロンはくすぐったそうに身悶えるが、逸物を握る手と口を放そうとはしない。
触手は増え、スカートのフリルを掻い潜り、白いストッキングの上を這い、ガーターに絡みつき、パンティをつつく。
上質な絹のパンティには既にぬめった染みが出来ている。柔らかな膨らみを触手につつかれるたび、その染みはゆっくり広がってゆく。
そうして触手を咥えるキャロンの口から洩れる声がだんだん甘く蕩け、切ないものになってゆくのだ。

「んっ、んっん、ん、んぅぅぅ!うぐぅっ、わぷっ、げほっ、ごほっ、ごほっ、んぁぁっ!あぁぁっ!あっ、あぁぁぁぁ……っ…」

やがて、一際強い奔流が蛇の口から迸り、キャロンの口の中で溢れかえった。
喉の奥に粘りつくような濃厚な牡の体液が流れ込み、胃の奥がかっと熱くなる。
飲みきれずに唇から離した肉蛇からは粘液が吹き出し続け、びちびちと跳ねる肉蛇によって粘液は噴水のように飛び散ってドレスを汚す。
粘液に濡らされた白い絹のドレスは肌に張りつき、すっかり大人になったキャロンの身体の線をくっきりと浮き出させてゆく。
雨のように降り注ぐ粘液は髪も、顔も、体中全てを牡の臭いで塗り込める。まるでこの女は俺様のものだと主張するように。
キャロンは飲みきれぬ精液を唇から溢れさせながら、かつての仇敵に向かってうっとりとした表情で微笑みかけていた。




粘液にまみれ、汚れきった純白のドレス姿のままでキャロンはラモー・ルーの前に立っている。
着付けは乱れ、薄絹は所々で透けて艶やかな肌を晒していたが、彼女はもう身体を隠そうともしない。
目の前にいる男は少女の頃から今に至る自分の全てを知り尽くし、彼女の全てが彼の手中で自由にされてきた。
だから服を着ていたとしても彼の前では全裸でいるのとなんら変わる所はない。
今こうして、諦めと期待と僅かな希望が入り混じっている自分の心の内すら、この魔王は見抜いているのだ。

そう、だから。
これは契約。私が私でなくなってしまう代わりに、せめて、みんなだけは…。

「さあ、契約を受け入れるがいい」

キャロンの手には青黒く脈打つ卵のような小さな肉塊が手渡されている。それは魔王の心臓の一部『闇の結婚指輪』だ。
このおぞましい肉塊を受け入れた時、キャロンの肉体は魔王と繋がれる。すなわち夜の眷属となるのだ。
魔王は眷属とその配下を攻撃しない。すなわち、ラルの国を攻められることはなくなる。
それが魔王が身体を差し出すキャロンに出した契約の対価だった。
キャロンが今のラモー・ルーに勝つことはもうできず、魔王の出した契約の提案を彼女は受け入れるほかはない。
一人悩んだ末、彼女は決して後戻りのできない背信の夜を迎えたのだ。


その肉塊をどうすればよいか、彼女は説明されずとも理解できてしまっていた。
キャロンは恥ずかしそうに目を伏せ、ドレスのスカートの中に片手を入れると腰で結んだパンティの紐を解いた。
ぱさ、と湿った音を立てて濡れた純白の下着が太ももを滑り落ちてゆく。
そして気持ちを整理するように大きく息を吸うと、軽く肢を広げてもう片方の手で肉塊を自らの秘部へと導いていった。

「ん……っ…んぅっ…ぁ…ぁ…」

ぐちゅ、という湿った音が下腹部で鳴ると、思わず口が開き、腰が引けてしまう。
脈打つ肉塊が濡れた秘唇に当たってぐねぐねと蠢き、ぶよぶよとした感触があそこの奥へと響く。
ゆっくりと襞を開き、卵を咥え込んでゆくキャロンの唇が緩み、呼吸が少しづつ荒くなる。
顔がどんどん熱くなってゆく。ラモー・ルーに一部始終を見られているのが恥ずかしくてたまらない。
しかしもう手は勝手に動き、止められない。徐々に卵は襞を押し広げ、暖かな膣内へと潜り込もうとする。
卵は待ち望んだ女の体に触れて嬉しそうに脈打ち、熱く滾り始めていた。

「はぁっ、はぁっ、あ…はぁ、はぁ…あ…んっ…はぁっ、はぁ……っ、く、あぅぅっ!」

膣口へゆっくり押し込んでいた指がつるん、と滑る。ぶちゅん、と襞が蠕動し、卵はその全身をキャロンの膣内へと潜り込ませた。
瞬間、卵はどくん、と強く脈打ち、彼女の蜜を吸い上げながら膣口付近の急所を抉る。
それだけでキャロンは軽く達してしまい、力が抜けて膝から崩れ落ちるようにへたり込んでしまう。

「あ…あ……あぁぁ…っ…だ…だめ…ぁ……はぁっ…はぁっ…これ…これ…う、あぁぁぁ…っ…あ、あ、あ…」

漏れ出る声が徐々に高く、熱く、甘く、切迫してゆく。
卵が膣内で膨らんで繊毛を生やし、膣内を掻き回しながら子宮へと向かっているのだ。
じりじりと内側から焼かれるような感覚が身体に広がる。お腹の底が煮え滾り、熱く疼いてたまらない。
自分の内側から何かが突き破って外へ出ようとする感覚が湧き出し、キャロンはとっさに自分自身をかき抱いた。

「あぁぁぁっ!あ、熱いっ、あついのっ!あぁっ!あっ、お、おなかが、あぁぁぁぁぁっ!くるし…うっ、ぐ、うぅぅぅっ!」

程なく卵が子宮に達し、ぱちん、と割れた。汚らわしい魔王の血と肉がキャロンの胎内に広がり、付着すると次々に染み渡り同化してゆく。
全身が一気に激しい熱さに包まれ、苦悶の表情を浮かべて喘ぎ悶え苦しむキャロン。汗が幾筋も額から零れて落ちる。
ラモー・ルーの強大な魔力によって急速に身体が浸食され、作り替えられているのだ。
自分が自分でなくなってしまうような感覚。そして自分が内側からはじけてしまいそうな恐怖が彼女を襲う。
キャロンは脂汗を流しながら震え、自分を保とうとするように腕に血が滲むほどに爪を立て、自らを強く抱きしめる。
しかし、その自らを燃やし尽くすような熱が全身へと広がるにつれてキャロンの頬は何故か徐々に緩んでゆく。

「気持ちがよいのだろう?もし清らかな身体のまま我が分身を受け入れたのなら、お前は即座に狂い死にしてしまうはずなのだ」
「あぐぅっ!…く、うぅっ!ん、ぐぅっ…は、はぁっ、はぁっ、はぁっ、あ………あぁっ?……え?…あぁ…あぁぁぁ……あ…」

ラモー・ルーは涙を零しながら蕩けてゆくキャロンの困惑したような表情を見下ろしつつ言う。
身体を襲う熱に浮かされてへたり込み、額から汗を滴らせて震えながら魔王を見上げるキャロン。
そう、彼女は気づいていた。今、胎の奥底から湧き上がり、全身を満たし溢れ出そうとしている熱の正体は悦びだったのだ。

「しかし、今のお前は違う。その身体の隅々、芯に至るまでの全てが我が触手によって淫らに染め抜かれている」
「…あ、あ……いや…そんな…あ、あ…だめ…いや……あぁぁぁ…こんな…こんなの…ヘンっ…あぁぁぁぁ……」

初めて遭ったあの時から長い時が流れていた。幼い少女が大人となる間。彼女は数え切れないほどに身を穢され、淫らに染め尽くされた。
仮初の平和を得てからも彼女は魔王の手によって幾度も貶められ、蜜を啜られ続けて遂には完全復活のための力まで与えてしまっている。
今ここにある薄絹に包まれた、その柔らかくしなやかで豊満な、そして艶やかに熟した肢体は隅々までがラモー・ルーの手で育て上げられた極上の淫果だ。
彼女の身体で魔王が触れていない場所はなく、知らない性感帯は存在しない。キャロンという『女』は魔王の手によって造り上げられたのだ。
魔力による洗脳も脅迫ももうとうに必要ない。いつからか彼女はこの城に来る時、リバースの腕輪どころか剣の一本をも持ち込まなくなっていた。
そして新婚初夜にここへ来るように命じられても断ることが出来ぬほど、彼女は魔王に逆らえなくなってしまっているのだ。

「お前は既に私のものなのだ。それならば我が肉を受け入れるその身体には歓びが溢れるはず。違うか?キャロンよ」
「だ…だめ…はぁっ、はぁっ…あ…あたし…あたしっ……いやぁっ…あぁぁ…きえちゃう…っ…あぁぁぁ…あ、あたし……は…」

潤んだ瞳も、わなわなと震える唇も、零れ続ける溜息も、歓喜を堪えきれなくなっていた。
花嫁の貞操をあらわすはずの純白のドレスはすっかり粘液で汚れきった。
震える身体を押さえようと抱きしめる左手の薬指にある指輪も、美しい髪を飾るティアラも既に輝きを失っている。
ドレスに包まれている熟れた柔肌は昂奮を隠せぬほどに火照り、膨らんだ乳房は透ける乳首を固く尖らせて薄絹を押し上げていた。
無垢な少女だった頃とは違う。少女が大人になるということは自分の気持ちに折り合いをつけるということでもある。
今のキャロンは熟した肢体と淫蕩に染まった自分と、そんな自分が何を望んでいるのかを認め、受け入れることが出来てしまう。
魔王に導かれて官能の味を覚え、貞操や貞淑といった言葉からは一番遠く思えてしまうほどの性体験を重ねて大人になったキャロン。
彼女の身体はもう水を飲むかのように快楽を求め、その性衝動は一度溢れ出せば容易に堪えることができない。
人でありながら淫魔にも等しい淫蕩な身体になってしまった身体を慰め、受け入れるのは最早普通の人間には出来はしない。
彼女を満たせるのはこの世にただ一人。そう、今目の前にいる魔王しかいないことを彼女は悟ってしまったのだ。

そして、ラモー・ルーはこの時を待っていたのだ。


「はぁ、はぁ…はぁ、はぁ…あ…はぁ……んっ…あぁぁ…あ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…あぁぁぁぁっ……」

キャロンはラモー・ルーの言葉にもう言い返すことも抗うこともできない。まぎれもなく、体中からは甘い快楽が溢れ出していた。
自らの震える身体をきつく抱きしめ、涙をこぼし、わなわなと唇を震わせて喘ぐように息をつく。
汗が吹き出し流れる感覚すら心地よい。おっぱいが触ってほしい、強く揉んで、吸ってほしいと疼いている。
息をするたびにお臍の奥は蕩けるように熱く煮え、お尻の穴がむずむずし、あそこからは胎内が蕩けたかのように蜜が溢れ出して内股を濡らす。
完全に発情し、もじもじと身を捩らせている彼女の姿はこの上なく煽情的だった。

「はぁっ………き……きもち……いい…っ……」

やがて大きくため息をつき、キャロンの頬が決定的に緩む。最後の一線が蕩けたのだ。
全身を埋め尽くしていく歓び。身体の奥底から胸の奥とは別の鼓動が生まれてゆく。その鼓動は大波となって胸の奥を攫ってゆく。
自分が作り替えられてゆく恐れを生まれ変わろうとする歓喜がないまぜにしてしまう。
そして溢れかえる幸せがキャロンの心を押し崩す。その濁流のような感情の波を「愛」という言葉で認識した時、彼女の心は遂にはちきれた。
愛する主と一つになって心から解放されてゆく。それはとてつもない歓喜だった。

「……あぁ…ラモー・ルー…あなたを愛します……あたしのすべては…あなたのものです…」

到底耐え切れないほどの歓喜と疼きに震え、涙を流しながら、キャロンはうわごとのように呟く。
花嫁衣装に包まれたまま堕ちてゆく聖女。その姿はたとえようもなく淫らで、美しかった。

ラモー・ルーが満足げな笑みを浮かべた次の瞬間、キャロンの身体に一筋の赤い雷光が走る。
何かが割れ、砕けるような音が彼女の中で響き、遠く消えてゆく。それは魂の輝きといわれるものだったのかも知れない。
かっと目を見開き「あっ」と短い叫び声を上げて身体を反らして震えると、彼女は力が抜けたように首を垂れた。
最後の一瞬、ペルルの笑顔が脳裏によぎり、彼女は声にならぬ声で「ごめんね」と呟く。

それが彼女の、リバースの剣士としての最後だった。




数瞬の後、彼女は顔を上げる。
涙を零すその瞳は大粒の翡翠のように輝き、霧が晴れたような笑顔を浮かべていた。
彼女は今この時、魔王との契りを成して魂を繋がれ、生まれ変わったのだ。
主に全てを捧げ、生も死も魔王と共にありつづける。それは永遠を歩むことが出来るという至福。
絶大な力、尽きることのない命、失われることのない若さ、衰えることのない美貌。そして至上の快楽。
女として誰もが焦がれる願望の成就が、彼女と共にあった。

その証は胎内に刻まれている魔王の紋章。
それは禍々しく息づく彼女のもう一つの心臓。外側からは見えないその証を愛おしそうに彼女の右手が撫でる。
見た目は全く変わらない。しかしこれからの彼女は魔王の花嫁。人の姿のまま時を止めた、夜の女王なのだ。


キャロンは立ち上がり、ゆっくりと主に歩み寄ってゆく。
魔王の前で立ち止まるとドレスをはだけて豊かな乳房をまろび出させる。たわわに膨らみ熟した双果は大人の色香を溢れんばかりに湛えていた。
弾むようなハリは少し失われたが、その分触るものを楽しませて止まぬほどの心地よい感触が増し、桜色の乳輪と乳首が先端で誘うように美しく咲いている。
更にスカートをたくし上げて、下着を着けていない股間を主人の眼前に晒す。
そこはもうしとどに濡れて粘ついた蜜を太ももに滴らせ、股間は牡の逸物を求めて飢えたようにひくついていた。

「ラモー・ルーさま……祝福を…お与えください…」

陶酔したような、甘い声で懇願するキャロン。その声は今まで誰も聞いたことがないほどに妖艶で媚びに満ちていた。
応えるようにラモー・ルーの闇色のローブの裾から肉蛇が幾本も溢れ出してキャロンの腕と足を絡め取った。
身体を釣り上げられ、白いレースのストッキングに包まれた肢が淫猥な蛇に巻き付かれ、大きく股を開かされてゆく。
恥ずかしげに顔を赤らめるキャロン。しかし彼女はもう喜びこそすれ、抵抗することはない。

「あぁっ……」

宙に浮いた身体はそのまま導かれ、キャロンは幸せに満ちた笑顔を浮かべて魔王の胸に抱かれる。
両手を魔王の背に回して抱きつき、足を大きく開いて身体に跨るとその熟した肢体を魔王の胸へと密着させた。
その顔は昼間、村をペルルと馬車で回っていた時のような、幸福に満たされた笑顔だった。

「ふふふふ……さあ、くれてやるぞ。我が逸物を。そして永遠の忠誠を誓うがよい」
「あぁっ…誓います………あたしは…永遠に…あなたの奴隷です……だ、だから…おねがいっ…」

肉蛇の触手たちによってキャロンのスカートが捲り上げられ、白いお尻が露わになった。
幾度も突かれ、叩かれたその尻肉は果汁を洩れそうなほどにたたえたまま餅のように柔らかくふるふると揺れ、昂奮に薄く紅潮している。
物欲しげにひくひくと蠢くスリットは汗と蜜で濡れ輝き、牡を誘って止まぬほどの発情香が漂う。
そこへラモー・ルーの触手が、キャロンを虜にしたあの忌まわしく汚れた肉の蛇が這いずり、舐め擦りながら襞へと迫ってゆく。
キャロンは乳房を擦り付けるようにしてラモー・ルーの身体に縋り付き、お尻を浮かせて浅ましく挿入を懇願する。
昼間の王女を知るものたちは彼女がこのような媚態をすることなど、想像できようはずもないだろう。

「あぁ…来てぇっ……欲しいの…ラモー・ルーさまの触手……熱くて逞しいモノで…あたしを貫いてくださいっ……」
「ふふふ、可愛いやつめ。そう急くな。じっくりと楽しむがいい…」

繊毛のような触手がキャロンの襞に集り、大陰唇を舐めるように一枚一枚と捲り、開かせてゆく。
何度も犯され、蹂躙されてなお彼女の秘唇は美しいピンク色を保ち、膨らんだ花芯が包皮から覗いて瑞々しい真珠のように濡れ輝いていた。
触手の味を知り尽くした、既に期待の蜜でぐちょぐちょに濡れた膣口が開かされて空気に触れ、ひくひくと蠢く様がはっきりと見えるまでになる。
そこへ彼女の胎内を知り尽くした、ぬらぬらと先走りでぬめった極太の生殖器が狙いを定めてゆく。

「は、早く……焦らさないで……あぁぁぁ…身体が疼いて……も、もう、我慢できないのっ……」
「ふふふ、こんなにも濡らしおって……そら…挿れてやるぞ…これでおまえは完全に私のものだ!」

唇に触れる。蜜を涎のように垂れ流すそこは震えながらも口を閉ざすことなく受け入れる。
ぬちゅ、膣口いっぱいにモノを頬張り、なお余る太さに小陰唇が押し広げられる。
ぐ、ぐぐ…ぐ…、襞は限界まで広げられ、秘唇は苦しげに充血する。それを和らげるかのように繊毛が擽り、粘液を塗ってゆく。
ぐちゅり、先端が口の中へと入り込む。狭く、熱く煮えた蜜の壺の中へと、壺の主が入り込み、壺は歓喜をもってそれを迎え入れる。
ずりゅぅっ、長い逸物が膣道を抉るようにその身をひねりながら突き通ってゆく。膣内の凹凸に富んだ襞すべてに触れるようにして。
ずんっ、そして先端は最奥、子宮口へとたどり着く。そこにも魔王の紋章が刻まれている。
ここを叩かれるたびに、彼女は自分の主が誰であるかを至上の快楽とともにその身へ深く刻みなおすのだ。

「あぁぁーーーっ!!」

顎を跳ね上げて快楽と歓喜に染まりきった叫び声を上げ、背中をぐんと弓なりに反らすキャロン。
汗が飛沫き、涙が零れ、蜜が溢れる。体中を渦巻く熱が繋がったあそこを通じて魔王の体に循環してゆくのが分かる。
リバースの力とラモー・ルーの魔力が合わさり、一つの大きな流れとなって二人の間を巡っているのだ。
二人が一つになってゆくのを実感し、彼女は今、身体中の全てが満たされてゆく歓喜に震えていた。
後は貪りあい、蜜を交換することで漲る力が身体に馴染み、儀式は完遂する。邪魔者はもう、どこにもいない。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ!あっ、んっく、ぐ、あぁぁっ!あぐ、んんっ!はぁ、はぁ、あくぅっ!んっ、ふぅ、ふぅっ、うぅんっ!」

ぐちゅ、ぐちゅ、ずちゅ、ぬちゅ、淫猥な水音が結合部から響き続けている。
魔王の身体に縋りついたままキャロンは自ら腰をくねらせ、逸物に自らを深々と貫かせていた。
激しく喘ぎ続けるその顔はすっかり昂奮に赤らみ、時折耐え切れなくなったかのように俯いて首を振る。
しかし触手たちに集られているその白い美肉は、蜜を貪られながらもなお自ら蠢いて快楽を貪ろうとしていた。
襞を捲られ、触られ、擦られ、突かれ、舐められ、吸われ、啜られ、噛まれ、揉まれ、しゃぶられ…
雌の内股にある全ての急所。尻穴も、膣口も、尿道も、花芯も、歓喜とともに触手を受け入れ、喜んでいた。

「あぁぁっ!深くて、太くてっ…気持ちいいのっ…あぁぁ…好き、好きなのっ…あぁぁっ!はぁ、はぁ、はぁ、そこ、そこっ…く、うぅぅっ!」
「フフフ、可愛いやつめ。吸いついてきおる…そら、もっと良くしてやるぞ…」

今や完全に性の虜となったキャロン。あられもなく嬌声をあげ、貪欲なまでに絶頂を求め続ける。
波打つように身体をくねらせ、お尻を回すようにねじり、振り、貫き突き上げる触手の動きに応えて締め付け、煽り立てる。
それは数え切れないほどの経験を重ねてきた彼女の、快楽を求める女としての本能がさせる蠢きだった。
そしてラモー・ルーは身体の上で淫らに喘ぎ悶えるキャロンの痴態を完全に手中に置いている。
乱暴に貫くだけでなく、ゆっくり動かして焦らしたり、じわじわと入り口だけを責めたりして彼女の身体を甘く蕩けさせてゆく。
強く、優しく、緩急剛柔を織り交ぜ、弱点を知り尽くした多彩な責めで肢体を翻弄し、存分に蜜を啜り続けていた。

「す、すごいっ…な、中で…うねって…あぁっ!吸われてっ!あぁっ…はぁ、はぁ、あ、あたしっ…み、蜜吸われて、気持ちよくなってるぅっ!」

キャロンの身体の奥底からとめどなく生まれるリバースの力が、突き込まれた触手によって蜜として啜り出される。
そしてラモー・ルーの身体から発せられる途轍もない魔力の波動が、触手を通じて彼女の胎内に送り込まれる。
奪われ、与えられ、混ざり合うその両者の魔力の循環が途方もない快楽への呼び水となってキャロンを絶頂へと導いてゆく。
それはエネルギーを蜜として啜り上げる魔王だけが彼女に与えることの出来る究極の快楽の形であった。
まるで身体の全てを性器のように扱かれているかのような、生と死を交互に与えられているかのような、人ではありえない、この世ならざる交わりだ。
キャロンの意識は何度も明滅し、悦楽の暴風の中で木の葉のように吹き飛ばされ、くるくると舞い続けるほかにない。

「何度味わっても旨い蜜よ……さあ、もっと流すがいい。代わりに至上の快楽を味合わせてやるぞ…そうら、そうら…」
「あぁぁっ!すごいっ、すごく感じちゃうのっ!…あぁぁっ!たまらない……も、もっと奥っ…突いてぇっ…蜜吸って…イかせて…イかせて欲しいのぉっ!」

触手が激しくピストンするたびにキャロンの秘唇は捲り上げられて和合液を溢れさせ、花芯は擦られて充血し、真っ赤に腫れあがっている。
そして何度もかぶりを振り、背中を反らしてあられもない嬌声を上げ、蕩け切ったキャロンは幾度も絶頂へ登りつめる。
二人の肉体は絡み合い、蕩け、馴染み、交わりあってゆく。光と闇が交差し、溶け合って一つになってゆく。
そしてまだ足りない。まだ満たされない。もっと、もっと気持ちよくなりたいとばかりにキャロンは再び魔王の体に縋りついてゆくのだ。

「あぁ、イく!イくのっ!あぁぁぁっっ!もうダメ、あぐぅんっ!おかしくなる、あたし、おかしくなっちゃうっ!あぁ、またイっちゃうぅっ!!」




「ああぁっ!あぁっ、うっ、うぅっ、んっ、く、くぅんっ、あ、あ、あ、あはぁっ!あぐ、んぅんっ、む、はぁんっ!」

玉座の間に王女の喘ぐ声が響き続けている。
キャロンは立たされ、壁に両手をついた姿勢で後ろから突かれていた。
前に突き出した両手は触手が擬態した壁に埋まって半拘束され、ぬるぬるした感触に指を擽られていた。
ドレスの胸元は完全にはだけられて乳房が露わにされ、触手がそこに吸いつくように巻き付いてむにむにと揉みしだく。
スカートもすっかりめくりあげられ、キャロンは丸出しのお尻をラモー・ルーに突き出し、突かれるたびに尻肉を震わせていた。
冒涜されつくした花嫁衣装は、もうキャロンの胴に絡みついているだけのような有様だ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、あ、あぁんっ!んっ、んんっ、ん、やぅんっ!…あぁ、ダメ、おっぱいも…お尻も…すごく感じちゃうっ!」

ずちゅん、ずちゅんと淫猥な音が響くたび、触手に巻き付かれ淫靡な形を強調された乳房がたぷたぷと揺れる。
乳房だけではない、お尻も、太ももも、あの頃より丸みを帯びて女らしさを増した身体の柔肉がぶるぶると揺れ、注挿に応えている。
大人になり熟した彼女の肢体は少女の頃のような鞠のように張りのある弾力が和らぎ、代わりに吸いつくような質感と柔らかさを備えていた。
それは数え切れないほどの経験を重ね、闇の快楽を味わい尽くして完熟した果実のような肢体だ。
今の彼女は犯され、快楽を与えられるだけの生贄ではない。官能の源泉が自分の内側にあることを認め、それを自ら貪る事の出来る雌である。
ラモー・ルーの触手はキャロンの肉体を導き悦ばせ、快楽に溺れさせてより濃い蜜を得るために弄んでいる。
双果を舐るように揉み絞り、吸盤のような触手が乳首を啜るたびにキャロンはたまりかねたようにかぶりを振り、髪を振り乱して悶えるのだ。
そしてどくん、どくん、とあそこに突き立てられた触手が脈打ち、膣内に溢れる極上の蜜を吸い上げてゆく。

「はぁぁっ、あっく、んぅんっ、んっ、んんっ!はぁ、はぁ、はぁ、あっ、あっ、あぁっ、あぁ…いやぁんっ…もうあたし、ヘンになっちゃぅよぉっ…」
「フハハハハ、まだだ、まだまだこんなものでは終わらぬぞ。もっともっと愉しませてやろう…」

むき出しになっている背中に艶っぽく汗がにじみ、肌を滑って流れ落ちる。結合部から溢れた蜜が太ももを伝って流れ落ちる。
涙が、涎が、ぽたぽたと落ちる。彼女自身から溶け堕ちるように零れるそれらすべては床に擬態した触手が余さず吸い上げている。
蜜を、体液を吸い上げられるたびにキャロンのあそこは熱く滾り、ラモー・ルーの力を粘液を通じて注がれるたびに身体には幸福が走り抜けてゆく。
リバースの力が宿った体はどれだけ蜜を吸われても枯れることはない。しかも身体にはラモー・ルーの魔力までもが循環する。
彼女の身体は循環する渦のような魔力の奔流が生む極上の快楽に完全に押し流されてしまっていた。

「んっ!んっ、んんっ、ふぅっ、う、ひぅっ!んんっ!あ、あひぃんっ!は、はげしっ、あぁぁぁっ!そんなに、されたらっ…あぁぁんんっ!」

熱く煮える蜜壺と化したキャロンのあそこ。甘い蜜をとめどなく滴らせる秘唇に昂奮した触手たちが殺到し、掻き混ぜる。
アヌスも、ヴァギナも、ポルチオも、Gスポットも、尿道口も、クリトリスも、すべてが蹂躙されてゆく。
普通の女性なら壊れてしまうような責めだが、今のキャロンには犯され、蜜を捧げることは至上の喜びになってしまっている。
あそこはきゅうきゅうと痙攣して触手を締め付け、乳房もお尻も触手に絡みつかれながらもっと弄んでほしいと揺れ蠢く。
ティアラが落ちそうになるほどに髪を振り乱し、体を捩って身悶え、背中を反らしてはしたないほどに何度も喘ぎ叫ぶ。
もう止まれない。気持ちよくてたまらない、体中が歓喜を叫んでいる。快楽に堕ちた今、彼女はもう何も考えられなくなっていた。

「いやぁっ…あっ、あ、頭の中、真っ白になっちゃう…あぁ…ダメ、だめ、駄目ぇっ…もうあたし、あたしぃっ!こわれちゃうっ…あ、あぁぁぁっ!」
「壊れはせぬ。お前は身も心もすっかりおれさまのものなのだ。そうら、もっと感じるがいい。快楽を、絶頂を味わい尽くせ…!」

ぜえぜえと切迫した低い喘ぎ声を漏らすキャロンの目の前でばちばちと火花が散り、視界と意識が薄れてゆく。
膣内に突きこみ、引きずり出される触手の感覚と際限なく溢れ出す快感のみが彼女を支配する。
もう立っているのも辛いほど力が抜け、膝ががくがくとして崩れようとするが触手の下からの突き込みによってそのたびに支えられる。
やがてキャロンはよろよろと壁に歩み寄り、寄りかかるような恰好へと移行してゆく。
壁にもたれかかった肘が僅かに沈むように取り込まれ、豊満な乳房は触手に絡みつかれたまま壁に押し当てられる。

「あぁっ、好きなのっ…好きっ…ラモー・ルーさまっ…あぁぁっ!愛してますっ!…だ、だから、もっと、もっと…あたしを、イかせてくださいっ!!」

足元から潜り込んだ無数の触手に弄られ、突き上げられ続けるキャロン。
壁に身体を擦りつけるように押し当てたままお尻を突き出し、背中を反らしながら激しく悶え、喘ぎ続ける。
悦楽に蕩けた顔を晒し、視界は涙と快楽で曇りきり、思考は混濁して霧に包まれる。身体を支配するのは最上の快楽と歓喜のみ。
混乱の中、官能に溺れる彼女はいつしか魔王への愛を口にし、更なる快楽を希求し絶叫してしまっていた。


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城の寝室で、もし見る人がいたのなら大きな姿見の中から外に向かって乳房を押しあて、蕩けた表情で喘ぐ王女の痴態を見ることが出来ただろう。
城の姿見は夜の王宮の好きな所に接続が可能である。そう、彼女は知る由もないが今、この壁の向こうは鏡になっていたのだ。
しかし今、寝室のベッドには酔いつぶれて眠るペルルの姿があるだけだ。キャロンの背徳に満ちた嬌声が寝室に届くことはなく、ペルルが目覚めることもなかった。
それが彼にとっての不幸であったのか。あるいは幸福であったのか、それは誰にも分からない。
しかし、今宵を最後に彼が知るキャロンという少女はいなくなってしまう。それだけは間違いのないことだ。
ラモー・ルーによる悪辣な悪戯にして、彼が妻を取り戻す最後の機会はこうして去っていったのだった。
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「あぐぅっ、んっ、あはぁっ!あ、くぅんっ!んんっ、んはぁっ!ぐんっ、んっ、ひゃぁん!あぁっ、はっ、はぁ、は、くぅぅっ!」

何本もの触手によってドレスのスカートはまくり上げられ、所々は裂かれてお尻や太ももを晒されてしまっている。
そのお尻から太ももにかけて触手がまとわりついて舐め擦るさまが、むき出しのあそこを逸物が執拗に出入りするさまがラモー・ルーの側からはっきり見えている。
恥ずかしい、と思うがそれがかえって体をより熱くさせ快感を強めてしまっている。
立たされてお尻を突き出した恰好のまま犯されるキャロン。力を失い、ふるふると震える足は開かされたまま閉じることを許されない。
股間に割り込んだものが彼女の体の芯を奪い、なり替わるかのように触手が突き上げ、そのたびに彼女は背中を反らし、喘ぎ叫ぶのだ。

「あうぅぅっ!あ、うぅっ!く、はぁ、はぁ、はぁぁんっ!だめ、も、もう立ってられな…あぁぁぁっ!か、からだ、がっ…もう…あぁんっ!」

押し当てられた乳房が壁に捏ねられるようにしてぐねぐねと蠢いている。
ラモー・ルーの体の一部でもある壁の冷たい感触が気持ち良くてキャロンは更に身を寄りかからせ、自分から胸を押し当ててしまう。
溢れた潮や蜜が伝う太ももも、ストッキングに包まれた膝もがくがくと震えている。
もう触手に貫かれていなければ自力で立っていられないほどにキャロンの肢体は蕩けてしまっているのだ。

「そろそろ熱い滾りを注ぎ込んでやるぞ。さあ、その胎でしかと受け止め、果てるがいい!」
「あぁっ、来て、来てぇっ!あたしの中、いっぱいにしてぇっ、あっ!あぁっ!もうダメ、もうあたしっ、イっちゃうっ、はぁ、はぁ、はぁ、あはぁっ!」

膣奥を埋め尽くす触手の脈動にぞくぞくとした震えを全身に感じながら膣道をきゅうきゅうと締め付け、射精をねだるキャロン。
疑いようもない絶頂の予感と昂奮で彼女は胸がはちきれそうなほどの悦びに満たされていた。
それに応えるようにラモー・ルーの触手は一斉に膨らむと熱くどろどろとした濃い白濁をキャロンに吐きかけた。

「あくぅぅぅっ!あっ、あぁっ、熱いの来てるっ、あぁっ!すごいの、くるぅっ!い、イくぅぅぅっ!!うあっ、あぁぁぁーーーーーーっ!」

噴水のように噴出したラモー・ルーの精液が子宮を、膣内を埋め尽くし、染め上げ、溢れかえり、すべてを攫ってゆく。
キャロンは蕩け切った笑顔を浮かべながらそれを受け止め、嬌声を上げて全身を痙攣させ、絶頂へと舞い上がっていった。

「あはぁっ…あ…あ…あぁぁぁ…っ…」

胎を膨れさせるほどにに射精して、なお収まりきらない白濁と絶頂で溢れ出した潮がばちゃばちゃと足元へ落ちてゆく。
やがて精液を吐き出し切った触手が抜かれるとキャロンはそのまま足の支えを失い、膝をがくがくと振るわせると白濁の水たまりの上に崩れ落ちた。
ドレスのフリルと白濁に包まれるように倒れ、荒い吐息をつきながら絶頂の余韻に震え続けるキャロン。
犯し尽くされた秘裂の襞はぴくぴくと痙攣し、白濁を零し続けていた…



そして。

「どうだ、キャロンよ。満足したか?」

ラモー・ルーの問いかける声に、倒れ伏していた彼女はゆっくりと身を起こした。
そして無言のまま手を背中に回してコルセットの紐を緩め、身に纏わりつくドレスを脱いでゆく。
よろよろと立ち上がる彼女が身に着けているのは白い手袋とストッキング、ガーターベルト、そしてティアラだけ。
王女の成熟した美しいボディラインと大人っぽい艶を帯びた肌が魔王の眼前へ露わになり、魔王は満足げに笑みを浮かべた。
冒涜されつくした花嫁は自ら裸を晒すと、愛する主人であるラモー・ルーの身体へと身を投げ出すように抱きついてゆく。
その顔は陶酔しているような、泣いているような、笑っているような、不思議な表情だった。

「……おねがい……もっと…もっと…犯して………あたしを…めちゃくちゃにして欲しいの…」
「フハハハハハ!いいだろう、キャロン。我が愛しき夜の花嫁よ。今宵はお前の気が済むまで犯しぬいてくれるぞ!」

ラモー・ルーが高らかに笑うと床から無数の触手が生えてキャロンの肢体を絡めとり、宙づりにしてゆく。
全身を粘液に塗れた触手に絡みつかれ、足を大きく開かされたキャロンの股の間から大きな蜘蛛のような姿に身を変えたラモー・ルーが迫る。
乳首には吸盤のような触手が吸いつき、口にも触手が突き込まれる。お尻の穴を細い触手が擽りながら侵入し、花芯にも極細の触手が巻き付く。
急速な全身愛撫に声にならぬ悲鳴のような嬌声を上げながらキャロンは迫ってくるラモー・ルーの体の中央にあるおぞましいほどの逸物を見た。

「んんんんーーーーーーーっ!!!!」

みし、ずぶり、と音を立てて王女の秘唇が裂けんばかりに刺し貫かれた時、キャロンは目を見開き、声にならないまま絶叫を上げた。
その顔は恐怖に満ちたものだったが、痛みが失せ、その顔が蕩けてゆくのにさほど時間はかからなかった。
人間の受け入れられる領域を超えた責めすら快楽として享受する、今のキャロンはそういう身体になっているのだ。

そしてほどなく。玉座の間には魔王の花嫁が上げる歓喜に満ちた嬌声が響き渡るのだった。

「あぁっ、あ、ぐ、うぅぅっ!はぁ、ぁぐ、うんんっ!はぁ、は、はんんっ、はぁっ、はっ、はぁっ、あ、ああぁぁぁぁぁーーーーーーーぁっ!!」






窓から差し込む日差しのまぶしさにペルルはようやく重たい瞼を開いた。
頭はまだがんがんしている。やはり飲みすぎたようだ。
どうやって寝室まで戻ったのか、いつまで飲んでいたのかまったく覚えていないが、それでも部屋には戻れたらしい。

「おはよ、ペルル」

傍らには先に起きていたらしい、愛する妻が自分の寝ぼけ顔を見つめていた。
ふかふかのベッドの上、裸の二人が一つの大きな白いシーツにくるまっている。
未だ朦朧とするペルルの頭にはキャロンの太陽のような笑顔は日差しよりまぶしく思えた。

「ああ、おはようキャロン。さすがにまだ眠いよ」

キャロンは笑うと甘えるようにペルルの胸に額を寄せてゆく。
ペルルは腕を回し、キャロンの肩を抱いた。
こうして一緒のベッドで目覚めると夫婦になったんだなという気持ちが湧いてくる。

「そうね、侍女も起こしに来ないし、もう少しこうしていよっか」

裸のまま寄り添ってくるキャロンのぬくもりがペルルに伝わってくる。
柔らかくすべすべした肌の感触に少しづつ身体が覚醒してゆく。ついでに他の所も…
そういえばせっかくの初夜だったのに全く記憶がないのはちょっとなあ、という気持ちも芽生え…

「そうだね。じゃ、もうちょっとだけ…っ」
「あんっ…もう、だめだったら……あ…やぁんっ、エッチ……んっ、もう…しかたないわねぇ……ん…」

がばり、とペルルがキャロンの肢体に覆いかぶさった。
弾力を失わず、かつ柔らかく温かい至福の感触に包まれるペルル。
キャロンは幸せそうに微笑みながらペルルの愛撫を受け入れ、シーツの中で二人は子供がじゃれあうように絡み合ってゆく。
どちらからともなくキスをして手を繋ぐ二人。二人の指には同じ結婚指輪がある。

幸せだ、とペルルは感じていた。そしてこの幸せを決して離さないようにしよう、と強く心に誓うのだった。


キャロンが薬指にしている指輪の内側には「C L P」という文字が刻んである。
しかし、その「P」に爪で引っ掻いたような傷が付け加えられ、文字が変わっていることをペルルは知る由もない。
すなわち、「R」である……