超次元伝説ラル ラモー・ルーの淫宴



第5話 終焉の予兆





 キャロンが純潔を奪われてから二刻半以上の時間が過ぎた。

 闇色の長いモノに纏わりつかれる嫌悪は既にない。純潔を奪われた悲しみや怒りも既になく、今では快楽を与えてくれる存在として受け入れてしまった
 美少女剣士の瞳はすっかり淀みきり、表情までもが陶酔しきっている。

 ラモー・ルーに掛けられた魔術の影響が心の深層にまで及んでは無理もなかった。

 太い肉茎やそれに取り巻く触手達に犯されながら愛蜜を吸われて幾度となく気をやってしまう程に性感を責められては、性に疎い初心な心がいつまでも
 耐えられるものではなかった。

 全身汗まみれの小柄な肢体は絶えず隅々まで弄りまわされてすっかり紅潮しきっている。巧みな愛撫によって多くの性感帯を探り当てられ、催淫粘液を
 全身に塗りこまれて敏感体質にされてしまった結果だ。

 本来の目的さえ忘れてしまった美少女剣士は背後の禍々しい巨躯に怯えることなく与えられる快感に身を委ね、
 あまつさえ貪欲に求めるようになっていた。

「い、いぃ……はぁ、はぁ、そ、そこ……くあぁ、あっ……擦れっ……きゃふっ!」

 強い吸引で愛蜜を吸われても、解れきった膣穴は一度たりとも乾くことなく常に潤いを保ち続けてしまう。むしろ強く吸われるほど快感は大きい。

 肉茎にある無数の穴が一斉に啜っているのだ。膣内のいたるところを引っ張られる感覚は想像を絶するものがある。

 しかも触手ペニスの先端に子宮口を殴打され続け、そのカリ部分に膣肉を抉られる感触と合わさってしまうからだ。その相乗効果は吸引力の強さに
 比例して増していく。

 とはいえ長き凌辱を受けてきた肉体には疲労が蓄積している。尋常ならざる魔性の快楽によって何度もくりかえし絶頂を味あわされては当然と
 言えるのかもしれない。

 キャロンが惚けていられるのは昂ぶった感性が疲労を意識から切り離しているに過ぎなかった。ずっと内股が突っ張るほどに開脚させられて
 平気でいられることにしても感覚の麻痺によるものである。

 当然ながら疲労の自覚がなくても心地よさそうな喘ぎ声は息を切らせて途切れがちだ。体力の消耗が著しく、意識が朦朧として目蓋も半分
 閉じかけている。

 被虐の美少女は凌辱者の思惑通りに堕ちてゆく。

「はぁ、はぁ、あふん……ひっ……あうぅ……んっ、はぁ、はぁ……ひぐぅぅ、うっ……あっ……んはあぁ、あっ、あふっ……はぁ、はぁ、こんなっ……
 激しいの、また……すぐに飛んじゃ、ふああぁ……でも……」

 いつしか左手の腕輪がキャロンの心情を現すかのように黒ずみが酷くなっていた。もはや本来の鮮やかな色艶は失われて黒く染まりつつある。

 掛けられた魔術によって心を封じられ、尚且つ操られている状態の本人はそれに気がついていない。快楽以外の雑念を取り払われてしまっては、
 腕輪に意識を傾けることすらできなかった。

 ラモー・ルーは腕輪の変色に気がついているようだが、さしたる問題はないと言い捨てた様子からして眼中にないらしい。ユリアにしてもキャロンを
 心配するあまりに腕輪の変色を意識していないようだ。

 途切れがちの喘ぎ声と卑猥な粘質音だけが薄暗い広間に響き渡る時間がこのあと半刻あまりも続く。

 やがて媚肉を充血させる注挿がさらに勢いづくと触手ペニスに取り巻いて蠢く触手の姿が無毛の下腹部に幾つもの細い筋となって浮かびだす。
 陰裂へと続く筋の脈動は、まるで陰核を咥えて刺激する細長い触手がなだらかに盛り上がる恥丘に根を張ったかのようだ。

 一見、見るに耐え難い残酷な仕打ちのようでも少女は痛みを感じていない。心身を蕩けさせる心地よさに酔い痴れていた。

「ああぁ、あ、あっ……はぁ、はぁ、ゼェ、ゼェ……んはぁ、はぁ、あんっ……ふはっ、あっ、ぁぁ……はぁ、はぁ……んあっ……あぁっ……はぁ、はぁ、あ、
 あひぃっ!」

 グジュグジュと淫音を撒き散らす結合部が泡立つほどに突き上げられる反動でぐったりとした身体が力なく上下に揺れる。その余波で金髪の
 ポニーテールが尾っぽのように靡いて愛嬌を振りまく。

 手首に巻きついた触手によって両腕を頭の後ろで押さえつけられ、膝を折り畳まれての開脚姿勢で貫かれる今のキャロンはさながら生人形。
 快楽を感じる感性しか残されていない。

 下腹部を息ませることで深い快感を得られることを覚えてからは何度も息む。それを意識することで膣穴が締まって極太の肉竿の感触をより
 感じとれるからだ。

 快楽を貪欲に求めて息むと括約筋が動いて尻穴が窄まっては緩む。肉襞が愛蜜の吸引で引っ張られながらも闇色のペニスを膣奥へと導く。

 これをラモー・ルーがいつまでも見逃しはしない。新たに触手を生みだして囀るアナルを弄りだす。

 その刺激を受けて息づく尻穴がギュッと窄まる。

「ひっ、お尻っ! あはああん、ふはあぁっ……はぁ、はぁ……お尻……汚いっ、とこ……舐められっ……んはああっ!」

 前触れもなくアナルを刺激されての緊張はすぐに解されてしまう。先細った先端が不規則に動く滑った感触で未知なる快感が広がる。

 不浄の穴を舐められているという意識が働いて性感がより高まっていく。正気であれば嫌悪する行為であっても掛けられた魔術によってキャロンは
 無自覚に受け入れてしまう。

「ヘンな……感じっ、なのに……はぁ、はぁ……き、気持ちいいぃぃっ、んはっ……はぁ、はぁ、お尻の穴が……広がっちゃ、あっ、はうっ! んはぁぁ、
 はっ、ゼェ、ゼェ……そんなに……穿っちゃ、あっ、やあぁぁん」

 菊皺を引き伸ばしてねじ曲げる動きにまで翻弄されて昂ぶった息を吐く口は涎にまみれて下顎までベトベトだ。両手を頭の後ろにまわされて
 胸を突きだす格好のまま喘ぐ。

 肛肉に先端が浅く突き刺さって穿たれると新たな性感帯が目覚めはじめたのだ。舐めまわされ、ツンツンと小突かれていくうちに窄まりが緩んでいく。

 滑りを帯びた触手が無理に挿入しようとしないからこそキャロンは尻穴での快感をありのままに受け入れてしまったのだ。

「お尻……な、舐められて……あはああぁぁ、あんっ……はぁ、はぁ……感じるなんて、あたし……へ、変態だよぉぉ」

 心の奥底から沸きたつ感情が自虐の言葉を吐かせる。それこそラモー・ルーに掛けられた魔力によって本来なら働くべく思考を封じられた被虐の
 昂ぶりだった。

 尻穴での快感がキャロンの中で高まるにつれ、緩んできた窄まりから腸汁がトロリと垂れて菊皺の辺りの粘つきと混ざり合う。

 肛辱の触手は蕩けてきた尻穴に自身を深く挿入しようとしない。ラモー・ルーには何か意図があるらしく、先端が突き刺さる程度にとどめて嬲り続ける。

 アナルをじわじわと拡張するのに比べて前の穴への責めは相変わらず容赦ない。心地よいお尻への愛撫とは逆に触手ペニスの注挿がより深く
 突き刺さる。

 子宮口を強く圧されて子を宿すべき大事な器官が歪み、その圧力が五臓六腑までも激しく揺るがす。

「あぐっ……ふはぁ、はぁ、はぁ、ひぐっ……お腹……くあっ、あっ、弾けちゃうっ……グチャグチャに、され……て……お尻から……でちゃう、
 でちゃうよぉぉっ!」

 加減なしに蜜穴を掻きまわされる感覚と尻穴を舐めまわされて穿られる感覚が否応なしに結びつく。快感の度合いが違うからこそキャロンは
 前の穴をより意識してしまう。

 全身を弄られることにしても同じことで程よい心地よさがあるからこそ強い刺激が強調されて愛蜜が溢れ出る。そこで肉茎の穴に吸われてしまうから
 快感が強まる。

 それぞれ違った快感は絶妙なバランスを保って少女を目に見えない姦獄に閉じこめていたのだ。這い上がることができない底なし沼のように
 悦楽の底へと沈めていく。

 このまま更に半刻ほど時が過ぎた頃になると次の絶頂を迎えるまでの間隔が更に短くなり、キャロンは常に気をやっている状態に似た境地に
 陥っていた。

 魔術による性的本能への働きかけがあっても、余韻が醒めぬうちにアクメを迎えてしまっては混濁してきた思考がついていけない。

 掠れた声音で喘ぐ美少女剣士はもはや貪欲に快楽を求めるどころか自分の性感にすら翻弄されてしまっている。

 この時、キャロンの精神は体力以上に摩耗していた。意識がいつ途切れてもおかしくない程にすり減って未だに繋ぎとめていることだけでも
 奇跡に等しい。

 ラモー・ルーにとっては魔力を回復させる行為であっても、傍(はた)から見れば快楽拷問に処せられているように受け取ってしまうだろう。

 見守るユリアの表情が言葉にせずともそう語っていた。目の下が赤く腫れぼったいのはキャロンの代わりに涙を流していたからなのだろう。

 但し、本人には泣きたい感情がないばかりか見られているという自覚すらない。助けだすべき王女が見えていながら意識にないのだ。

 それこそラモー・ルーよって掛けられた魔術の影響によるものである。少女にとって目の前のユリアは薄暗い背景の一部でしかないのだ。

 腹部を圧迫させる注挿のなすがままに犯され、肉茎の穴に淫らな蜜を吸われて歓喜の声を漏らすキャロンから数刻前まで生娘だった面影は
 完全に消えてしまっていた。

「んふぅ、うっ、あっ、あぁ……はんっ……んはっ、はぁ、はぁ、ゼェ、ゼェ、あくっ……あっ、ああんっ!」

「さすがにもう限界か。いや、よくぞここまで保ったと褒めてやろう」

 ラモー・ルーが賛辞を送ったところでキャロンには反応する気力すらなかった。心の中では“気持ちいい”という言葉だけがうわ言のように
 繰り返されている。

 伝説の剣に選ばれたといってもキャロンは普通の娘。体力がまだ僅かに残っていても、連続絶頂を味あわされたままでは精神が危うい。
 意識が混濁していてもその自覚がまったくないのだ。

 全身汗まみれの肢体が痙攣と弛緩を繰り返す。床のシミはこれまでに掻いてきた汗の量を物語っていた。

「もしかするとリバースの剣が与える力とは、尋常ならざる命の漲りを与えることを指していたのかもしれん。でなければここまで保った説明がつかん。
 だがその力もここまでということか」

 背後でせせら笑う声が止むと長い舌が背中から尻肉まで舐めまわす。舌先が背筋を這ってうなじを舐めたかと思えば、引き返して脇腹や臀部に
 張りついて少女の汗を掬いあげる。

 舌先だけでなく、べったりと張りついてくる滑りは太股にまで範囲を広げていく。

「それにしても美味い汗だ。蜜の味とはまた違う旨味がなんとも言えん。キャロンよ、お前は期待していた以上の素材だ。この私をここまで愉しませて
 くれるのだからな」

 ムンムンとした少女の香りに触発されたのか、小ぶりな胸肉を掴む指に力がこもる。硬く尖りきった充血の蕾を指の股に挟んで引っ張り上げながら
 揉みしごく。

 これまでと違う乱暴な愛撫でもキャロンは感じてしまう。鋭利な指先が胸肉に食い込むチクチクとした痛みと、乳首を擦られる心地よさが合わさった
 快感が脳髄に押し寄せてきたのだ。

 そこへ指の太さに満たない触手が現れて乳頭の窪みを擽りだす。細い先端を器用に動かす蠢きと指が乳首を執拗に責める。

「そんなに……おっぱい……はぁ、はぁ、しちゃ……んはっ……はあんっ!」

 細触手による乳頭への責めがキャロンには胸の奥まで突き刺さったかのような感覚がしてならなかった。頂きの窪みへの刺激と指の股に挟まれて
 揉む動きが絶妙に合わさってのことだ。

 更に他の指が乳肉に食い込むほどに掌で掴まれると刺激が助長されてしまう。

 とはいえ意識は胸ばかりに向けていられない。それ以上の快楽が下腹部から広がる。剥きだしの陰核に吸いつかれ、膣内を抉られながら淫汁を
 吸われる快感はすべてにおいて勝っていた。

 支配された心は導かれるまま昂ぶり、快感に溺れる意識がまっ白に弾け飛ぶ。その拍子に膀胱が緩んで尿意がこみあげてきてもキャロンは我慢しない。

 むしろ生理的欲求を抑えようとしなかった。ジョロジョロと流れだした黄金水が勢いよく噴きだすのと同時に達してしまう。

「いぃぃ……イ、イクっ……ふぁ、ああぁ……くああぁぁっ!」

 仰け反って見上げる少女に失禁の自覚がなかった。脳天を突く痺れを感じながらガクンとうなだれて涎をポタポタと床に落とす。

 絶頂直後の肉体は痙攣がおさまらないどころか、一度でも膀胱が緩んでしまえば放尿はとまらない。キャロン自身に失禁の自覚がないのもあって
 尿水を噴く勢いが強まる。

 開放的な快感が広がって笑みすら浮かべているキャロンをラモー・ルーが愉快そうに見ている最中、乙女の聖水が凌辱者の肉棒を清めながら
 辺りに降り注ぐ。

「はぁ、はぁ……あうぅぅ、んうっ、はぁ、はぁ……イッて、イッたまま……また、イキそうに……」

「フハハハハ、気をやって失禁とはな」

「んはぁ、はぁ、イクのとまんない……またイクの……もう、ダメェェ……これ以上は、はぁ、はぁ、し、死んじゃうぅぅ!」

「そうか、また気をやりそうか。いいぞ、体力が尽きてしまうまで幾らでも昇りつめるがいい。その無様な姿を王女に見せつけてやるのだ」

 淫らな感情に支配され、止まらぬ注挿と全身愛撫がキャロンを限界にまで追い詰めていく。うなだれたまま突き上げられる少女の首がカクンカクンと
 力なく揺れる。

 放尿が終わる間際にブルンと震えた全身がまた弛緩してしまい、愛蜜を吸われる膣穴だけが収縮を繰り返して凌辱者を悦ばす。

 そして気をやってしまう度に左腕の赤い腕輪の黒ずみが増していく。

「んはぁ、はぁ、ゼェ、ゼェ、はうん、んくっ……んがっ、あっ……はっ、あぁぁ、ダメっ、もう……!」

 達した余韻を引きずったまま次の高みが押し寄せてくる。もはや精神の許容を超えた快楽であっても敏感になりすぎた肉体は受け入れてしまう。

 極太の長い触手ペニスは情け容赦なく子宮を突きあげ、肉襞がざわめく膣粘膜を掻き毟り、溢れやまぬ乙女の淫汁を盛大に啜る。





  ジュルジュル、ズッ、ズズズズーーーーーーーーッ!



  ジュズズズズズーーーーーーーーッ、ジュジュズーーーーーーーーッ!





「んひゃあぁぁ、ひぃっ、ひぐーーーーぅぅっ! イぎっ、ひっ、んはああぁぁああぁぁーーーーぁぁっ!」

 一際高い万波の荒波がキャロンの意識を攫って一気に押し上げ、ゾクゾクとしたものがやがて電撃となって背筋を駆け上がると脳髄に深く突き刺さる。

 遙か高みにまで飛翔させられる感覚の最中で意識に幾つもの火花が飛び散って重なり、悦欲に溺れる心をまっ白に包み込む。

「あぐゎああぁぁ……あぁぁ……ふぁぁ……ぁぁ……っ……ん……」

 閉じかけの目蓋がかっ開くと白目を剥き、瞳を泳がせながらゆっくりと閉じていく。

 ガクンと頭(こうべ)を垂れたキャロンの精神が限界を迎えたのだ。膣肉を抉る注挿を感じながらその意識は暗い闇へと沈み込む。

「体力が尽きる前に精神の方が保たなんだか。うむ、仕方あるまい。死なせては元も子もないからな。種を植えつける楽しみを後に残してくのも一興と
 いうものよ」

 ラモー・ルーの声をキャロンは微かに聞こえたようでも意識に届いていない。凌辱者の長い肉棒が律動を止め、ジュルリと淫音を撒き散らしながら
 引き抜く感触だけが最後に残った。







 連続アクメで気絶した少女の身体が余韻を引きずってビクビクと震えている。触手ペニスとその取り巻きを引き抜かれた膣穴はポッカリと開き、
 充血しきった媚肉を覗かせたままだ。

 長い極太ペニスを引き抜く感触でも気をやったらしいキャロンをラモー・ルーはまだ手放そうとしない。鎖に吊したユリアを一瞥しながら眼を細めたあと、
 長い舌でキャロンの頬をペロリと舐める。

「キャロンよ、感謝するぞ。おかげで想像以上に魔力が高まった。褒美はあとでたっぷりと与えてやろう」

 魔物のような姿は変わらずとも、ラモー・ルーの体内では膨れあがった魔力が渦巻いていた。

 遙か昔、若かりし頃に比べれば些細な上積みであっても、キャロンの愛蜜から生成した魔力は他の誰よりも桁が違う。今までに犯した娘達ではここまで
 魔力は高まらなかった。

 ラルの星で一番魔力を生成できたユリアの処女汁ですらキャロンの1割も満たないだろう。侍女達ではその半分以下だ。

 愛蜜の質だけでなく、溢れ具合にしても群を抜いているキャロンは蜜人形に仕立てるには最高の素材であった。他の者なら枯れてしまう強い吸引でも、
 極上たる蜜穴は十分な潤いを保ち、人並み外れた体力があって長く味わえる。

「数百年前に攻め入ったあの星、名は忘れたが大国の王女は上質な蜜の持ち主であった。あの蜜よりも美味い蜜が今になって得られるとはな。
 宇宙とはまこと広いものよ」

 じっくりと味わった愛蜜を批評するラモー・ルーから生えた長い腕や触手がキャロンから離れだす。

 四肢に絡みつく触手だけを残して気絶した少女の姿勢をそのままに、冷笑しながらユリアに近づいて見せつける。

 だが、反応はラモー・ルーの予想とは違った。

 顔を背けようとしたユリアが険しい顔つきになると気丈にも睨み返してくる。怒りと悲しみを混ぜ合わせた目つきを一瞬たりとも逸らそうとしない。

「これで分かっただろう。この私に刃向かえる者がこの世にいないと。ほれ、よく見るがいい。リバースの剣の担い手であってもこのザマよ」

 未成熟な矮躯を見せつけて見下ろすラモー・ルーもまたユリアの心情を窺うべく目で射貫く。鋭い目つきながらも涙をためる王女からの返答はない。

 ならばと言わんばかりに背中から生えた触手がキャロンのポニーテールの結元を両手ごと掴んで顔を上げさせる。別の触手が半開きの唇に先端を
 擦りつけ、いつでも口内に潜り込ませられると無言で脅す。

 これにはユリアも黙っていられなかったようだ。一度だけ視線をキャロンへと移してからラモー・ルーを睨んで声を荒げた。

「まだ酷いことをするつもりなのですか! 彼方の目的は私を生け贄にすることでしょう。この身をどう扱おうが構いません。その方を離して私を好きになさい」

「ああ、貴女を闇の女王への生け贄にするのが私の目的。言われなくてもそのつもりだ」

「でしたら……!」

「そして魔力の回復も果たさねばならん。故にこの娘の蜜を得られたのは僥倖(ぎょうこう)であった。これ程の魔力の漲りは数十万年ぶりだ」

「彼方の所業は決して許せません。でも、目的を果たしたのならもう十分でしょう? その方を今すぐ解放して下さい。十分な魔力を得られたのでしたら
 もう酷いことはしないで」

「駄目だ。予想以上に魔力が回復したとはいえ、全盛時にはまだ程遠い。それに言ったはずだ。この娘は蜜人形に仕立てるとな。その仕上げとなる
 種付けをあとで見せつけてやろう」

「そのようなこと、この私が許しません」

「フッ、今のうちに精々強がっているがいい。この娘の仕上がった姿を見ればそのようなことは言えなくなる。ユリアよ、絶望の果てに贄となって
 朽ちるがいい」

 きっぱりと断言した途端、それを聞いたユリアが全身で怒りを表現させた。両腕を吊り上げる鎖が張り詰めて小さく揺れだす。

 今まで自身や侍女達を犯してもここまで感情を剥きだしたことはない。悲しみや怒りを露わにすることはあっても感情に流されることは一度もなかった。

 然るにキャロンのことになると今までとは態度が一変する。王女という身分でありながら殺意をもってキッと睨んで目を逸らさない。

――憎みたければもっと私を憎め。その負の感情が闇の女王をここへ招くだろう。いずれその憎しみは絶望に変わり、やがて悦楽に染まる。堕落した
 高貴な魂こそ最高の供物というものよ

 小さな竜の乱入という邪魔があったとはいえ、ここまで思惑通りに事が運んで紅い双眸が無言で笑う。王女の激しい怒りを受けながら高貴な裸体を
 舐めまわすように視姦する。

 弄られてもいない双丘の頂を硬く尖らせ、股間の割れ目から淫らな液体を滴らせている彼女が何を言ったところで滑稽で無様だ。

 しかしそれこそラモー・ルーが狙っていた肉体の反応。キャロンを犯し、愛蜜を取り込む様を長々と見せつけた結果だった。

 ただユリアの強情さがここまでのものとは予期していない。唯一誤算があるとすればユリアの心がまだ折れていないことだ。

 いったい何が彼女を支えているのかとラモー・ルーには見当がつかない。

――それにしても嘆くどころかこうも反発してくるとは。まだ希望をもつ何かがあるというのか?

 幾多の星々で見てきた王族の娘の中にもユリアのように強い心を持つ者はいた。しかし希望を打ち砕けば反発する心がすぐに萎えた。

 快楽というものを身体に覚えさせ、愛蜜を啜りながら堕落させることなど造作もないことだった。

 然るにユリアは違う。いや、このラルの星の娘達は簡単に心が屈しない。犯しているときは喘ぎ乱れても、休息を与えてやると平常心を取り戻す。

 故にとりわけ精神力が強い娘は魔術で心を封じ込めてから蜜人形に仕立てた。その例外は闇の女王に捧げるユリアのみ。

 もしも生け贄にする目的がなければ同様の処置を施していたことだろう。

 生け贄に魔術の痕跡を嫌う闇の女王の言いつけに逆らえなかったのだ。ユリアに魔術を掛けていれば意識を自由に操り、キャロンを見つける前に
 リバースの剣の在処を吐かすことも容易であったことは言うまでもない。

――まあいい。少しばかり順序を変えるだけだ

 これまでに征服してきた星でも誤算はあった。獲物として狙った娘から手痛い逆襲を受けて滅ぼされかけたこともあった。

 数百年前に一度だけ魔力が底を尽きかけていたという事情が重なった時のことだ。ラモー・ルーの脳裏にその時の光景が浮かぶ。

――あの時に比べればユリアの反発なぞ無に等しい。それにもうあのような苦渋を飲まされることは二度とあるまい

 自分を追い詰めた娘は王族にして真の勇者だった。高度な魔術を扱い、精錬された剣技をもってどんなに苦しめられたことだろう。

 いや、苦しめられたのは剣技や魔術だけでない。一軍を率いる統率力にも手を焼かされたのだ。

 その為に失った黒騎兵の数は計り知れない。魔力の回復どころか逆に消耗までさせられた。

 浅黄色(あさぎいろ)の長い髪を靡かせて戦場を駆ける娘は姫騎士と呼ぶに相応しい高潔さと類い稀な美貌を併せ持つ最大の標的にしてもっとも
 厄介な難敵でもあったのだ。

 全宇宙の侵略を目論むラモー・ルーが僅か19歳の小娘を相手にして何度も敗走を繰り返したのである。

 そればかりか如何なる策を練っても突破した勢いで居城まで押しかけ、黒騎兵達を斬り伏せながら眼前にまで迫ってきた。主力を囮に若い精鋭だけで
 乗り込んできた手腕もさることながら、剣術と魔術を織り交ぜた技量に圧倒されて自身の死を覚悟したほどだ。

 しかしそんな強者でもユリアほどの強い心を持ち合わせていなかった。如何に戦術や武に秀でていようとも、心が誰よりも純心で乙女であった。

 苦肉の策として羞恥心に訴えかけてみたところ、それが妙に嵌まってしまったのだ。動揺した僅かな隙をついて触手で襲ってみると呆気なく
 捕らえることができた。

 とはいえ瞬きほどの紙一重の差であり、姫騎士が動じなければラモー・ルーは滅ぼされていたことだろう。

 唯一の難敵だった姫騎士の身柄を確保すればあとは造作もなかった。彼女を助けだそうとするあまりに統制が乱れ、たちまち形勢が逆転したのである。

 この後、若い娘達だけを捕らえ、男達は不要とばかりに命を奪ったのは言うまでもない。

――そうだ、散々手を焼かされたあの娘でさえ心には僅かでも隙があった

 命乞いをするどころか真っ先に自分を処刑しろと啖呵を切った態度をみせた姫騎士は敗北による死の覚悟はあったらしいが、よもや自分達の肉体が
 目的にされていたとは思いもしなかったことだろう。

 男達のように自分達もいずれ命を絶たれると思っていたに違いない。いや、むしろ騎士としての誇りに殉じるあまり、囚われて生き存えることが許せないと
いった様子だった。

 だが敗残の将としての潔さを自身には課しても他の者にまで強要はしなかった。自分と苦楽を共にしてきた娘達の命だけは助けて欲しいと
 訴えてきたのである。

 騎士としての厳しい一面を持ちながら王女としての慈愛を兼ね備えた彼女の性格がそうさせたのであろう。背後で年下の娘達がすすり泣いているのを見て
自身の不甲斐なさを責めつつも慰めるように優しく声を掛けていた様子からもそれが窺えた。

 戦いに敗れたとはいえ、彼女は姫騎士という二つ名に恥じぬ王族の娘にして一軍の将であったのは間違いない。

――気高い心を持っていたからこそ屈辱に耐えられなかったといったところか。ならばこそ嫐り甲斐があったのだ

 ところがその潔い顔つきがラモー・ルーの挙動でたちまち変わる。

 仲間の娘の一人を引っ立て、いきなり裸に剥いた時の姫騎士は我が目を疑うかのような表情をしていた。そこへ次々に他の娘達も押し出し、防具ごと
 衣服を切り裂いてからようやく事態を悟ったのだろう。

 ラモー・ルーから生えた触手の群れが娘達に向かって襲い掛かったのだ。泣き叫ぶ声を無視して柔肌を貪り、穢れなき蜜園に潜り込んでいく。

 悲鳴と淫音が響き渡る中で姫騎士が我を忘れて取り乱したのはこの時が初めてだったのかもしれない。

 後ろ手に嵌めた魔力封じの枷を引き千切らんと暴れだしたのだ。娘達を助けださんとしたところを一際大きな触手が押し倒して地面に這い蹲らせる。

 浅黄色の長い髪を引っ張り、無理矢理に見せつけたのはまだ始まりにすぎない。

 姫騎士が妹のように可愛がっていた少女の脚を限界にまで開かせた黒い怨念は助けを求める声を無情にも踏みにじって純潔を散らせたのだ。

 悲痛な声で互いの名を呼び合う二人を隔てる漆黒の魔道士にとってこんなに愉快なことない。これまでの屈辱を晴らすかのように淫辱の触手は
 姫騎士にとって大事な者達を蹂躙していった。

――たとえ己の死を覚悟していても、彼奴ですら同胞を辱められては己の感情を押し殺すことなどできなかったというのに

 仲間の若い娘達を犯しながら蜜を啜っている間、姫騎士は泣き叫んで娘達の名を口にしながらラモー・ルーを罵った。自分と尋常に果たし合えと怒りを
 露わにして声を張り上げたのも数え切れない。

 無論、ラモー・ルーがそれに応じるわけもなく、むしろ鳴りやまぬ淫音を盛大に聞かせて彼女の神経を逆撫でた。

 剣を奪われ、魔術を封じられた自分の愚かさを十分に噛みしめていたことだろう。僅かな隙が原因で運命が変わったことをどんなに呪ったことだろうか。

 散々苦しめられた相手だっただけにラモー・ルーにとって姫騎士の嘆き悲しむ表情がこの上ない歓喜をもたらし、溜飲が下がる思いであった。

 積もりに積もった恨みを晴らせるとあってその所業は数日に及んだ。

 その間、いったい姫騎士は何度となく「もうやめてっ!」と許しを請うたことだろう。いずれ自分も同じ目に遭うとどんなに恐怖したことだろうか。

 如何に戦場で勇敢に戦う勇ましい娘とはいえ、親しい者達が悲鳴をあげながら犯される様を存分に見せられるのは身体を傷つけられる以上の
 苦痛だったようだ。

 姫騎士を犯す愉しみを最後まで残した意図はそこにあった。

 そしていよいよ彼女の番が回ってくる頃にはもはやろくに泣き叫ぶ気力すら失われていた。自分より年下の娘までが犯された挙げ句、淫靡な唸り声を
 迸らせて歓喜に飲み込まれていく様を見届けたとあっては相当堪えたのだろう。

 身に纏った鎧を剥ぎ取り、着込んでいた衣服を引き千切って恐怖を煽れば何度も「殺せっ!」と憔悴しきった声で息巻いたのは最後の抵抗だったのかも
 しれない。

――なによりも女の部分を突けば弱さを露呈した。あの時のように……

 キャロンのように魔術で心を封じていれば姫騎士はいくばか気分が楽であっただろうがラモー・ルーはそれをしなかった。

 無数の触手を蠢かせていながら下着を剥ぐまでいったいどれ程の時間を費やしたことだろう。

 股を大きく開かせ、秘所や尻穴をじっくりと観賞してすぐに手をださなかった。茂みの生え具合から秘貝の形状までを語り聞かせるという屈辱まで
 与えたのだ。

 声を擦り切らすまで泣き叫んで許しを請う姫騎士にしてみればこれ程の屈辱はあるまい。

 まさか身体の隅々まで視姦され、アナルの皺がいくつあるのかまで数えられるとは想像すらしていなかったことだろう。

 魔力の回復を目的にしながらの報復はまだ当人に向けられたばかりでも、姫騎士の勝ち気な心をこの時すでに完膚なきまでに叩きのめしていた。

――この私を追い詰めた者とは思えぬぐらい哀れな顔をしておった

 鍛えていながら柔らかさを損なわない素肌を存分に舐めまわしたのは姫騎士から観念したかのような嗚咽の声が漏れてからだった。

 すすり泣く声を合図にして首筋から引き締まった二の腕、ふくよかで揉めばよく弾む乳房、括れた脇腹やスラリとした美脚へとラモー・ルーの長い舌が
 身体の隅々まで這いずった。

 果実のように熟した胸肉をどれだけ乱暴に扱ったことだろう。秘貝に舌をねじ込んだ時の感触と味は今でも忘れようがない。

 自分を散々苦しめた娘だったからこそ名を忘れても記憶に焼きついているのだ。最初の一滴を啜った感慨はラモー・ルーにとって深いものであった。

――男勝りの気が強い娘であったが最後は呆気ないほどに脆かったものよ

 四肢の自由を奪い、肌を嫐り続けている間は抵抗らしい藻掻きこそあったもの、純潔を奪ってしまえば急におとなしくなってしまった。

 破瓜の痛みでしばらくは派手に悶えていたが、愛蜜を啜ることで与える魔性の快楽が姫騎士の肉体を蕩けさせたのだ。

 忌むべき相手に犯されて感じてしまう恥辱に戸惑い、誰も助けに来ないことを悟って絶望したことだろう。嗚咽の涙は自分達が人々に残された最後の
 希望だったこその諦めだったように思える。

 まして目の前で仲間の娘達が同じように犯されて喘ぎ乱れていたのだ。そのような痴態を延々と見せつけられてはいつまでも快楽を拒んで
 いられなかったのだろう。

 案の定、響き渡る嬌声が姫騎士を堕落させるきっかけとなった。

 喘ぎ声が飛び交う中で犯されていながら感じてしまっては正気を保っていられなかったようだ。

 押し殺していた甘い声音が次第に大きくなり、いつしか自分から腰を振りはじめたのである。

 抗う心を少しでも挫かれてしまえば、いくら救世の騎士とはいえ一溜まりもない。如何に高貴な身分であろうとも、ラモー・ルーが与える快楽は
 意固地な心も溶かしきったのだ。

 愛蜜を吸引していくにつれて姫騎士から王族としての義務が消えた。

 尋常ならざる悦楽に屈した姫騎士はラモー・ルーが放った黒い精を胎内で受けて誇りを手放し、救国の想いを忘れたかのように何度も達した。

 やがて愛蜜を搾り取る快楽に飲み込まれてイキ狂い、他の娘達と同様に従順な蜜人形と化した。

 連日連夜犯しぬき、愛蜜を啜り続けたのは彼女が衰弱しきって事切れる数年後にまで及んだ。姫騎士の仲間だった娘達も同様の末路を辿ったのは
 言うまでもない。

 ラモー・ルーが女の股座から愛蜜を吸い取るということは、命の源とも呼べる精気を吸い取るのも同義。これを昼夜合わせて2回、毎日欠かさずに
 続けたのだ。

 たとえ体力の回復と共に精気が蘇っても、毎日極限まで奪われては衰弱してしまうのは当然のこと。人並みの体力しかない娘ならば1年も保たない。

 実際に姫騎士以外の娘達は早々と枯れてしまって事切れた。長く保った娘でも1年半ほどで衰弱しきってしまった。

 他所の星でも姫騎士のように長く蜜人形として仕えた者はいない。多くの娘は加減していながら数年として生き存えることができなかった。

 ラモー・ルーにとって幸いだったのは姫騎士だけは高い魔力と今のキャロンに匹敵する体力があったことである。皮肉にも一番の宿敵が魔力の回復に
 もっとも役立ち、数年間において魔力の供給源となったのだ。

 ところが優秀な蜜人形を失った未練がこの者には一切ない。支配した星を配下の者に任せて次なる星を目指した。

 死して美しさを損なわない姫騎士の肉体が闇の女王への供物となったこともあり、あれは古い記憶の一部に過ぎないとラモー・ルーは思い返す自分を
 一笑に付した。

――さすがにあの時は無理をしすぎたか。しかし彼奴から根こそぎ搾り取ったからこそ魔力の回復が早まり、今の時代にこの星へ赴くことが出来たのだ。
 あの時に悠長なことしていればここまでの侵略すら手こずっていたかもしれん。フッ、過ぎたことを思い出すほどにユリアの強情さに辟易してしまうとはな

 姫騎士が滴らした濃厚な蜜を魔力に変えて以降、攻め入った相手に苦渋を飲まされたことは一度もない。現に絶大な力を誇るリバースの剣ですら簡単に
折れ、その担い手となった娘を捕らえることも苦にならなかった。

 しかもキャロンという娘の処女汁から膨大な魔力を得られたのだ。それこそ闇の女王を葬りたい衝動がこみあげてくる程に秘めた憎悪が肥大していく。

 全宇宙の支配を目論見ながら強大な闇の力に従わねばならない屈辱と無念をラモー・ルーは決して忘れてはいない。

 闇の女王への憎しみを表情には出さず、頭に思い浮かべた言葉をグッと飲み込んだのは全盛時の魔力を取り戻していない現実を顧みてのことだ。
 リバースの剣を求めたことにしても失った魔力の代替えとしただけでなく、闇の女王と対等に戦える力を欲したからでもあった。

 魔力の回復源となる娘を得た今、滾る憎悪を抑え込む魔術使いはその鬱憤を晴らそうとするかのように嗜虐的な思考をより活発にさせる。

 大きな紅い双眸はその対象となる鎖に繋いだ少女を見下ろした。

――まだその時ではない。せめて全盛時の魔力を上回るまでは星々を支配しながら美しい女体を愉しむとしよう。従順な素振りを捨てるのはそれからでも
 遅くない。ただユリアをくれてやるのは少々惜しいがな

 物思いに耽る凌辱者の意識が現実に戻るまでの間、ユリアは一言も発していないようだった。美しい顔だちには不釣り合いなまでの憎しみがこもった
 眼差しを浴びせていながら涙ぐんでいる表情も変わっていない。

 悔しさを堪えるように唇を噛みしめ、思ったことが言えないのは自身の中で煮えたぎる欲情を抑えているからなのであろう。

 ラモー・ルーにそう結論させたのは他ならぬユリアの態度にあった。

 表情こそ憤りを訴えていても頬はほんのりと赤らんでいる。乳首を勃起させ、擦り合わせている内股は愛蜜でベトベトだ。

 王女という身分でありながら、一人の少女が犯されているのを見てすっかり欲情してしまっていてはもはや言い逃れることはできない。

 故にラモー・ルーはユリアの気丈な心を打ちのめすべく口を開く。闇の女王からの厳命を果たすことを目的にしながら愉悦に興じようとしたのだ。

「もう我慢できないといったご様子だな。ずっと見ているだけではさぞや辛かろう」

「な、何を突然に!?」

「フフフ、やはりまだ自覚していないか」

 含みを持たせた物言いにユリアは狼狽を隠せない。疑念の眼差しを向けようとしたところへラモー・ルーはキャロンの秘部に触手ペニスを突き刺す。

 意識を失った少女の身体がビクンと跳ねる。ポニーテールの結元を両手ごと引っ張り上げたまま別の触手を唇に割り込ませても目を覚ます様子はない。
 強引に咥えさせての注挿が遠慮なしに開始される。

 ユリアにとってこれは予想外のことだったのだろう。怒りに満ちていた表情がたちまち崩れて驚愕に染まり、何かを言いかけようとして絶句してしまう。

「なっ――!?」

「どうだ、これで少しは自覚できたかな。まだ分からぬほど鈍感ではあるまい」

 律動による反動で小ぶりの胸肉が慎ましく弾み、口内に潜り込んだ触手で深く突き刺すごとに「うっ!」という声が漏れた。

 意識がなくてもキャロンは気持ちいいと感じているのか、それとも息苦しさを感じているのか定かではない。上下の口を突いていくにつれて小さな息遣いが
乱れはじめ、膣全体がギュッと締まりだす。

 肉竿から精子を搾りださんとする感触を味わいつつも、ラモー・ルーは表情が固まったままのユリアを見下ろして心情を窺う。

「ほれ、どうした? 言いたいことがあるなら早く言うがいい。今さら何を躊躇う?」

 小さな陰唇が太い肉棒をしっかりと咥え、注挿で膣粘膜までが覗く様をまた見せられる羽目になったユリアの狼狽える様は今までにないぐらいに
 酷いものだった。

 キャロンが眉間に皺を寄せている様を苦しんでいるように見えたのか、問いかけられたことすら意識に届いていないらしい。目を丸くさせた視線は
 塞がった口に向けられたままだ。

 そして次の反応を予め読んでいたからこそ蜜壷から触手ペニスを一気に引き抜く。口腔を嫐る触手も引き抜いてから長い金髪を手放す。

 キャロンの首が両手と一緒に力なく前に垂れる。意識は戻らず、四肢に絡みつく触手に身を預けたままぐったりとしている。

 狼狽しきったユリアは何も言えなかった。僅かな時間とはいえ、気を失ったキャロンへの非道が理解できず、状況すらよく飲み込めていないらしい。

「フフフ、私を心底憎んでいればそのような顔をすることもあるまい。それともキャロンが羨ましいからなのか」

「わ、私はそんな!」

「そろそろ自覚されてはどうかな。いや、気がつかぬふりをやめろと言うべきか」

「いったい何が言いたいのです。先程から分からないことばかり。そもそもその発言の根拠はなんです?」

 声をかけられて我に返ったユリアに憤りはない。否定する声が裏返っているのは動揺しているためなのだろう。

 ラモー・ルーが何を言いたいのか理解しているかのような反応だ。

「根拠ならある。ほれ、思っていることが顔に出ているぞ」

「そのような嘘で騙されません」

「フフフ、如何に王女として振る舞おうとしても内に秘めた感情は一度でも火がつけば簡単に消せぬというもの。いくら嘘を並べようが誤魔化せん。
 顔だけでなく身体もほれ、正直な反応を示しておるではないか」

「そうやって私の心を掻き乱そうとしても無駄です。まったくもって無意味です」

「意味はある。貴女の本音を曝くのにもっとも効果的だ。小生意気なことばかり言う口から吐かすのにな」

「本音って、私は思ったことしか言っていません」

「あくまでも惚けるか」

「惚けるも何も言っている意味が分かりません。そのような物言い、実に不愉快です」

 きっぱり言いきっていながら吊された肢体をもぞもぞとさせる態度は語るまでもない。キャロンの痴態を散々見せられたユリアは発情している。

 睨みながら時折チラリとキャロンを見る目つきがどこか物欲しそうだ。身体からも男を誘う芳香をプンプンと撒き散らしている。

「不愉快なのは自分が何もされないからであろう」

「違います! もういい加減にしてください」

「欲求不満がたまって癇癪を引き起こすとは困った王女さまだ」

「根拠のない言いがかりで愚弄するからです!」

「事実に難癖つける恥もないほどにご不満だったとは」

 やれやれと肩を竦めたラモー・ルーの余裕とは対照的にユリアは苛立ってより感情的になる。本音と建て前の板挟みに付け加え、身体の疼きを
 持て余しているからこそ捌け口を求めたような激高ぶりだ。

 今までにない感情の起伏からして、身体を嬲られるよりも身分を卑しめられることが堪えるらしい。

「もう話にもなりません」

「話にならないのは私の方だ。欲求不満から八つ当たりする貴女とはもう付き合いきれん」

 憤った態度を見せるラモー・ルーの本心は別にある。とはいえ多少の苛立ちを感じているのもまた事実だ。

 ユリアから浴びせられる怒りと憎しみが闇の女王をここへ招くきっかけになっても、彼女が悦欲に溺れなければ生け贄として意味が成さない。

 闇の女王は高貴な魂の穢れを求めている。今のユリアは生け贄として不十分なのだ。

――ユリアめ、ここまで強情だとは思わなんだ。しかしその気高さがあってこそ生け贄に相応しい

 もはや自分を脅かす存在がないのであれば焦ることはない。その上で極上の蜜を味わい、魔力も大幅に回復した。

 この星で成すべきことの大半は成就した。戦略的に後回しにしていた辺境へと勢力を伸ばして完全なる支配までにそう長くかからないだろう。
 高まった魔力を踏まえれば、この星を掌握するのに一晩あれば余りある。

 それを即座に実行しないのは侵略よりも魔力の回復を優先させているからだ。魔力の源泉となる少女を手に入れたからこそ大いなる力にも未練はない。

 但し、闇の女王に忠誠を誓った素振りだけは続けなければならず、その証として差しだすのが生け贄となる娘だ。高貴な精神の穢れを求められたからには
従うしかない。

 とはいえ、不満に思いながらもその過程を楽しむ余裕がラモー・ルーにはあった。

――やはりユリアの心をへし折るには希望を捨て去るほどの絶望を与えてやるしかないか。それとも先に身体の方を屈服させるべきか。フッ、時間は
 たっぷりとある。どこまで強がっていられるか見ているのも面白そうだ

 大きな紅い双眸が気絶するまで嬲った少女の背中を一瞥してユリアを見据える。漆黒の巨躯にとって僅かな動作でも目の前の王女にはとても
 恐ろしく見えたのだろう。

 怒りに任せていた目つきが驚愕に染まる。そしてキャロンを見下ろしたラモー・ルーの素振りが気になるらしい。

「剣士様は気を失われているというのにまだ酷いことをするつもりなのですか! 彼方って人はどこまで卑劣なのです」

「うるさい、静かにしておれ」

「いいえ、黙りません!」

「ならば気が済むまで喚いているがいい。時間を無駄にさせられた鬱憤を晴らす様を見ていられたらの話だかな」

 これ以上の問答は無意味と言いたげに触手ペニスが蠢く。キャロンが気を失ったままでも構わないと媚粘膜を覗かせたままの膣穴に狙いを定めた。

「やめて下さい! 待って!」

 ユリアが上擦った声で必死に呼び止めるとラモー・ルーがニヤリと笑う。闇色のしなる肉竿がキャロンの股座に突き刺さる寸前で動きをとめて先端を
 ウネウネとくねらせる。

 うなだれたままの少女は目を覚ます様子もなく股座に迫った気配を感じていないようだ。精根尽き果てた寝顔からして十分な休息を得る必要があるだろう。

 それ故にこの脅しは効果的なのだ。顔面蒼白となったユリアは狡猾な魔道士の掌で踊らされるしかない。

「おおっと、無理に蜜を取り込んで死なせてしまっては勿体ない。しかし体力の回復を待つだけというのもつまらないものよ。うむ、宮殿に捕らえている
 侍女達をここらで数人ばかり使い捨てるのも一興か。見せしめには丁度いいかもしれん」

 芝居がかった言いまわしがユリアの感情を逆撫でる。もちろん聞こえるように呟いた独り言は意図してのことだ。

 両腕を吊り上げる鎖を引き千切らんと悶え暴れるユリアにとって、自身が嬲られるよりも他人が嬲られることの方が精神的な苦痛が大きい。これまでの
 言動からしてそれは明らかで彼女の弱みとなっていた。

 そして露骨で下手な芝居だからこそ無言の脅迫となる。取り乱していたユリアをおとなしくさせ、魔術を使わずに意識を縛る効果を余すことなく発揮したのだ。

 悪意に満ちた脅迫を聞いたら最後、ユリアにはラモー・ルーが望む言葉を口にするしかない。

「でしたら私に……剣士様の代わりに、この私を……」

 万民に慕われた王女には己を差しだすしかない。しかも己の意思で決断し、声にして淫らなお強請りを告げねばならないのはどんなに屈辱なことだろう。

 一方的な凌辱と自ら望んで身体を差しだすことでは意味がまったく違う。付け加えて身体の火照りを感じているであろう状況ともなれば、身代わりになる
 つもりで言っても意識する度合いも変わる。

 案の定、赤らんだ顔を背け、語尾に近づくにつれて小声になってしまう言葉がユリアの心情そのままに現れていた。

「何を言ったのかさっぱり聞こえん。そうか、何か聞こえたかと思ったが気のせいだったか」

「お願いっ! お願いします。その方を、剣士様を休ませてあげて下さい。代わりは私がしますので、どうか……お願い、します。ぅぅっ」

 屈辱に耐え忍び、精一杯の声を振り絞って懇願するユリア。

 さすがにラモー・ルーを真っ直ぐに見ることが出来ずに顔を背けたままだ。頬の赤みがより色濃くなり、言い終えた途端に唇を噛みしめている。

 意にそぐわないことを言わざるを得ないからこそ余計に恥辱に感じているのだろう。その横顔がなんとも艶めかしく、少女らしからぬ大人びた色気を
 醸しだす。

「もう貴女と言葉を交わすつもりはないのだが、どうしたものよ。困ったのう、フフフッ」

「何でもします。その……私の、大事なとこ……いくらでも吸って……か、構いませんっ。はぁっ……うぅ、うっ……その……ですから剣士様を……
 離して……く、ください」

 自ら女性として、王女という身分を貶めることを言わなければならない苦悩が声に滲み出ている。

 ユリアがどんなに気高い精神の持ち主であっても年頃の少女。キャロンとそんなに年は変わらない。

 然るにラモー・ルーは手加減せずに追い詰めていた。性格を見抜き、言葉だけで苦しめる。

「ほう、では貴女が身代わりになるというのか。違うな、それは口実だ。今度は自分にして欲しいと思っているのではないのか?」

「それは違っ……!」

「どうした、正直に言ってみろ」

「わ、わ、私は……そ、その……」

「答えられぬならそれでもいい。但し、貴女の声に耳を傾けることは二度とあるまい」

 聞く耳をもつ素振りをみせていながら返答次第でキャロンの運命が決まると宣告したも同然に言い放つ。トドメとも言える最後の一言でユリアから
 選択の余地を奪う。

 張り巡らされた言葉の罠は蜘蛛の糸のように絡みついて王女の思考を縛りあげる。身体だけでなく、心までも丸裸にせんとした悪意はどこまでも残酷だ。

 狼狽えるユリアがいくら躊躇おうとも、最後は自らの意思で思惑通りの言葉を言うしかない状況にもっていく。

「して……ください……」

「聞こえん」

「私にして、ください。うぅ、お願いします」

「それでは分からん。具体的に言え!」

「ですから私に、彼方のを私の……ア、アソコに……お、お願い……します」

「まだ不十分だ。何を頼みたいのか見当がつかん」

「そんなっ!」

 脅しは十分すぎると分かっていながらラモー・ルーはユリアを執拗に追い詰める。羞恥で美しい顔が歪む様がこの者には愉快でならなかった。

 しかしユリアにとっては堪ったものではないだろう。ここまで言うことでさえ精一杯であったであろう彼女の顔はみるみると真っ赤に染まり、言葉に
 詰まったまま何も言い返せない。

 呼吸が乱れはじめた様子からして、恥ずかしさのあまりに心臓がバクバクと動悸をうって息苦しく感じていることだろう。胸の起伏が大きく動いている
 ことからして一目瞭然だ。

「そうか、言えないのであればそれでも構わん。キャロンに体力がなかろうが今すぐ蜜を頂くまでだ。それで死んでしまっても他所の星にいけば代わりは
 見つかるだろう。いや、この星の若い娘を一人残らず集めれば代わりになるやもしれん」

 これはただの脅しではないと仄めかしつつラモー・ルーが無数の触手を動かす。間髪入れずに漆黒のペニスまでが小柄な体躯に迫ったその時――!

 しばらく押し黙っていたユリアが悲痛な声で叫んだ。

「待って! 待って下さい。言いますから、ちゃんと言いますから待って」

 ユリアが慌てふためきながら呼び止めることを予期していたからこそラモー・ルーは触手をキャロンに触れる直前で止めた。

 但し、ここで躊躇う猶予をユリアに与えさせない。触手を不気味に動かし、無言の圧力をもって即答を迫る。

 ユリアの羞恥心を煽るだけで済まさず、気丈な心を完膚なきまで打ちのめす。

「だからもう剣士様に手を出さないでください」

 弱々しい声音で訴えかけてくる王女に先程のような気丈さは消えていた。目の焦点が合わず、自身でもどこを見ているのか分かっていない様子だ。

 羞恥に耐えながら言葉を紡ぐ唇の震えが心情を物語っている。苛酷なる言葉の暴力がついにユリアを屈服させたのだ。

「彼方の言うように私は、王女としてあるまじき破廉恥な女です。ですから彼方のをわ、私の……私のアソコに……い、挿れてくだ……ください。いっぱい…
…いっぱい……淫らな液を、遠慮なく吸って……下さい。お、お願いします……ううっ」

 恥じらいの横顔がラモー・ルーの嗜虐心を擽る。両腕を吊り上げた肢体の震えが王女の美しさを艶めかしく映しだす。

 あどけなさを残す顔だちにしては大人びた色気がここにきて存分に発揮され、羞恥に耐え忍ぶことで際立っている。

「王女ご自身が望んでということだな?」

「そ、そうです」

「フフフ、王女とあろう者がなんとも淫奔なことよ。自ら進んで犯されたいと願うか」

「どう思われても構いません。ですから剣士様を早く離して……お願い……」

 薄目で様子を伺う眼差しが不意打ちで飛び込んできたのはすぐ後のことでラモー・ルーの欲情を存分に掻きたてた。

 今すぐにでもその柔肌にむしゃぶりつき、愛蜜を啜りたい衝動が漆黒の巨躯の中で煮えたつ。極上たる蜜を味わった直後でなければ自制出来なかった
 かもしれない。

 儚い声音を精一杯搾りだすユリアを闇の女王への生け贄にしてしまうことすら躊躇わせるほどだ。

 それを押し止めたのは皮肉にも制限なき欲望だった。全盛時の魔力を取り戻さんとする執念は女体への執着と同一のものになっていたのだ。

――私ともあろう者が小娘一人に理性を剥がされそうになるとはな

 先程は一芝居をうつために自制したが、ここで欲望に突き動かされてしまえば一切の自制が効かなくなる。理性を手放したら最後、せっかくの蜜人形を
 一晩で潰しかねない。魔力が枯渇した遙か昔に繰り返した愚行はあってならないのだ。

 もしも本能のまま肉欲に溺れてしまえばキャロンだけでなく、ユリアを含めたこの宮殿に捕らえている娘達までも餌食にしかねない。下手をすれば暴走した
 挙げ句、娘達の肉体が干からびるまで愛蜜を取り込んでしまうだろう。

 ラモー・ルーはそれをもっとも恐れているのだ。禍々しい魔物の如き姿に変貌することはこの者にとって謂わば諸刃の剣のようなものであった。

「いいだろう。とりあえず今は離してやろう」

 うわべではユリアの懇願を聞き入れるラモー・ルーであったが、その実では自制を効かせる意味でキャロンを手放したにすぎない。触手の戒めから
 解かれて俯せに倒れる矮躯に目を向けなかったのもその為だ。

 床に叩きつけられる衝撃を受けても意識を取り戻す様子がないことはユリアの反応を見ているだけで分かる。待つ間の暇つぶしとなる余興を自ら潰す
 つもりはないからこそラモー・ルーは平静を装う。

 安堵して顔が僅かに綻ぶユリアは凌辱者の心情が変化したことに気がついていないようだ。床に伏せたままピクリとも動かないキャロンの身が心配に
 なってそれどころではないらしい。

「剣士様、剣士様ぁぁっ!」

「人を心配している暇はない。ご自分が言ったことをもうお忘れか?」

「分かっています! ですが……!」

「限界まで蜜を搾り取ったのだ。心配することはない。しばらく寝かせておけば目を覚ます」

 キャロンに命の別状がなく、ただ気を失っているだけ。

 しかし度重なる非道を繰り返したラモー・ルーをユリアは訝るように睨みつける。したたかに全身を打ちつけられて反応がない様子をただ事ではないと
 言いたげだ。

「信用できぬと言いたそうだが私とてこの娘に死なれたら困る。それは王女殿もお分かりであろう」

「でしたら何故ここまでの酷い仕打ちをしたのです! こんな穢らわしい行為を延々とよくも!」

「言葉を慎め。この私を怒らせたらどうなるのか分かっているのか!」

「くっ、彼方は卑怯です!」

 怒気をはらんだ声で一喝し、キャロンに触手を嗾ける素振りをみせるとユリアは黙るしかなかった。自分の置かれた立場を弁えれば反論の余地はないと
 思いしったのだろう。

 そう――ユリアは囚われた時から言論の自由を奪われていたのだ。如何なる態度を示そうとも、非情なる漆黒の魔道士の気分次第で意にそぐわぬものに
 塗り替えられてしまう。

 おそらく身体だけでなく、心までも囚われたかのような錯覚すら覚えているのではないだろうか。その発露が涙となって頬を濡らしているようだ。

「いい表情だ。無礼な発言の数々、その顔に免じて許してやろう。但し、今後は貴女の態度次第だということを忘れぬことだ。次はないものだと思うがいい」

 ユリアの沈んだ表情を見下ろすラモー・ルーの氷のような嘲笑だけが薄暗い広間全体に響き渡る。

 天井に空いた小さな隙間から差し込む四つの月光が合わさった淡い輝きは誰にも届かずに石の床だけを照らしていたが、選ばれし剣士が邪悪なる者の
 手に堕ちた時より照らす範囲を狭めていた。

 四つに合わさった月光そのものが意思を持っているかのようにキャロンから遠のいていく。ラルの星に伝わる奇跡の輝きがいつしか遠い地平の方へと
 傾きはじめたのだ。

 あたかも古の伝承の終焉を告げているかのように少女の左手にある腕輪が闇色へと染まっていく。