昼でも薄暗い鬱蒼と茂った森の中。
その細い道を奥へ奥へと歩いてゆく少女の姿があった。
赤い服を着た、大きなポニーテールの目立つその少女はラルの国で一番有名な少女だ。
王女キャロン。魔王を倒し、国に平和をもたらした勇者。
少なくとも剣も持たずにこんな所を歩いていていい身分ではないはずだった。
そして、少女の前方を占い師風のローブを着た妖しい男が先導している。
二人のほかは誰もいない藪道の更に奥へと二人の姿は消えてゆく。



その日、少女はいつものように城を出て町を歩いていた。
果物屋で買ったリンゴを齧りつつ、これから何処へ行こうかとあれこれ考えていると
不意に、どこかでパチン、と何かが鳴る音がした。

その瞬間、少女の足が止まり、手にした齧りかけのリンゴを取り落としてしまう。

『……オマエハワタシノモノダ…』

耳元に囁く声がする。
誰?と振り返ろうとするが、振りかえることも動くことも出来ず、その者の顔を見ることはできなかった。
既に彼女の意識は術中に囚われていたのだ。
心の中に言葉が反響し、浸透してゆき、次第に視界が狭くなってゆく。
意識がゆっくりと遠のき、少女の記憶はそこで途切れた。


気がつくと、いつの間にか、目の前にフードを被った『知らない男』が居た。
男の口が何かを呟くように動く。
男が背を向けて歩き出すと、少女もそれに合わせるように歩き始める。

『彼の後をついてゆく』

それだけがキャロンの脳裏に浮かんでいた。
意識はあるのに、どこか夢のようで体の自由が利かない。
目は見えているのに虚ろで、ふらふらと視界が揺れている。
もしもその瞳を見る人がいたなら、光を失っていることが見て取れたことだろう。

キャロンは今、男に操られて自我を失っているのだ。

そして彼女は男に導かれるまま、森を目指し歩いて行った…




再び、気がつくとキャロンは広い寝室の椅子に腰かけていた。
窓の外には広大な森が見える。村まではかなり距離がありそうだった。
足の疲れ具合から歩いて来たのは間違いないのだが、
自分がどうやってここまで歩いてきたのかも、何故ここにいるのかも分からない。
一刻も早くここを立ち去ろうと思うのだが、どういう訳か席を立つことは出来なかった。
縛られているわけでもないのに、腕は動かせず、足を動かすことも出来ないのだ。
手も足も動かせずに、椅子から立つのは酷く難しい事だ。少女は焦りを覚え始めていた。

何度か目の立とうとする試みに失敗した時。ドアが開き、フードを深く被った占い師風の男が入ってきた。
手には香炉とワインらしき瓶がある。彼はそれらをテーブルに置くと恭しくキャロンにお辞儀をした。

「ようこそ我が家へお帰りくださいました。キャロン王女」

「あ、あなた誰なの?ここはどこ?」

声が出せるらしいことを確認し、キャロンが喚く。
男はその様子を見て薄く笑うとキャロンの方へゆっくり歩み寄る。

「わたしですか…そうですね……貴女の情夫とでもお呼びいただければ…」

「ふっ、ふざけないで!あたしを離しなさい!こんなことしてタダで済むと思わないでよね!」

喚き続けるキャロンに対し、男は慇懃な態度を崩さない。
既に少女は男の手の内に落ちている。これしきの罵声、かわいいものでしかない。
そして、少女の目の前まで歩み寄ると、懐から紅く光るブローチを取り出した。

「まあまあ、落ち着いて。こちらをご覧ください」

「えっ……なによ、こ…れ……」

「とあるお方から拝領した逸品です…素晴らしいでしょう…この色、この光…さあ、じっくりと…ご覧下さい…」

金の鎖に血のように赤い滴型の水晶がついたブローチが揺れる。紅い光がゆっくり揺れてキャロンの瞳に映った。
その紅い水晶を見た瞬間、キャロンの目は繋ぎ止められ、身体は動きを止めてしまう。
赤い、赤い、水晶。奥底に暗い光。揺らめき、立ち上り、煌く。光。
薄暗い部屋の色と相まってその色はやや昏い紅に見える。
昏い光に少女の瞳が吸い込まれてゆくと、少女の吐息が少しづつ熱くなってゆく。

「ほら…これに見覚えはありませんか?……この紅い輝きを……」

「あ……い、いや…」

見た覚えがないはずなのにキャロンの心の奥が『あれはいけないものだ』と叫ぶ。
しかし、顔をそむけようにもブローチから目が離せない。
何故、こんな所に、こんなものが。そして何故、これを、見てしまったのか。
紅く、昏い光が目の前をちらつく度に彼女の心は底のない闇に囚われてゆく。

「フフフ……この色はかつて貴女の全てを捕らえた色…この色は知っております…貴女の心のうちの全てを…」

「あ……はぁ、はぁ…はぁ…や、やめて…いや…」

男が少女の耳元で囁くと彼女は身体を震わせ、弱々しい拒絶を口にする。
最早彼女に出来る抵抗はそれくらいのものになってしまっていた。
そしてキャロンは思い出してしまう。その光はキャロンが最もよく覚えてしまっている色だ。

「そう、貴女は知っているはずだ…あの天にも昇るような心地よさを…欲しくはないかい…?さあ……」

男の囁きに堪えかねるように少女は吐息を荒げ、思わず頷いてしまう。
それは欲望の肯定。自分の内側に潜む情欲の疼き。敗北の記憶。
いつしか、男の声からは慇懃さが消え、嵩にかかって少女の心を責め立てる。

「…ち、ちがう…うそよ……そんなはず…ない……あいつはもう……え?……どうして…?からだ…が…痺れて…」

嘘だ、と思うのに男の声が身体に染み入ってくる。
偽りだと確信できるのに、赤く妖しい光から目が離せない。妖光に縛られた躰が記憶を再生し、脳へ鮮明に蘇らせる。
あの色はかつて少女の肌を犯したもの。縛り、締め付け、撫で擦り、舐め、貫いたもの…忘れようとも忘れられない色だ。
あのぬめぬめとした、生暖かく、冷たい、臭いのする…魔王の……ラモー・ルーの目……自分の心を犯した瞳の色…!

「さあ…よく見なさい……これは貴女の欲しがっていたものだ…もう逃げられはしない……さあ…思い出しましたね?」

「はぁ…ぁ…はぁ…はぁ…あぁっ……ラ、ラモー・ルーの眼……あの、赤い、光…あぁっ……あの、熱い、舌……」

キャロンは震えだす身体を思わず抱きしめる。
いつ腕が動かせるようになったのか、気づく余裕は既に無い。
服の上からでも分かるほどにはっきりと強調された乳房が、その先端の突起が震えている。
吐息は荒く、熱くなり、喉が渇いてゆく。どくん、どくんと胸の鼓動が高鳴り、早くなってゆく。
汗が頬を伝い、ぽたりと床へ染みる。頭が熱い、頬が熱い、耳が熱い、胸が熱い、お腹が熱い、身体が熱い…!
少女を苛む熱。それは快楽を知った牝の躰が牡を求める衝動、疼きだ。
牝の躰が疼きに囚われてしまったからには、行き着くところはもう一つしかないのだ。

「……そう…落ち着いて…力を抜くのです………そう…いい子だ……もうじき…身も心も…私のものになる……」

「…あぁっ…だめ……やめて…………あっ……」

あの忌々しい魔王の…あの時と同じ言葉が…耳元から…潜り込んでくる…心が、封じ込まれてしまう…!
身体が鮮明に記憶を蘇らせた瞬間、男の声に押し切られるようにビクン!と大きく震えると、翡翠色の瞳から光が失われていった。
再現された記憶によって、躰が記憶を反芻してしまったのだ。少女は今、あの時の魔王の城と同じように心を奪われたのだ。
キャロンを捕えていた無意識下の拘束が全て外れ、少女はそのままゆっくりと絨毯の上へ崩れ落ちる。
心を捕らわれた少女にはもう肉体的な拘束は必要なくなったとばかりに。

「……さあ、また愉しませていただきましょう。天上の果実の味を…」

男は足元に倒れ伏したキャロンを見下ろしながら哄笑し続けた…



「さあ、立ちなさい。キャロン」

男の声にキャロンは目を覚ます。はっきりとしない頭を何度か振り、ゆっくりと立ち上がる。
目の前にはベッドの端に腰かけた男が座っていた。男はローブを脱ぎ、素肌にガウンを羽織っていた。
頭がはっきりしない。目が覚めているのに夢の中にいるかのような現実感のなさがある。
城を出てから今まで、自分が何をしたていたのかが思い出せない。ここがどこで、何故ここにいるのかも。

「よろしい。では、手始めに腕輪を外してもらいましょう」

腕輪は降魔の光剣たるリバースの剣そのものである。これを外したら彼女には戦う術がなくなってしまう。
見知らぬ男は悠然と言い放ったのだ。唯一にして最大の武装を捨て、無防備になれと。

「何をばかなことを言ってるの?あたしが自分から外すわけがないじゃない!馬鹿にしないで。あたし帰るからね!」

言い返すキャロン。しかし、男は余裕綽々とした笑みさえ浮かべている。
バカバカしい、と少女は立ち去ろうと踵を返して、背後にカチャンという音を聞いた。

「え……?」

それはリバースの腕輪だった。自分の右手が腕輪を外し、床へ放り捨てていたのだ。
床に落ちた腕輪を男が悠然と回収し、光を通さない封印の箱に収めてゆくのを少女は呆然と見つめていた。
催眠術に心を捕えられたキャロンは今、男の命令に背くことが出来ない。
そのことを知る由もなく、気づくことも出来ず、何故?と思う間にも男の声が少女にかけられる。。

「よろしい。次は服を脱ぎなさい」

「嫌よ!なんであんたなんかの前で脱がなきゃいけないのよ!…えっ?いやっ、手が、勝手に…!どうして?」

拒否を口にした少女の視界を自分の服が塞ぎ、キャロンは再び驚愕する。
自分の意志とは無関係に身体が動いてる?と思う間に視界は開け、素肌に外気が触れる。
腕が勝手に自分の服を脱がそうとしているのだ。

「どうして?手が勝手に動いちゃうの?あなた、あたしに何かしたの?…いやっ!止めてっ!脱がせちゃいやぁっ!」

焦っている間にも手は勝手に上着を脱がせ、ブラなしでも形よい実りを保っている豊かな乳房をまろび出させる。
キャロンの顔が羞恥に熱を帯び始め、いやいやをするように体を捩れば、豊かに実った乳房がふるふると揺れる。
しかし自分の手を止めようとして力もうとしても力は入れられず、脱ごうとする動きを止められない。

「さあ、下も脱いで、裸になりなさい」

「いやっ、やめて、やめてぇっ!恥ずかしいよぉっ……あ、だめぇっ…あぁっ…脱げちゃうっ…裸、見られちゃう……」

恥ずかしさに声を上げる少女をよそに、自らの手が赤いブルマに添えられ、太ももを伝うようにするすると降ろされ、床に落ちる。
遂に少女は白い肌と下半身の肉体美を際立たせる赤いパンティ一枚の姿になってしまう。

「何をしているのです。全部脱ぎなさい」

恥ずかしさに手を止める半裸の少女へ男の容赦のない声がかけられる。
キャロンは恥ずかしさと被虐に思わずふるふると肌を震わせた。

「いや、ダメっ…どうして逆らえないの?…手が勝手に動いて…こんなの…いやっ…あぁっ…全部見られちゃう……」

キャロンは羞恥に顔を赤らめながら手を阻止しようとするが、パンティは自らの手によってずり降ろされて捩れた紐になり、
むちっとした太ももを伝って細い足首を抜け、右手に引っ掛けられると、ぽとりと足元に落とされた。

小柄ながら女性らしい凹凸に富み、柔らかそうなその裸身。健康的な小麦色の肌。ポニーテールから覗く細いうなじ。
柔らかそうでいて弾力に富む、たわわに実った乳房。赤く膨らみ、ツンと上を向いた乳首。
可愛らしいお臍。スマートなウェスト。カモシカのように健康的に引き締まりつつ、むっちりとした曲線美を持った太もも。
弾力のある肉をいっぱいに湛え、垂れることなく引き締まった桃のようなお尻。
あそこにうっすらと生えていた麦の穂のような金色の繁みは失われ、ぷっくりと膨らんだ恥丘の全てを晒している。
そして太ももの付け根と恥丘の間、秘部からは、馨しいほどの牝の匂いが漂っている。
少女らしい美しく実ったハリのある肢体は雄を知ったことで幾分柔らかくなり、
健康的で、むちっとした肌に、匂い立つような艶と色気をも兼ね備え始めていた。
成熟の極みに達しつつある若き王女の裸身。それは匂い立つほどの芳醇な蜜を湛え、牡を誘惑して止むことが無い。
少女は自分の意志に反して着衣を脱いで全裸になり、自分を操る男の眼前に全てを晒してしまった。

「美しい……流石は魔王の寵姫と呼ばれたお方…」

感嘆の声を上げ、溜息を吐く男。
キャロンは『寵姫って何よ、知らないわそんなの!』と言いかえそうとするが声が詰まって出せない。
そして無遠慮な男の視線から逃れようともがいても、身体も自由にはならず、もじもじと身を捩るのみ。
それどころか、見られている肌が徐々に熱を帯びているような気がしてくる。
心は逃げたがっているのに、身体はいやらしい視線を受けて恍惚としてしまっている。
男の術のせいでもあるが、ラモー・ルーを始め、数限りない魔物に犯され、その快楽に幾度となく溺れてしまった自分は
もう、そう言われても仕方ないのではと心のどこかで思ってしまっているのだ。

「さて…そうですね……キャロン王女。まずは、自慰をしてもらいましょうか」

「え?」

「したことがない、などとは言わせませんよ?さあ。自らの手で、その身を弄ぶのです。いつもしているように…」

男の声に戸惑う少女。一瞬、何を言われたのか理解できなかったのだ。
しかし、男の声が重ねられると顔を赤くし、俯いてしまう。

「ば、バカな事いわないで!…どうしてあんたの前でなんてっ…恥ずかしいこと…はっ…だ、だめ…いやぁっ…」

よりによって知らない男の前で痴態を晒すなんて、そんなこと出来るはずがない。
…そう思うのに、彼女の右手はいつの間にか自身の乳房に触れていたのだ。

「な、なんで…こんな……だめ、止まって…ひゃぁんっ!」
(ダメ、ダメよっ…こんなの…こんな奴の前でなんか…いやっ、なんで勝手に…あ、だめ、だめぇっ…)

内心の困惑と拒絶にも関わらず、キャロンの手は勝手に動いて乳房を揉みしだく。
手はいつも自分がしているよりも巧みに、弱い所を集中的に責め立てていた。
左手も追加され、気持ちよくなってしまうたびにさらに愛撫は激しく、容赦なくなってゆく。
瑞々しく、弾力のある乳肉がぐにぐにと揉み潰され、捏ねられるたびに感じやすい少女の身体は体温を上げてゆく。
吐息が徐々に湿っぽくなり、むずがるように身体をくねくねと泳がせ始める。

「んっ…んんっ…ぅ…ん…だめ…手…止まらないよぉっ…そんなにエッチにいじっちゃ、いやぁっ…はぁっ、はぁっ…」
(か…感じちゃ…ダメ…あ……いやぁっ…あたしの手…自分のものじゃないみたいに……エッチに動いて…)

自分の指の一本一本がまるで触手のように、柔らかな乳房へ絡みつき、吸い付いてゆく。
細い指先を弾力を愉しむように埋め、きめ細かい乳肌の上を愉しむようになぞり、爪で優しく掻く。
それはかつて、自分がされたように。自分の手が身体に刻まれた記憶を蘇らせてゆく。
そうされるたびにキャロンはびくんと体を震わせて、感じ始めていることを自白してしまう。


「はぁ…はぁ、はぁ…っ…ぁ…はぁっ…止めて…んんっ…はぁ…ぅ…っ…はぁっ…止めてぇ…っ…」
(きもちいい…だめ…このままじゃ…あたし…っ………戻れなくなっちゃう…)

肌にしっとりとしたものが浮かび、口を引き結んでいられない。
乳房だけでここまでになってしまうのでは、この先どうなってしまうのか。
キャロンの心に焦りが生まれる。
何かの術をかけられたのは間違いないのだが、それが何なのか、いつかけられたのかも分からない。
洗脳ではないのは意識がしっかりしていることから明らかなのに、身体の自由だけが奪われてしまっている。
あの水晶には魔力などは感じなかったし、目の前で痴態を愉しんでいる男からも魔力を感じないのだ。
しかし、追い詰められながらの思考は男の声で寸断される。

「さて、そろそろ下の方はどうかな?濡れてきているのか確認してみようか…?」

「な、なにを…っ…や、やめてっ、だめっ……そこは…あ、あふ、んぅんっ!」
(ダメ!いま、あそこさわったら……がまんできなくなっちゃう…!だめ、だめぇっ!)

内股が湿り気を帯びてきているのは自分でも分かっていた。無意識に内ももを擦り合わせるようにし始めていたからだ。
今、触られたら間違いなく感じてしまう。気持ちよくなるのを止められなくなってしまう。
しかし、抵抗の甲斐もなく少女自身の右手は肌を撫でるように滑り降りてゆき、つるんと恥丘を滑り降り、股の間に中指を触れた。
それだけで身体がびくんと震え、快楽電流に肢体が跳ねた。彼女は悟らされる。
このままではまた、自分の身体に負けてしまうと。自分の手に犯されてしまう、と。

「あ、あぁ…あぁっ、やっ、だめ…ぇっ、こ、こんなの、いやぁっ…あぁんっ!はぁ、はぁ、うぅっ!」
(今…一瞬だけど…あたまが真っ白になっちゃった…あたし、感じちゃってる……もう、我慢できないよ…!)

耐え切れず嬌声を上げてしまう少女。腰が引け、後ろへ突き出されたお尻が震える。
思わずあごが跳ね、開かれた唇が震え、きつく閉じられた睫毛も震えていた。
自分でする時よりも快感が深く、昏い。じん、とあそこが痺れ、もっと触ってほしいと疼きだす。
止めようと思ってもキャロンの両手は本人の意思を裏切り、快感が身体を蝕み続けるのだ。

「あっ、あふっ…ぅ…んっ、やっ、あんっ!さわっちゃ…ダメ…ぇっ…んんぅっ!、く、うぅんっ!」
(いやっ!あたしの手…止まらない…っ…くちゅっくちゅって音がしてる…あぁぁ…気持ちいいの…もう、ダメぇ…っ!)

痴態を見ながらニヤニヤ笑っている男に怒りを覚えるものの、男を睨みつける事も出来はしない。
涙ぐんで弱々しくかぶりを振る姿が、逆に男の嗜虐欲を刺激してしまっている。
肢体を熱くさせ、痺れさせてゆく快楽の波に合わせて艶っぽく身体をくねらせ、荒い吐息を漏らすのみだ。
そして身体を弄ぶ両手は自身が昂奮してきていると悟り、急所中の急所を責めにかかる。
左手は乳首を摘まんでくりくりと捏ね、右手は陰唇を捲り上げ、陰核へと中指を這わせていったのだ。

「さあ、自分で自分を犯すのです。キャロン王女。もっと気持ちよくなれますよ…」

「んんっ!やっ、止まって…お、おねがい…っ、そこは…あっ!やめてぇっ、あぁっっ…はぁっ、ぅく、うぅんんっ!!」
(こんな…いやらしい事させられて……きもち…いいなんて…あぁ……だめ、なのに…)

ビクンと大きく震えるキャロン。指に絡みつく蜜の感触が、昂奮に充血し熱くなった膣内の温度が伝わってくる。
ぐちゅぐちゅ、といやらしい水音が立てられ、耳をも苛む。溢れた蜜が指を濡らし、太ももを伝う感触がある。
強く抓った乳首がじくんと痺れ、強すぎる快感に涙が滲み、頬を零れ落ちてゆく。

「あぅっ…はぁ、はぁ、ん…っぁ…あっ、うぅぅ…んふぅっ…く…はぁ、はぁ……だ、だめぇっ…」
(もう……こ…こんなに濡れてる…あたし…自分の手に犯されてる……いや…こんなの…いやぁっ……)

男の声に焚きつけられたように、内股になって足を閉じようとする動きを手が拒み、指は容赦なく陰核を責め立てる。
結果、脚は閉じたり開いたり、腰を前に突き出したり引いたりして、お尻を振り続けることになる。
その仕草が感じてしまっていることを雄弁に語り、雄を誘う艶舞となっていた。
顔は赤らみ、瞳は潤み、艶っぽく半開きに開かれた唇には赤い舌が覗いている。
少女の震える脚ではもう、立っているのもやっとといった様子であった。

「まだまだこの程度じゃ気持ちよくなれないのではないかな?そう、あの時の事を思い出して自分を責めなさい…」

「あぁ、あぁっ、あぅっ、はぁ、あくぅっ…んんっ!…はぁっ、はぁっ…あふっ…ううっ!ん、んっぁ、あひぃっ!」
(ああ…あたし、すごく感じちゃってる……カラダが熱くて…たまらないよぉっ…も、もう…ダメェっ…)

突如、陰核に添えられていた指がぬるりと滑り、少女の膣口へと潜り込んでしまう。
指の腹が膣内の細かい凹凸を撫ぜながら奥へと入り込むとキャロンは大きく喘ぎながら膝から崩れ落ちる。
遂に少女の足が自身を支えきれなくなったのだ。

「あぁぁぁっっ!!!」

膝立ちの体勢になりながら、なお身体を弄ぶキャロンの指。
Gスポットを中指が優しく揉み、ぐちゃ、ぐちゃと水気を増した音が空気を混ぜながら少女の膣内を掻き混ぜると、
キャロンは堪らず背中を弓なりに反らして喘ぎ声を上げる。

「その指はラモー・ルーの指だ…貴女は今、ラモー・ルーに犯されているのだ…どうだ、気持ちいいだろう?」

「あぁぁっ!ラモー・ルーの指!あの熱い指があたしのナカ、掻き混ぜてるっ…だめ、もう、こ、このままじゃ…!あたし、イっちゃうよぉっ!」

忌まわしい魔王の名前を出された瞬間、少女の躰は一段と大きく跳ねた。今の少女には男の言葉だけが本当の事になっているのだ。
少女の指は今、魔王の触手と化している。熱くぬめった、忌まわしく、悍ましく、そして心から待ち望んだ愛しいあの舌に。
少女の柔軟な身体が大きく俯き、また背中をぐんと反らせながら指で弄り続けているあそこをつきだすようにし、
あるいは前屈みになってお尻を後ろへ突き出し、自分の指の緩急に翻弄されるようにしてキャロンは淫らな踊りを続ける。
顎を上げて快楽に溺れたはしたない顔を晒す少女。吐息は熱く、切迫してゆき、彼女の身体が限界に近いことを物語っていた。

「そんなに水音を立てて…なんとはしたない娘だ…そんな娘はラモールーの牝奴隷こそが相応しい…」

「はぁっ、はぁっ…あたし、ラモー・ルーの牝奴隷にされて…ん、くはぁっ!あぁぁぁっ…あ、い、いいっ!…、もう、あたしっ…イっちゃいそう…!」

男の言葉に誘導され、キャロンは今、ラモー・ルーとの逢瀬を幻視していた。触手に囚われ、肢体を弄ばれ、快楽に堕とされてゆく自分の姿を。
俯いて幾度もかぶりを振り、前髪を振り乱す。腰を蠢かせ、指を注挿するぐちゃぐちゃという音に酔いしれてゆく。
そのリズムはいつしか一定のものになって高まってゆく。そう、まるで男の言葉に犯されているかのように…
そして大きく喘いで前髪を跳ね上げると、露わになったその顔はすっかり淫蕩に蝕まれ尽くした雌の顔だ。
赤く染まった頬、だらしなく緩んだ口元、潤んで涙を零す瞳、雄を覚えた少女が快楽に負けて女へと変わった証左であった。
自分の指に責め立てられ続けた彼女の心が、遂に決壊してしまったのだ。

「さあ、そろそろイってしまいなさい…!みんなが見ていますよ」

「はぁっ、はぁっ、あっ、あぁっ、イく、あ、あたし、もう、イキそうなのっ…いやぁっ、はぁ、あぁっ!もぅ…あ、あたしっ…がまんできない…っ」

男の声で少女の幻視している風景が変わる。少女の周りに無数の男たちが立っている。すべて裸身で、すべての陰茎が屹立していたのだ。
目の前で笑っている牡達の容赦ない視線に晒され、牡の陰茎の臭いに取り囲まれ、少女は恥ずかしくてたまらなかった。
しかし、視線にさらされながらも手についた蜜を身体に塗りたくって被虐的な快感に鳥肌を立て、涙を零しながら震えてしまう。
相反する心が分かれ、ばらばらになってゆきながら、少女は快楽の濁流に押し流されてゆく。

「いやぁっ…エッチなあたし、見られて…オナニーで、い、イクとこ、見られちゃう…もう、だめ……あぁっ…イくっ、イっちゃうよぉっ…」

ぐちゅり、と彼女の指が自分の一番感じるところを抉る。2度、3度……止めることもなく柔肉を一気に掻き回す。
ぐちゃぐちゅずちゃびちゃ…幾度も強く掻き混ぜて、快楽を求める身体は彼女の心を置き去りに一気に絶頂へと駆け抜けた。
キャロンの身体中に震えが走る。幾度も経験し、幾度経験しても飽くことのない禁断の果実が少女の奥底から迸る。

「はぁっ、はぁっ、っぁ、いや…いやぁっ…あぁぁっ…あ、あたしがイくとこ、見てぇっ!…あぁぁんっ!…イ…イク…イくぅっ…あ…あぁぁぁぁっ!!」

おとがいを上げ、喉を絞りつくすような高い嬌声をあげながら、少女は絶頂した。
びくん!と少女の肢体が大きく跳ねあがって硬直し、あそこから潮が噴き出して絨毯を濡らしてゆく。
弓なりに身体を反らしたまま、ぶるぶると震えて絶頂が生み出す至高の快楽を味わい続ける。
頭の中はもう真っ白で何も考えることが出来ない。今この瞬間を幸せとさえ認識してしまっていた。

「あっ……」

潮が吹き終わると、ふっと身体が弛緩し、力を失って倒れこむキャロン。
息は荒く、上下する背中には汗が浮かんでしっとりと濡れ、
蜜が飛び散ったお尻は新鮮な果実のようにふるふると揺れている。
絶頂に至った性感は未だに身体の中にじんわりと響き続け、時折びくんと肌を震わせていた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…んっは…はぁ……」
(…イっちゃった…あんなやつの前で……エッチなことして…はずかしいよぉ……)

ゆっくりと少女の意識が戻ってくると、現実を思い知らされる。
男の目の前ではしたなくイってしまった。しかもあんなに乱れて。
キャロンの心は千々に乱れ、羞恥と快感に背中を震わせ続けるのみだった。
少女は夜明けまで続く今宵の狂宴での最初の絶頂に果ててしまったのだった。



「なんと美しく、そして淫らなお姿。流石はキャロン王女」

ぐったりと脱力して、裸身を横たえている少女の頭上から、男の声がかかる。
こうなってしまったからにはもうどういうことになるのかは分かっている。
キャロンは今までの経験から熟知してしまっていた。
かくなる上はどうにかして隙を見つけて逆転の一手を探すのみだ。
しかし、それが薄い望みであることも少女は今までの経験から熟知してしまっていた。
千々に乱れる心を必死に押さえつけながら体を起こし、顔を上げる少女。


その目の前に全裸になった男が座って足を広げていた。
横たわる少女を見下ろすようにして痴態を眺め続けていた男の裸身。
顔を上げ、その中心で屹立するモノを、彼女は正面から見てしまう。

「さて、次はこれを。丁寧に頼みますよ」

男の声がかけられる。しかし、少女は視線をモノから離すことが出来なかった。
浅黒く、逞しく、大きく、長く、太く、硬く、反り返った男の逸物。
彼女は自身の身体が未だ男の支配から自由になっていない事に愕然とする。
逸物から漂う濃厚な牡の臭いに息を飲み、喉を鳴らし、キャロンは手を伸ばしてすり寄ってゆく。
まるで喉が渇き、水を求める人のように半ば口を開け、熱い吐息を漏らしながら男の足の間に座り込む。

「あ……ぁ…いや…あ……あぁっ…はぁ、はぁ、はぁっ…あ…ん……」
(え?身体が勝手に…いやっ、いやぁっ!こんなやつのモノなんて、なんで舐めなきゃいけないの?だめ、とまってぇっ!)

そっと手を触れてその熱さに驚き、間近に寄ってその臭いに鼻を鳴らし、握りしめて弾力を感じる。
足を広げた男の股間にすっぽりと収まるように膝をついた少女は、ゆっくりと男のモノへと舌を伸ばしていった。
亀頭を丁寧に舐めまわして唾液で濡らしながら、陰茎をゆっくり扱いてゆく。
びくんと痙攣するモノに妖しい笑みを浮かべながら亀頭の根元を捏ねる。
唇の先で突き、摘まむように咥え、先端を擦る。

「んんっ…はぁっ…あむっ……んん……んぁっ…れる…れる…はぁっ…あぁ…」
(いやぁ…っ、止まって、止まってよ…なんで、こんなやつの……おっきい…いやぁっ…)

少女の口淫技はとても素人のそれとは思えぬほどに熟達している。
それは彼女がそれだけ経験を重ねていることの証左でもある。しかし、その殆どは恋人相手のものではない。
数多の男に、そして魔物に教え込まれたのである。

「んんっ、むぐ、うぅっ…むっ、むっ、んはぁ…ぁむ…ん、ん、ん、んっ…」
(身体が勝手に動いて…あたしのものじゃないみたいに…口と手が…すごくエッチに動いてる…あぁ…すごい…)

唇をすぼめるようにして細くし、密着させながらモノを口に含んでゆく。
モノの熱さを口の中で感じながら舌で亀頭を揉む。
唾液に先走りが混じり始め、苦みを感じて少し眉を歪めるが、そのまま喉までモノを突き入れる。
咽る一歩手前で止めてゆっくり引き戻す。そして徐々にテンポを上げてゆく。

「ふふふ、お上手ですよ…これは愛しいあの方の肉棒です……もっと心をこめて奉仕しなさい…」

「じゅるるっ、ちゅぷっ、む、ん、ぁ…ん、はぁ、はぁ、あむ…む、むっ、んぐ…んっ、んっ…」
(…だ、ダメ…このニオイ…この味……あぁ…だめ、もっと欲しくなっちゃう…ダメなのに…ガマンできなくなっちゃう…)

舌を這わせ、吸い込みながら手で扱く。懸命に奉仕を続けるうちに少女の胸や胎に切ないものがこみあげてくる。
愛おしいような、熱にうかされるままにむしゃぶりついて、精液を飲み下したくなるような、
どうにでもしてほしいと自分を投げ出してしまいたくなるような、たまらない気持ちだった。
それは間違いなく、まやかしの感情である。しかし、キャロンの身体がそこまで流されようとしている証左なのだ。

「ん、はぁ…れる…れる…んぅ…はぁっ…んんっ…んはぁっ…あぁ…む…はぁ、はぁ…ふふ……」
(あぁ、だめ……コレ…美味しいって思っちゃうぅ…たまらないよぉっ…あぁっ…き、きもちいいっ…しゃぶらされながらイっちゃう…)

瞳が潤み、頬は赤く染まったまま。いつしか溢れ出した白濁で顔を汚されながらもうっとりとした表情さえ浮かべ、
なおも屹立する男のモノに舌を這わせてゆく。ねばつく粘液を手に纏わせ、ぬるぬるする指で陰茎を撫で擦り、頬擦りさえする。
お尻のあたりからはぬめった液体が零れ落ちて絨毯を濡らし、切なげに股をすり合わせていた。
汗の浮かんだ肢体をくねらせながら、なおも男のモノに縋りついてゆこうとする。その姿は既に娼婦のそれになってしまっていた。

「んんんーーっ!」

拒絶しようとする心が麻痺し淫らになるのは、どうぜ犯されるなら犯される事を楽しもうとする、自己防衛の一種だった。
そして、少女は溢れる白濁を身に受け、飲み下しながら絶頂に果てたのだった。
絶頂にうっとりと身を委ね、妖艶に微笑む少女。身を汚した白濁を手で擦り、やがてゆっくりと絨毯の上に身を伏せた。
そんな少女のさまを見つつ、男はにやりと笑い、次の段階へと移ってゆく。



記憶を利用した暗示でより深い催眠へと追い込み、完全に掌中に落とすための支度は整えた。
男はベッドにあがると指を弾いてパチンと鳴らし、絨毯の上に横たわり快感の余韻に震えている少女へと声をかける。

「おいで、キャロン」

すると金縛りにあったように動けなかった少女はゆっくりと立ち上がり、ベッドに手をかける。
その表情は柔らかく蕩け、まるで恋人との逢瀬に臨むかのように嫋やかだった。
男の身体に手をかけ、撫でながらすり寄ってゆくキャロン。
その仕草は恋人のようであり、馴染みの娼婦のようでもあった。

「やさしくして、ね?」

頬に軽く口づけし、男の胸に顔を埋める少女。
可愛らしく微笑みを浮かべたその表情は、ここに来てから初めて見せるものだ。
恋人ならともかく、知らない相手に見せるものではない。
そう、彼女は今、完全な催眠下にいるのだ。

「いいとも。さあ、愉しもうじゃないか」

男の手が可愛らしい顎に添えられると、二人は身を起こして体勢を入れ替える。

少女は男の瞳を見つめ、やがて恥ずかしそうに潤んだ瞳を伏せ、少し上へ顎を傾けて迫りくる男の唇を迎え入れた。
啄むような口づけから徐々に深く、長く触れ合わせながら二人は重なりあってゆく。
少女は男の背中に両腕を回して縋りつき、男は少女の顔や髪に触れながら覆いかぶさってゆく。
息苦しさと触れ合うことで生まれる熱とで少女の肢体は責められ、喘ぐように開いた口に男の舌が滑り込んでゆく。
少女の桜色の唇は割り開かれ、男の唇が覆いかぶさり、蠢く赤い肉同士が絡み合う。

「んんっ、ん、んっ、んふん、んぁ、む…んんっ、ぅんっ…ぁ……」

ちゅくちゅく、くちゅくちゅ、にちゃにちゃ、と唾液の絡み合う音が少女の耳を苛む。
柔らかな舌の感覚が、背筋を震わせる。自ら貪るように男の舌を求めながら、雄を知った身体は快楽に疼き始めてゆく。
少女は口づけに夢中になりながら男の胸に乳房を擦りつけ、両脚で男の太腿を挟み込んで股間を擦り付け始める。

「おねがい…もっとキスして…」

男は少女の浅ましいおねだりに応えてやりながら、じっくりと指で肢体を責めてゆく。
髪を撫でていた手が徐々に頬を撫で、耳を擽り、首筋をなぞり、うなじを擦り、背中を揉んでゆく。
少女の弱い所は既に知り尽くしている。ゆっくりと身体に火をつけてゆくのだ。

「あっ、むぅ、んんっ、んんぁっ、あ、はぁっ、あ、ん…うぅ、はぁ、はぁ、んぁ…ぅ…」

次第に少女は男の腕の中でむずがるように身をくねらせ始める。
男に触れられた所が少しずつ熱を帯びてきたのだ。自慰で達したばかりという事もあって
気持ちよくなってゆく速度が速い。そして男の手は自分では触れない所を触ってくる。
少女の顔は徐々に赤らみ、息も荒くなって、口づけを続けることが困難になってゆく。

「はぁ、はぁ、はぁ、あぁっ…あ、うぅん…あっ、はぁ…ぁく…っ…う…んんっ…」

「どうだい、気持ちいいだろう?」

男が少女の柔らかなお尻を乱暴に揉みしだきながら耳元で問いかける。
その時には既にすっかりこなれてしまった少女の身体は、もう我慢の限界をとうに過ぎてしまっていた。
少女は酒精に酔ったような赤らんだ顔で男の眼を見て快楽への降伏を告白した。

「うん…すっごく気持ちいい……ねえ…もっと…エッチに……して?」

少女は男の手を取ると少し恥ずかしそうな顔をして、その手を自分の胸へと運んだ。
男の大きな手が小柄な少女の身体の上でたわわに実った乳房を押しつぶすと、少女は「あ」と小さく喘ぐ。
そして再び、逢瀬している恋人にするように男へ笑いかけた。
男は満足気に笑うと少女をゆっくりとベッドに押し倒す。

「いいだろう。今日は私が満足するまで君を返さないからな…!」

「…うん…いっぱい気持ちよくして…満足するまで帰ってあげないんだから…!」

キャロンは悪戯っぽい笑顔さえ浮かべて男の首に腕をかけ、男の身体を引きこんだ。
男の身体が少女の小柄な躰に覆いかぶさり、少女は全身を雄の臭いに包み込まれる。
それだけで少女はふるふると身体を震わせ、その弾力と柔らかさを両立させた肉の感触を男に味わせる。

「いい子だ。たっぷりと可愛がってあげるよ…」

「うれしい…ひゃんっ…あぁぁっ…んんっ…ぅ…はぁっ…はぁっ…」

耳元で囁いていた男の舌が耳朶をねっとりと舐めると、キャロンは甘い声を上げて躰を震わせた。
男は少女の両肢の間に自らの脚を差し込んで肢に絡めると半身になり、左手で少女の身体を抱き、
残った右手で露わになった上半身を撫でてゆく。
さわさわと優しく擦られ、時には爪を立てて肌を掻くようにされ、少女の身体にむず痒いような感触を生む。
そうしながら、男の舌は少女の弱点である耳朶と首筋を繰り返し、執拗に舐め、吸い、甘噛みするのだ。

「はぁぁっ…ぁぁ…はぁっ、はぁっ…あっ…んっ……あぁぁっ…耳、弱いのぉ…んぅ…ぞくぞく…きちゃう…」

そして、肌の上を蠢いていた手がゆっくりと乳房の周囲を回りながら乳肌を刺激し、乳峰を登ってゆく。
山頂では赤い乳首がツンと上を向いて天井を差し、触ってほしいとばかりに主張している。
そうして、手はじれったいほどの時間をかけて頂上へと至り、指が乳房の頂を優しく挟み、押し潰した。

「あんっ!」

その瞬間、少女はビクンと身体を震わせ、高い声を上げる。強い刺激に軽い絶頂に至ってしまったのだ。
男は少女の顔を間近でじっくりと眺め、少女は男の視線に恥ずかしそうにしながら、男の手に自らの手を合わせ、
もっとして欲しいと無言のうちに求めていた。

「さあ…私が触った所を意識してごらん…躰がじんわりと熱くなっていくよ…ほら…」

「あぁっ…はぁ、はぁ、はぁ、あんっ…ん、んぅんっ…あつい…はぁっ…はぁっ…あっ、いやぁ…あぅっ…」

男の手がキャロンの乳房を揉みしだいている。柔らかな乳房は男の手によって潰され、握られ、形を変える。
しかし、少女の乳肉は男の手に心地よい弾力を与えてくるのだ。
いつしか少女は男の脚に内股を擦りつけ始めていた。毛の生えた男の太腿は少女の太腿へ痛痒感を与えているのだ。
自慰の時に溢れた蜜がまた滲み、男の腿を濡らし始めている。自ら快楽を求めている証左であった。

「おねがい…もっと…さわって……おっぱい…きもちいいの…」

「可愛い子だ…もっとよくしてあげるよ…」

男は少女の肢を開かせてその間に身体を入れる。少女の眼を見れば、翡翠色の瞳は情欲に潤みきっている。
男は少女の首筋に顔を寄せ、その白い首筋を強く吸った。

「あぁぁっ…んっ、あぁっ…や、あぁ…あっ、そんな、強く吸っちゃ…あぁっ!」

口を離すと、そこには赤い痕が残されていた。明日一日は消えそうにないだろう。

「あ…あぁん…もう。痕ついちゃう…」

拗ねたように口を尖らせる少女。

「いや、これでいいんだ。もっといっぱい痕をつけて君は僕の物って証明するんだ…」

その少女の耳元に男は口を寄せ、甘い言葉を囁きかけた。

「もう……いいよ…もっといっぱい吸って…消えなくなるくらい吸って…!あたしをあなたのものにしてぇっ…!」

少女は再び、男と唇を交わす。情熱的に。まるで本当の恋人であるかのように。
無論、この情交は偽りである。男の催眠術による暗示に陥っているだけなのだ。
しかし、術に堕ちた少女には、男が最愛の恋人であるかのように思いこんでしまっているのだ。

「あぁんっ…はぁ、はぁ、はぁっ…ひゃんっ…ん、ん……んぅぅっ…は、はぁぁっ…あ、あんっ…」

首筋に、肩に、頬に、耳に、乳房に、臍に、お腹に。男の舌が、キャロンの肌の上を這っている。
舌は自在に肌の上を這いまわりながら、時折、強く吸い付いて、痕を残す。
まるで蛸の触手のようだ。少女は以前、海に遊びに行って蛸の姿をした魔物に捕らえられ、凌辱されたことがある。
その時もこんな風に全身を舐めながら吸われ、触手を突き込まれて絶頂してしまったのだ。
あの時の痕も10日くらい消えなかったな、と、そんなことを思い返しながら、少女は男の愛撫に溺れていた。

「あぁっ、や、腋だめ、ひぁんっ、あぁっ、はずかし、いぅんっ、はぁ、はぁ、あぁぁっ…いやぁっ…」

「いい匂いだ…汗と発情香が混じりあった香り…もっと嗅がせておくれ…」

少女の腋の下を丹念に嗅がれながら舐められる。皮膚の薄い腋は人体の急所のひとつであり、性感帯のひとつだ。
そこを鼻息がくすぐり、男の舌が隅々まで舐め尽くし、とどめとばかりにキス痕をつけられる。
少女は嫌がる仕草をしながらも、男を拒むことなく受け入れ続ける。恋人になら、何をされても受け入れるものなのだから。

「おっと…そろそろここも可愛がってあげないとね…」

「あぁっ、や、あっ、そこ、あぁぁぁんっ!はーっ、はぁーっ、あ、んぅっ、やっ、あぁっ!」

男の指が少女の秘部へと忍び込む。既に蜜に濡れた秘部は男の指を誘い込むように受け入れ、弄ばれるままにされていた。
蜜を纏わせた指が、大陰唇に、小陰唇に、陰核に、触手のように這いまわる。
少女自身が先刻、弄った所を次は男の指がなぞり、快感を上書きしてゆく。
少女は快感に身悶えながらも肢を開き、男の指をなおも奥へと誘っていた。
男は誘われるままに指を蠢かせ、陰唇の襞を揉み、少しだけ指を挿れて、入り口をくつろげてゆく。

「ああぁぁっ!はぁっ、はぁっ、はぁっ、あぐ、うぅんっ!はぁ、はぁぁぁんっ!あっ、あっ、あ、あくぅんっ!」

「そろそろイくかい?」

「あぁっ!そんなに弄られたらっ…イっちゃう、あ、あぐぅっ!ダメぇっ…イくぅ、んっ!あっ、あっ、くっ、ん、んんーーっ!」

右手で陰口を弄られながら乳首を舐め吸われ、少女は身悶えし続ける。
その少女の耳朶に「パチン」と指を打つ音が聞こえた瞬間。
止めようもない快楽の波が堰を切って押し寄せ、少女の押し留めようとする本能が一瞬途切れた。
瞬間的な決壊。しかしそれでさえ小さな少女の躰では支えきれぬほどの濁流となって彼女を飲み込んでしまう。
乳房に寄りかかって押しつぶしていた男の顔をぐんと押し上げるほどに背中を反らせ、
歯を食いしばるように表情を歪めながら、少女はベッドの上で絶頂に果てたのだった。



一瞬、記憶に空白が開き、少女が目を開くと少女は膝を立てたまま股を大きく広げさせられ、その肢の間に男の顔があった。
絶頂し、蜜が溢れた股間を男の眼前に晒した格好に顔を赤らめる少女。

「さぁ、もっと気持ちよくしてあげるよ…ほら…躰の熱いのがゆっくりとお腹に集まってくるよ…」

男の舌が、鼠径部をなぞるようにじわじわと舐め進む。男の手が少女の柔らかなお腹を撫ぜている。
片方の手が太ももをすりすりと擦り、お尻を揉みしだいては雌肉の感触を愉しんでいる。
じわじわと、周囲から快感の炎に炙られて、少女は時折ぴくんと躰を震わせる。
熱を帯びた肌にじわりと汗の玉が浮かび上がり、肢体のなだらかな傾斜を伝ってシーツに落ちては染み込んでゆく。
少女はいつしか、心の内で、男の舌が秘部へ到達するのを期待してしまっているのを自覚してしまっていた。

「ほら…子宮が熱くなっているのが分かるだろう…?それから…ほら…アソコも熱くなってきた…どうだい?…たまらないだろう…?」

「ああ…はぁっ…あぁぁ…あつい…はぁ…はぁっ…ん…はぁっ…あついよぉ…っ…あぁ…ん…ぅ…んぁ…はぁっ…はぁーっ……あふぅっ…ん…」

男の舌がゆっくりと秘部の付近を焦らすように這い、舌の触れた付近が熱を帯びて少女を苛む。
キャロンの恥丘には陰毛が無いために男の視線を遮るものはなく、丸見えになっている。
さまざまな牡に戯れに剃られたり、悪戯に抜かれたり、彼女の小麦の穂のような陰毛は好き放題に弄られてきた。
そして、巨大なスライムに呑み込まれながら犯された際に、陰毛が毛穴ごと全て溶けてしまい、それきり生えなくなったのだ。
遮るものは何も存在しない恥丘や股間の周りを、男の熱い舌は蛇のように、触手のように這い回り、ゆっくりと獲物を嬲り続ける。
そうしているうちに、少女の方が胎の奥から沸き起こる官能の熱に堪え切れなくなり、音を上げてしまう。
自ら牡を求め、色欲に堕ちてしまう少女。性技に無防備な躰ゆえの必然であり、牡の目論見通りの陥穽なのだ。

「おねがい……あ、あぁぁぁんんっ!や、はげし、いぃっ!んんっ!あぁっ、ふ…あくぅんっ!」

少女が甘く蕩けたおねだりを発すると、待っていたとばかりに男の舌が少女の花弁を捕らえ、捲り上げた。
その直後、キャロンはあられもない嬌声を上げ、激しく喘いだ。
少女の躰は既に快楽に染まり切っている。そこに女体の急所へ舌が滑り込めばどうなるかは自明だったのだ。
健康的な太ももが生き物のように暴れようとするのを男の腕がしっかりと抑え込み、股を閉じることを許さない。
蜜に濡れた花弁を啜り、舌が舐め回り続ける動きに合わせ、少女の肢体は悶え、のたうちまわるのだ。
それは性感の炎に炙られる蛇のような姿だった。その蛇を性獣が抑え込み、炎で炙り続けているのだ。

「ほら…蜜の極めが硬くなってきた……襞も柔らかくなってヒクヒクしてるよ…」

「あああっ!ダメ、だめぇっ!そんなにされたら、すぐイっちゃう、イっちゃうよぉっ!あぐ、ぅぅんんっ!は、あぁぁぁんんっ!」

髪を振り乱し、おとがいを跳ね上げ、喘ぎ続けるキャロン。
男の舌が花弁を捕え、襞をなぞり、捲り上げて内側を舐める。舌の動きに合わせるようにして肢体は蠢き、腰が浮き上がり、乳房が弾む。
軽いアクメを幾度も味わいながら、少女の秘部はひくひくと痙攣して、男の舌を刺激し、煽り続ける。
溢れる蜜と唾液で少女の秘部はぬらぬらと濡れ、既に男のモノを受け入れる準備は出来たと訴えているが、男はそれを知りつつ焦らしている。
蜜を啜り、襞を抉じ開け、じわじわと舌を差し入れてゆく。

「そろそろ味を見てみようか?」

「あぁぁぁっ!舌、した、が…ぁっあぁぁっ!入って…はぁんっ…あぁぁ…あぅ、んんぅっ!ナカ、なめられて、ぅぅっ!…あ、やぁんっ!」

震えながら身悶えし、乳房を天上に突き出すように背を反らせて感じ入ってしまうキャロン。
思わず男の髪を掴み、自分の股間に押し当ててしまっている。
その行為により、更に奥へと男の舌を迎え入れてしまい、探るような舌先が膣口の奥の急所を捉えてしまう。

「なんと旨い蜜だ…久しく百万年前の魔力が蘇るようだ…」

「あはぁぁんっ!舌…深いぃっ…ナカ…舐められて…っくぅ、あ、うぅぅんっ、あ、熱い…っあ、はぁっ、あ、ぁっ…ひゃぁんっ!」

始めての時にかけられた言葉を重ねられて、少女の意識は更に混乱を深くしてゆく。
胎内に迸る鋭い性感に幾度も首を振り、あごを突き上げ、嬌声を上げ続けるキャロン。
男に股間をされるがままに弄ばれながらも、決して拒もうとはせず、男の動きに合わせるように身を委ねている。
それは、男の洗脳によるものであり、犯され続けた日々の経験による無意識の挙動でもあった。
甘美な蜜を持つ牝の躰を押し倒そうとする牡たちは、抵抗さえしなければ至上の快楽を代わりに与えてくれるのだから。
そうして、少女は甘美なる蜜を育み続け、牡は絶えることなく現れては少女の衣を剥ぐのだ。

「我慢することは無い。さあ、イってしまえ」

「あぁっ…イク、またイっちゃう、あぐぅっ、うぅぅぅっ、んんぅっ!あぁぁっ、イクぅっ!はぁんっ、んんんぐうぅーーっ!」

歯を食いしばり、唸るような声を上げて絶頂に達した少女。全身をぶるぶると震えさせ、快感に浸っている。
股間に潜り込んだ男の顔に蜜が飛沫き、その雫を男が美味そうに舐めとってゆく。
羞恥に顔を赤らめつつも、もはや脱力しきって力の入らぬ躰はベッドの上でぐったりと横たわっている。
荒い呼吸音。潤んだ瞳。心臓がどくんどくんと高鳴っている。上下する乳房とその頂上で揺れる桃色の果実。
汗にしっとりと濡れた肢体。男の眼前で大きく広げられた両肢。牡を誘ってやまない甘い薫りを放つ恥丘。
そして、充血し、ひくひくと蠢いては涎を垂らし、逸物の蹂躙を待ち望んでいる陰唇。
キャロンの躰は、すっかり淫蕩に染まり切っていた。胎の奥底から生まれる疼きが体中を埋め尽くしているのだ。
快楽の希求以外の思考は消え去り、今はもう、牡の逞しい肉茎の事しか考えられなくなっている。
乾いた唇を舐め、キャロンは緩慢に上体を起こしてゆく。快感に膨らんだ乳房がたゆん、と揺れた。
男に微笑みかける少女の目は法悦に曇り、瞳の翡翠色の光は失われていた。

「…ねえ……もう、がまんできないの…………貴方のモノが…欲しくてたまらないの…」

少女の手が乳房を下から抱えるように揉みしだき、白い指で秘所の襞に触れ、ゆっくりと広げてゆく。
少女の淫靡な挑発に、これまで主導権を握り続けてきた男が初めて、息を飲んだ。

「……あたしを…犯してぇ……っ!」

朱に染まった顔で、少女は半ば叫ぶように、男に向かって懇願した。
少女が今まで発したことのない、あまりにも直接的な男への誘いだった。
男は興奮に頬を緩める。

「いいだろう…キャロン。キミはもう、私のオモチャだ。壊れるまで遊んであげるよ」

男の容赦のない声に、キャロンの肌が泡立ち、背筋からぞくぞくっと寒気に似た感覚が立ち上がった。
乳房を抱えた腕に力が籠り、乳首が、腰が勝手に震え、寛げられた襞から蜜がじわりと噴出した。
何も言えず、耳まで赤く染め、伏し目がちに男の顔をのぞくその顔。それは少女に秘められたマゾの本性。
乱暴に犯され、嬲られる事への期待に他ならないのだ。

はち切れんばかりの甘露に満ちた果実は今再び手中に堕ちた。後は貪り尽くすのみだ。
夜明けまでにキャロンが自分の力で正気を取り戻すことは無いだろう。今日はどう愉しもうか…
そして、王女が手中に帰ってくる度に術の浸度を深めている。どこまで至れるのか、男は愉しみでならなかった。

―続く―