超次元伝説ラル ラモー・ルーの淫宴



第7話 女騎士団長と魔法少女





 いくつもの牢獄がある階層が騒がしくなる理由は二つある。
 一つはラモー・ルーが姿を現したとき。
 もう一つの理由はこの宮殿に忍び込んだ者が追い詰められたときだ。
 ラモー・ルーが姿を現せば必ず闇が床一面に広がり、おぞましい触手がいくつも生えてくる。
 しかし牢獄内に闇が広がることもなく、不気味な気配すら感じられない。
 かつてラル王国に仕えていた侍女達は誰もが不可解に思えても口にはしなかった。
 たとえ自分達の身に何も起きなくても、他の牢獄の中では目を覆いたくなる光景が始まったのでないだろうかと想像がついたからだ。
 ところが騒ぎはすぐに治まった。
 人の話し声が聞こえても、聞き慣れた悲鳴や淫らな声がまったく聞こえてこないとなればラモー・ルーが姿を現したのではない。
 しばしの騒ぎはまた誰かが侵入した挙げ句に殺されたのだろうと侍女達は思った。
 異星からの侵略者を倒そうとしたのか、あるいは肉親や恋人を助けようと思ったのだろうか。
 理由がどうであれ何故そんな無謀極まりない行為に及んだのだろう。
 どうして自分の命を大事にしなかったのかと声を出さずとも誰構わずに顔を見合わせて涙ぐむ。
 名も無き英雄のために祈り、もう同じ悲劇が起こらないようにと願った。
 しかしいつまでも悲しんでいられないのが彼女達の境遇だ。
 闇が広がる気配が感じられなくても、それはいつ現れてもおかしくはないのだから。
 深い悲しみは不安と絶望に塗りかえられてしまう。
 ところが今にかぎって黒騎兵達の声がまったく聞こえないばかりかいつもと様子が違った。
 遠くから聞こえる足音は一つ。
 しかも静まりかえった通路から颯爽と駆け寄ってくる声が侍女達にとっては聞き慣れたものだ。
 ここに囚われる前、ラルの国が平和だったころから何度も聞いたその声は自分たちの名を叫んでいる。
 名を呼ばれた娘が次々と反応して沈んだ顔をあげてふり向く。

「この声、もしやライケ様!?」

「間違いないわ。きっと助けに来てくださったのよ」

「だったらここから出られるのね。もうイヤらしいことされずに済むのね」

 一人の若者の姿を脳裏に浮かべ、その名を口にするだけで侍女達の表情に明るさが戻る。
 期待と安心感を与えてくれる第一衛士の健在にうれし泣きをする侍女と別の侍女が後ろ手にされたままの格好で向き合い、抱き合えずとも肌を寄せ合う。

「ライケ様、生きておられたのですね。よかった、本当によかった」

 ラル王国第一衛士とはすなわちもっとも武に秀でた者がその責務を担う。
 歴代の王家の守護者はその時代において最強の者が務めてきた。
 あらゆる武具に精通し、剣技において並ぶ者はなしと謳われた若者が今も健在であればもう一度希望をもつことも許されよう。
 再び陽のもとの土を踏みしめることができるかもしれないと夢みてなんらおかしくもない。
 が、侍女達の喜びを否定する者がここに一人。
 同じように後ろ手に鎖で繋がれ、隷属の首輪を嵌められた裸身の娘が異を唱える。
 赤い髪を束ねた長身の娘だ。
 鋼のように鍛え抜いていながらも、女性らしさを損なわない体つきは一目で侍女達とはまったく身分が違うと分かる。

「無理だ。如何にライケとはいえラモー・ルーに一矢報いることはできない。それどころかここから生きて出ることすら容易ではない」

「でもライケ様なら」

「お前達も散々見てきただろう。ここに足を踏み入れた英雄気取りのバカ達の末路を。たとえ運良く脱出できたとしてもみんなを連れては無理だ。
 せいぜい命からがらといったところで五体満足とはいくまい」

「そんなことありません。ライケ様はとてもお強くて、今までだって!」

「ヤツの目の前で王女が攫われてもか。それにあたいの騎士団は総掛かりでもラモー・ルーに傷一つ負わすこともできずに敗れたのだぞ」

 侍女達より少しばかり年上の娘に論破されて誰も反論できずに口籠もる。
 ラモー・ルーの恐ろしさを誰もが分かっているからこそ反論できない。

「最強を誇ったラル王国の騎士団はすでに壊滅。生き残った残党も次々に狩られ、王族で唯一生き残った王女も囚われては国が滅んだも同じ。
 ラル王国だけでなくすべての国が滅ぼされた今、どうやってヤツに立ち向かおうっていうのさ。戦わずとも何処に逃げるって言うんだい?
 隠れられるところが何処かにあるなら是非とも聞かせてもらいたいね」

 この問いに答えられる者はいなかった。
 静まりかえった通路に唯一響いていた足音がいつしか雑音と怒声に掻き消されては脳裏に悪夢が蘇ってしまうのも無理はない。
 侍女達から笑みが消えて表情が曇りだす。

「どうやら進退窮まったってところかな。第一衛士ライケもここまでのようだ」

 溜息混じりに赤い髪の娘がポツリと呟く。
 その呟きが侍女達の不安を煽る。

「これであたいが知るかぎりでは名うての猛者はいなくなる、か。ハハッ、端っからこうなる運命だったってわけさ」

 諦めも同然とも言える言葉にどこからなくすすり泣く声が聞こえた。
 言った本人も笑ってはいるが潤んだ目から今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
 ギュッと拳を握りしめ、後ろ手にされた腕に力が入りすぎて肩が震えだす。

「ちきしょう。リバースの剣とやらが実在して手元にあればあんなクソ魔道士なんかに負けやしなかったのに!
 こんな屈辱を味あわされることもなかった!」

 ここに囚われている娘達は例外なく貞操を奪われている。
 赤い髪の娘もまた戦いに敗れ、死を選ぶこともできずにラモー・ルーの毒牙に掛かった。
 武人としての誇りを奪われ、女としての尊厳までも踏みにじられた怒りと悲しみは如何ほどのものだろうか。
 何度も犯されては快楽に飲み込まれ、はしたなく喘いでしまった己を責めたことも数え切れない。
 敗北の覚悟はあっても到底受け入れることができない屈辱の日々。
 生きてさえいれば憎き相手の喉元に迫る好機が訪れるのではないかという諦めの悪さ。
 心の中で渦巻く感情を本人はそれを口にせずとも表情がすべてを語っていた。
 鳴りやまぬ剣戟の響きが彼女に過去を思い返させる。
 共に戦場を駆け、互いの武を競い合った日のことを――。

「昔のことを思い返すなんてあたいもついに焼きが回ったか。フッ、ライケと決着つけずに終わった勝負。もう決着をつける機会はないってことか」

 ラルの国随一の槍捌きを誇った騎士団長は囚われの身となり、ラルの国最強の剣士は窮地に追い込まれている状況で再戦の見込みは皆無。
 ならばせめて戦友であり好敵手の最期を見届けたいと願うも、その姿は分厚い石壁に遮られて見ることは叶わない。
 かつての女騎士が感傷に浸っている間も剣戟の激しさは増していく。
 より近く、より大きく通路から響き渡ってくる。

「あら、竜騎士アリッサほどのお人がもうお諦めになられるのですか?」

 背後から挑発する声に赤い髪の娘が片眉を顰める。
 勢いよく背後を振り返って睨む彼女のふくよかな胸がブルンと大きく弾む。

「まあまあ怖いお顔をなさって。そんなにお怒りになられるとせっかくのお綺麗なお顔が台無しですわよ」

 アリッサという名をラルの国に住む者ならば誰もが知るところ。
 強き女性の象徴とされた騎士団長を挑発したのは武勇とはまったく縁がなさそうな美少女。
 年の頃にしてはアリッサよりも5つぐらい年下だろうか。
 大人でも震えあがる騎士団長の睨みを瑠璃色の髪をした華奢な少女がニッコリと笑って受け流す。

「ほう、魔術師風情の、しかもこんな小娘にこのあたいが随分と舐められたものだ。鎖に縛られては何もできないと高をくくって舐めているのか」

「いいえ、舐めてなどいませんわ。同性をペロペロ舐める趣味などわたしにはまったくないんですもの」

「てめぇ、いい度胸だ!」

 アリッサの怒気に臆することなく笑みを崩さない小柄な少女とは対照的に周囲の侍女達は誰もが青ざめた表情で二人を見ていた。
 もう通路の向こうの様子など気する者はここにいない。
 誰もが竜の騎士団長の怒りが鎮まることを願うしかなかった。
 但し、怒りの矛先を向けられた少女だけは違う。
 裸で姿勢正しく座ったまま微動だにせず、後ろ手にされているのもあって慎ましい胸を張る余裕すら窺える。

「そんなにお怒りになられては目尻の皺がもっと増えますわよ、オバサマ」

「ぶっ、ぶっ飛ばす!」

 怒れる騎士団長が立ち上がったその時だ。
 大きな鉄格子に何かが激しくぶつかる衝撃に誰もが振り向く。
 黒い甲冑が鮮血を撒き散らしながら崩れおちる先に見える蒼い外套を纏った青年の姿が張り詰めていた空気を一瞬にして吹き飛ばす。





 外部からの侵入者が牢獄の最深部にまで辿り着いた事がかつてあっただろうか。
 アリッサや侍女、そして魔術師とおぼしき少女が知るかぎりではそのような者は一人もいない。
 いたとしても既に身柄を取り抑えられた者だけ。
 男ならばその場で処刑され、若く美しい女ならばラモー・ルーに犯された。
 だが目の前の青年だけは違う。
 傷一つも負わず、この場において笑みを浮かべる余裕すら窺える。
 一振りの長剣を握りしめ、もう一方の手にある鍵を使って鉄格子を開く蒼い外套の男との再会をここに囚われた娘達はまだ喜ぶ実感がない。
 いや、アリッサとこの中で一番年少と思われる瑠璃色の髪が特徴的な少女だけは違った。
 赤毛の娘は涙ぐみながらも笑みを浮かべ、姿勢正しく出迎える少女は青年がここに現れるとこを予期していたようだ。

「ライケ、この野郎。まさか生きて会えるとは思わなかったぞ」

「お待ちしておりましたわよライケさん。さすがはラル王国の第一衛士ですこと。威勢だけが達者な元騎士団長とは格が違いますわね」

 ニタリと横目に笑う少女の挑発にアリッサが黙っていられるはずもない。
 再会の喜びが一変して「てめぇ!」と殺気立った目で睨む。

「あら、どうされました? 何をお怒りになられているのです」

「フフフッ、あたいをここまでコケにしてただで済むとは思っていないだろうな」

「そんなに凄んでみせても怖くなんかありませんことよ。そもそも貴女程度の腕でわたしに敵うはずがありませんもの。
 ま、若さと美貌でもあたしの方が遙かに勝っていますし、年増のオバサマが妬むのも分からなくもありませんが」

 この発言が決定的だったのだろう。
 大男でも蹴り飛ばしそうな回し蹴りが少女の側頭部を襲う。
 あっという間の出来事に誰も動けず、凄惨な状況を目撃するはずだったのだが――!
 鍛えられた脚による鋭い一撃は虚しく風を切っただけだった。
 少女を縛っていた鎖がジャリッという音だけを残して石の床に落ちる。

「なに、消えただと!」

 両腕を縛られた状態でもアリッサの蹴りに衰えはなかった。
 それは蹴りを放った本人が誰よりも分かっていたことだ。
 然るに武術とは無縁な少女が避けるどころか、ラモー・ルーの魔力がこもった鎖を瞬きする間もなく解いて姿をくらませたのである。
 もちろん周囲にいた侍女達にも少女の姿が突然消えたように見えたことだろう。
 唯一たった今この場に現れたライケだけがその行方を見失っていなかった。
 但し、この状況がどういう事なのかまでは理解していない。

「何をもめていたんだ?」

「もめてなんていませんわ。ただこのオバサマが嫉妬に狂ってお怒りになられているだけですもの」

 何事もなかったように並んで会話する二人に周囲の侍女達は唖然。
 そしてアリッサは少女に怒りの矛先を向けていた。

「てめぇ、どうやってあのラモー・ルーの魔力を断ち切りやがった」

「自分の魔力で相殺したまでですわ。ライケさんのような強いお方が助けにきてくださるまで魔力を温存していればこれぐらい容易いことですわよ」

「で、自分だけ逃げようって魂胆か。性根が腐ったクソガキが考えそうなことだな」

「まさか。ご自分をよく見なさい。それにここに囚われていた皆さんも」

 少女が言うが早いか、ここに囚われていた者すべての戒めが解かれていた。
 ライケが別の牢で必死になって断ち切ろうとして切れなかった鎖を年少の少女が瞬く間に解いて見せたのである。
 これにはさしものライケですら感嘆のため息を漏らすしかなかった。

「驚いた。ラモー・ルーの魔力がこもった鎖をこうも容易く解くとは」

「これぐらい別にどうってことありませんわ。より強い魔力を鎖に流し込むだけですもの」

 さも当然とばかりに少女が得意げに言ったもの、それを成し遂げることが如何に困難であろうことか。
 これまでラモー・ルーに魔力で対抗できた者は誰もいない。
 ライケやここに囚われていた者にとってそれが共通の認識であった。
 つまりこの少女は一時的にしろラモー・ルーの域にまで届く魔力を秘めていることになる。
 ゆえに誰もが驚かずにいられない。
 アリッサまでもが一歩も動けず、自由になった両手を信じられない面持ちで見ていることしかできなかった。

「でもラモー・ルーと戦うとなれば話は別ですわ。悔しいですけどわたしの魔術ではまったく敵いませんでしたもの。次元が違いすぎましたわ」

 誇らしげに胸を張っていた少女の顔つきが厳しいものに変わった。
 拳を握りしめて肩を震わすその姿に無念のほどが窺えよう。

「とは申しましてもこのままで済ませるつもりもありませんことよ。今まで受けた屈辱を倍にして返してあげますわ」

 瑠璃色の髪を片手で搔きあげる仕草をみせた少女がニッコリ微笑むとライケの腕に自分の腕を絡ませた。
 儚い胸で鍛え上げられた腕を挟むように自身の身体をすり寄せる。

「その為にもライケさんには協力してほしいのですが」

「君は勝てないと分かっていながらラモー・ルーと戦うというのか」

「四つの月が沈む前ならまだ勝算はありますわよ。ただ時間はそう多く残されていません。それに……」

「それに?」

「ラモー・ルーからリバースの力を取り戻すとなれば姉の力が必要になります」

「君の姉さん?」

「ええ、リバースの力が闇に染まりきる前に姉の力で浄化しなければ大いなる力がわたし達にとってとてつもない脅威になります」

「どういうことだ。ま、まさか!?」

「残念ながらリバースの剣を持つ伝説の剣士は敗北しました。黒騎兵たちが言っていたことが本当なら、その剣士はもう……」





 ライケがもっとも恐れていた事態。
 それはゴモロスの神殿で出会った少女にリバースの剣の力を解放させる術を伝える前にラモー・ルーと接触させてしまうことだ。
 如何に伝説の剣といえどもその力を発揮できなければ意味はない。
 しかも剣技において自分よりも遙かに劣ると思われるその少女では絶大な力の助力なしに戦いを挑めば敗北するのは必至。
 ラモー・ルーに傷一つ負わすこともできないだろう。
 ゴモロスの神殿に黒騎兵たちが強襲してきたといえ、先にこの宮殿に向かわせたことがライケにとって痛恨の極みともいえた。
 もしも単身ここへ向かわせていなければ少女も水晶鏡が映しだしていたリバースの剣の力を発揮させる術を見ていたことであろう。
ならばこそ自らの手で希望の芽を摘んでしまったとライケは思わずにいられない。
 もはやすべて終わってしまったのだと――。

「私が迂闊だった。あの時どうしてこうなることを考えられなかったのだ」

「悔やまれるのは最善を尽くしても及ばなかった時になさいませ。リバースの力が闇に染まりきる前なら間に合います」

「だがそれだけではないのだ。あの方はリバースの剣の担い手である前に……!」

「それも存じています。ですが優先されるのは平和を取り戻すこと。打倒ラモー・ルーを果たさなければ何もかも失われてしまいます」

 瑠璃色の髪をした少女は言葉こそ冷静そのものであったが内心では穏やかでなかったらしい。
 抱きしめるライケの腕を強く自身の胸に押しつけることで感情を露わにさせる。

「ですから姉の、星詠みの巫女の力が必要なのです」

「君はいったい」

「わたしはリトラ。星詠みの巫女の妹にしてその身を守護する者。とは申してもこの有様ですが」

 リトラと名乗った少女は悲しそうに表情を曇らせたあと、一呼吸をおいてから上目遣いに微笑んだ。
 まるでライケを慕うかのように。
 その態度が癪に障ると言いたげな者がこの場に一人。
 赤毛の騎士団長アリッサだ。
 二人の会話に割って入ることもできずに先程からリトラを睨んでいた。
 もはや黙っていることが限界らしい。
 肩をいからせた態度で足音を派手にならしながら二人に歩み寄る。

「さっきから黙って聞いてりゃあたいは無視かよ!」

「あら、まだここにいたんですか。てっきりもう逃げ出したかと思っていましたわ。それとも鎖を解いてさしあげたことすらお分かりになりませんでしたか」

「てめぇ、ここまであたいをコケにして無事に済むとは思うなよ」

「またその台詞ですか。まるで雑魚キャラみたいで本っ当に能がないですこと。ま、脳がない貴女にはピッタリですけど」

「いい加減にしやがれ!」

 ブチ切れたアリッサが拳を振り上げたのと同時にリトラがライケの背に隠れた。
 しかし騎士団長の拳はとまらない。
 ビュンと唸る一撃が勢い余って青年の顔面に迫った。
 竜騎士と称されたアリッサの拳は巨漢の男ですら一撃で倒す威力がある。
 それを涼しげな顔をしながら手の平で軽々と受けとめてみせたライケ。
 牢獄に乾いた音が大きく響くほどの衝撃を受けながらも彼の表情は眉一つ動いていない。

「もうそれぐらいにしておけ」

「コイツを庇うのかよ!」

「状況をよく考えろ。今がどういう時だってお前も分かっているだろう」

 本来ならここで治まるはずだったが、このあとに発したリトラの言葉が余計だった。

「言っても無駄ですわ。脳まで筋肉みたいにカチンコチンになったオバサマに分かるわけありませんもの。こんな脳筋赤毛ゴリラなんか放っておいて急ぐべきですわよ」

「やっぱりてめぇだけはこの場でぶっ殺す!」

 もはや収集がつかない。
 ライケを軸にして裸体の娘二人がしばらく駆けまわった。
 この時、すでにラルの星の運命を左右する闇の儀式が始まっていたとも知らずに――!