●日曜朝の秘め事●

ええっと…

これ一体、どういう状況?
寝起き(?)の頭を何とか動かし、あたしは今の自分がどうなっているのかを考えた。
場所はマンションの寝室のベッドの上。それは間違いない。…うん、見慣れた天井だ。
そして服装は…ブラとパンティだけ。そして両腕に布が巻かれ、左右に開いた姿勢で
ベッドにしっかりと拘束されてしまっている。全く緩む気配がない、プロの縛り方だ。
視界に入らなかったけど、どうやら足も固定されているらしい。少し股を開いたまま
ほとんど動かせない状態だ。

時刻は…
何とか首を回し、ベッドの脇の時計で日時を確認する。日曜の朝9時前。カーテンが
閉じられているからはっきり判らないけど、外がもう明るくなってるのは確からしい。
記憶では、前日の夜10時半までは意識があった。その時一緒だったのは、ニン忍と…

そこでようやく思い出した。昨夜の訪問者を!

「吹雪さん!?」

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「はぁい、おっはよー!!」

あたしの一言を待っていたかのようにドアが開き、予想通りの人物ー甲斐吹雪さんが
にこやかな笑みと共に入ってきた。タンクトップにパンティと、こちらもラフな姿だ。

「ずいぶんとぐっすりお休みだったわねぇ巫女ちゃん。」
「ちょっと!!」

明るい調子でそう言いながら前髪に触れてくる彼女に、あたしはとてもじゃないけど
調子を合わせる事なんてできなかった。説明してよ説明!!

確か彼女は昨夜の9時ごろ訪ねてきて、久し振りに遊ぼうよ”と言ってきたのだった。
「お父さんが呼んでる」という言伝があったから、ニン忍は入れ違いに色魔淫界へ
帰ったんだっけ。で、明日は日曜だから語り明かそうって話になって盛り上がって…

いつの間にかぐっすり寝てしまって、目覚めたらこの状況だ。
もしこれが夜久ちゃんであれば、何故こんな状況になったか分からなかっただろう。
だけど、吹雪さんなら話は変わってくる。彼女の性格と、今のこの態度を見れば…

「一服盛ったでしょ!?」
「はーい、大正解!」

大正解じゃないってのよ!
悪い人じゃないのはもう知ってるけど、こんな事を何の迷いもなくやってしまうから
彼女には油断できないのである。って言うか、何のためにこんなばかげた事を!?

「もしかしてニン忍が呼ばれたって言うのもデタラメだったの!?それじゃ…」
「はい、そっちは不正解。」
「え?」

勢い込んだ出鼻を挫かれた。ついでに、物理的に鼻を指先でちょんと弾かれた。

「ニン忍が呼び戻されたのは本当よ。ま、あたしが大王さまに頼んだんだけどね。」
「ど、どうして?」
「人払いよ。」

人払い?
つまり、今この場に2人っきりになるために?…それも、この状況で?
さっきまでとは違う嫌な予感。
何とか戒めを解こうと手足を動かすけど、縛ったのが彼女なら無駄な足掻きだろう。
とにかく、彼女の真意を知らないと…

「…吹雪さん、何が目的なの?」
「何だと思う?」

見当がつかない。と言うか、この人に限ってはあんまり見当をつけたくない感じだ。
正直、考えるのがちょっと怖い。

「はい、時間切れー!」

無情にも時間切れらしい。

「正解はぁ…」

楽しげに言いながら、吹雪さんはあたしの胸元にゆっくりと手を伸ばしてきた。
そしてそっとブラに触れ、手品のような手つきでフロントホックをパチンと外す。

「きゃぁっ!」

柄にもない悲鳴を上げてしまったけど、この場合はしょうがないだろう。
抵抗する術もないまま、あたしのおっぱいが露わになってしまった。…何なの!?

「吹雪ちゃんの特訓タイムでしたぁー!!」

…いや、「でしたぁー!!」って高らかに宣言されても。
嫌な予感は、ますます大きくなるばかりだった。

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「特訓って、何の?」

聞くのが怖いけど、聞かないわけにもいかない。どうか彼女が正気でありますよう…
しかし、意外にもそこで吹雪さんはフッと真面目な表情になった。

「もちろん淫術よ。あたしが来て特訓って言ったら、それしかないでしょ?違う?」
「…違いません…」

何か怒られてるみたいになって、あたしは思わず敬語で答えてしまった。…確かに、
彼女は友達である以上に弥勒衆くノ一としての同志だ。特訓ってのも自然なワード。
だけど、それで何でこんな拘束になるの?

「あたしの知ってる巫女ちゃんは、隙あらば修行をサボる困ったちゃんなのよね。」
「えっ…いや、それは…」

図星を突かれて、反論の言葉がなかった。確かにそのとおりですけど…

「その事については、大王さまも真利亜さまも思うところがあるみたいだからね。
 ちょっと喝を入れて来て欲しいって命じられたのよ。…いや、お願いされたの。」
「えぇー……」

お父さんとお母さんが?…すみません、親不孝で…って、そうじゃない!
だからってニン忍を呼び戻してまで、吹雪さんと特訓というのは極端過ぎると思う!

「なーんか文句言いたそうだけど、嘘じゃないからね?」

まるで見透かすようなその言葉が偽りでない事は、口調と表情で判ってしまった。
どうやら、観念するしかないらしい。

「…分かった。それで何をすればいいのよ?」

特訓、やってやろうじゃない。確かにサボり気味だけど、吹雪さんには負けないよ?
だけど吹雪さんは、意味ありげに首を振った。

「巫女ちゃんは、とりあえず何にもしなくていいよ。」
「え?」
「今日は、精神力と忍耐力を鍛える特訓をやるから。」
「え…」

さっきまでとは比べ物にならないくらい、猛烈に嫌な予感が…

「ど、どういう意味?」
「簡単な話。今から、あたしが巫女ちゃんを淫術でたっぷり快楽責めにしてあげる。
 それに耐え抜いたら特訓修了よ。楽なもんでしょ?」
「ちょ、ちょっと待って!それは…!!」
「だーめ。はいそれじゃ始めるね。力抜いてー。」
「…!!!」

それ以上、抗議も懇願もできなかった。
黙ってぐっと顔を寄せた吹雪さんが、ためらいなくあたしにキスをしてきたから。

柔らかな唇があたしのそれを優しく蹂躙する。やがて熱い舌がぬるりと歯の間から
口の中に入り込み、確かめるように歯茎を、そして怯えるあたしの舌をなぞる。

「ん…む…」

言葉にならない声がかすかにもれ、意識が少しずつ蕩けていくのが自覚される。
やっぱりこの人、半端じゃない。

もう、観念するしかないみたいだった。

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「ん…っ」

長いキスの末にようやくあたしの口から這い出した舌が、耳たぶや耳の奥、そして
首筋などを確かめるように蹂躙していく。ゾクゾクとした快感が何度も全身を走る。
だけど、さすがにこんな程度の愛撫で堕とされるほどあたしは脆くない。その事は、
他ならぬ吹雪さんがよく知ってるはずだ。これで「特訓」にはなり得ない。

「…ふふっ。」

と、ほとんど声を上げないあたしを見た吹雪さんが、悪戯っぽい笑い声を上げた。
何?奥の手でもあるの?悪いけど、そう簡単には…

「じゃ、そろそろ本番と行きましょうか。」
「えっ?」

本番って何?

疑問に思う間もなく、吹雪さんはベッドの足元側へと移動した。
ほどなく、ピッというかすかな音と共に下半身の締め付け感覚が消失する。
パンティの側面を切られて脱がされたのだという事実は、嫌でも理解できた。
ああもう!お気に入りだったのにぃ!!
やる事が決まってるんなら、いっそ拘束する前に脱がせておいて欲しかったなぁ!!

だけど、そんな不満を悠長に考えられたのもそこまでだった。

「いくよ。」
「え…あうっ!!」

丹田の上にあるツボを二本の指で同時に押され、あたしは思わず声を上げた。
これ知ってる!…吹雪さんも知ってて当然だけど、何で今押すの!?

「あ…ああぁ…」

一気に股間が熱くなり、自分の意思とは関係なしに陰核が膨張を始めたのが判る。
すっかり忘れてたけど、これは女人棒をなかば強制的に作り出す特訓用のツボだ。
自分で出来るようになるまでに、何度もお婆ちゃんに押されて恥ずかしい思いをした。
元に戻すツボがないから、いつも出したのを引っ込めるのにすごい苦労してたっけ…

って、思い出語りをしてる場合じゃない!!
すっかりそそり立った女人棒は、拘束された姿勢のあたしからも見えた。
こんなものを無理やり出させて、一体何をしようと言うんだろうか。

「何を…んッ!!」

チュッと音を立てて女人棒の先端にキスをされ、あたしはビクンと痙攣した。
そんなのアリ!?
確かにこれは陰核だから、そういう刺激にはとっても弱い。ある意味、弱点でもある。
だけどこれは、いくら何でもズルい。特訓と言うより一方的な快楽の拷問じゃない!!

お前が言うなと言われそうだけど、淫術使いの修行は切磋琢磨してこそ意味がある。
身動きできない状態で嬲るなんて、修行でも何でもない暴挙だよ!
そんなの、プライドの高い吹雪さんらしくないよ!!それ…

「さあて、それじゃあたしも気合い入れましょうか。」
「え?」

体を起こした吹雪さんは、慣れた手つきであっという間にブラとパンティを脱ぎ去った。
膝立ちになったその裸身は、ちょっと胸が慎ましいけど相変わらず美しい。
ここで脱ぐって事は、もしかして…

「いくよ巫女ちゃん。」
「ほ、本気!?」
「もちろん。」

あたしの腰の上に馬乗りになった吹雪さんは、自分のアソコを指でそっと開いた。
そのままゆっくり、迷う事なく身を沈めていく。
なおも勇ましく屹立している、あたしの女人棒めがけて。


ズプッ!

「ああああっ…!」

小さな音を立てながら、吹雪さんのアソコがあたしの女人棒を少しずつ咥え込んでいく。
彼女には以前にも挿入した事があったけど、あの時は手加減なしの本気の勝負だった。
こんな身動きもできない状態で犯されたわけじゃない。その事実が余計に体を熱くする。

「んん…やっぱり凄いわね。油断すると持っていかれそう。」

すっかりあたしを奥まで迎え入れた吹雪さんは、さすがに少し顔が上気している。

「巫女ちゃん大丈夫?苦しくない?」

何だか見当違いな心配をされちゃってるけど、指摘する余裕はあたしにはなかった。

「あんまり…動かさないで…あ…」

うっかり喋ると、それだけで振動が結合部から伝わってくる。
きゅうきゅうと締め付けてくる膣の内壁の感触が、否応なしにあたしの女人棒を苛む。
悔しいけど、やっぱり吹雪さんも稀代の名器の持ち主だ。

「動いちゃダメなの?うーん、それは残念…。」

え?…動かないの?
苦し紛れの要求があっさり受け入れられ、あたしはちょっと毒気を抜かれてしまった。
って言うか、この体位になって動かなかったらどう収拾つけるの?

「でも心配しないで。」

そう言ってニッと笑った吹雪さんの悪戯っぽい表情に、あたしはまた嫌な予感がした。
この人、とにかくこっちの想像の斜め上を攻めてくるから…

「このまま動かずに、思いっきり苛めてあげるから。じゃあ、覚悟はいい?」
「な、何?ちょっと待っ…」

次の瞬間、あたしの思考は恐怖に塗りつぶされた。
笑ったままの吹雪さんの目が赤く光り、汗ばんだ裸体が異形のものに変わり始めたのだ。

言うまでもない、色魔への変身である。

上半身のあちこちから突起が生え、緑色に変わった体が一回り大きく、たくましくなる。
慎ましかった乳房が大きく隆起し、さらにはその真ん中から3つ目が出現して仲良く並ぶ。
全く笑顔を崩さないまま、その口は耳元まで大きく裂けて牙を生やした。

あたしは、ひたすら戦慄した。
彼女の色魔の姿をよく知っているからこそ、今の状況の危険さが嫌というほど判ったから。

この姿になった時の彼女の股間は、確か肉厚な唇に変化したはずだ。文字通りの陰唇。
長い舌と鋭い牙を併せ持つ、男性にとってはまさに悪夢としか言いようのない恐ろしい姿。
そんな彼女の股間はまさに今、ペニス状に肥大したあたしのクリをすっぽり飲み込んでる。
こんな体勢のままあの姿になられたら、あたしは…

食い千切られちゃう!!
そんな事になったら、下手すると激痛でショック死しちゃう!!

「た、助けてえっ!!…許して吹雪さん!!」

身動きできない事も忘れ、あたしは取り乱した。お腹の上で変身を続けている吹雪さんに
泣きながら命乞いをする。

「お願い許して!何でも言うこと聞くから、それだけは許してぇ!!」
『何でも?ホントにぃ?』

エコーのかかったその何気ない声に、あたしはふと我に返った。
恐る恐る目を向けると、恐ろしげな姿に変わった吹雪さんが面白そうに見下ろしている。
殺意も害意も持ってないのは、変わり果てた顔になっていてもすぐに判った。

『情けないわねえ巫女ちゃん。こんな事で取り乱してどうすんの?』
「え…だって…」

急に恥ずかしくなると同時に、また体が熱くなってくる。
…こんな異常な状況で取り乱すなと言われても、あたしには無理だよ…!

『大丈夫だって。舌の口に牙は生やしてないから。ホラ感触で判るでしょ?』

そう言った吹雪さんが、クイッと軽く腰を回した。

「んっ!」

思わず体が竦んだけど、何かが刺さるような痛みは確かにまったく伝わってこない。
むしろさっきまでより温かくて柔らかい内壁で擦られ、声が漏れるのを抑えられなかった。

チラッと目を向けると、確かに吹雪さんのアソコは見覚えのある大きな唇に変化している。
それがあたしの女人棒をすっぽりと根元まで咥え込んでいる。異様なビジュアルだけど、
つまり下の口でフェラチオされてるみたいな状況だ。…あらためて眩暈がしそうになった。
ある意味ホラーっぽいんだけど、あまりにも異常かつエロティックな光景に昂奮してしまう。
恐怖に冷え切ったはずの体が、あらためて熱く火照り出すのを感じずにはいられなかった。


『ね?気持ちイイでしょ』

勝ち誇ったようにそう言った吹雪さんが、意味ありげに笑いながら顔を近づけてくる。
耳まで裂けた口が開かれたけど、何故か今度は恐怖は感じなかった。何か麻痺してる?
頭がぼうっとするあたしは、開いた口をスッとすぼめた吹雪さんの意図を本能で理解して
自分から顔を寄せ、あらためてディープキスを交わした。見た目怖いけど、やっぱり甘い。
さっきまでとは比較にならないほど長くなった舌が口の中を優しく這い回り、熱い唾液が
生き物のように喉奥へと滑り込む。苦しくなったりむせ込んだりもしない、絶妙の力加減。

長いキスの末、ようやく長い舌が口からそっと引き抜かれる。先端から滴る涎のしずくが
胸元に落ちたのが判ったけど、夢見心地のあたしは気にもならなかった。

『言い忘れてたけどね。』
「…なに…?」
『この姿になったあたしって、体から出るほぼ全ての分泌液が強い媚薬になってるの。』

え?
それってつまり…

『たった今巫女ちゃんが飲み下した唾液も、これから流す愛液も、ね。』
「…えっ!?」

一瞬で意識が引き戻されたけど、もはや後の祭りだった。
喉の奥がカッと熱く火照り、形容し難い痺れが胸の中心からジンジンと広がってくる。

「うぁ…あっ!!」
『もちろん塗るだけでも効果抜群。』

美容グッズの宣伝文句のような事を言った吹雪さんの指が、さっき胸元に垂れたしずくを
ゆっくりと伸ばし、あたしの乳房に丁寧に塗りこんでいく。もちろん、爪は立てず優しく。
内と外からの媚薬責めで、コリコリと弄られる乳首が恥ずかしいほど勃起するのが判る。

「あっ…あっ…あああっ!!」

ぬらぬらといやらしく光るあたしの胸は、甘美な火傷でも負ったかのように熱い。
まるで何かの生地を捏ねるように、吹雪さんの手はあたしの乳房を巧みに揉みしだく。
息が詰まりそうなほどの容赦ない快感に、あたしは身悶えするしかなかった。

『あはっ。そうそうこの乳首。何だか懐かしいわね。』

あたしには分からない事を言いながら顔を寄せてきた吹雪さんが、長い舌を伸ばして
ぬるりと乳首を舐め上げる。たっぷりと唾液を塗りこまれ、あたしの乳首は痛いほどに
尖り切っていた。

「うっ…んん!!ああッ!!」

必死に体をよじろうとするけど、拘束されているせいでそれもできない。手首や足首が
いたずらに痛くなるだけだ。

「お願い…ほどいてぇ…」

自分でも情けなくなるほどの懇願口調だけど、とにかくこの拘束を解いて欲しかった。
逃げる気はない。不意打ちする気もない。ただ、手足の自由だけは許して欲しい。
今さら無理やり抵抗しようなんて考えないから、せめてそれくらいは…

『あ、ゴメンゴメン。もう戒めは必要ないよね?』

言葉にできない理屈を察してくれた吹雪さんに、かろうじてうんうんと頷いてみせる。

『分かった。じゃあジッとしてて。』

そう言った吹雪さんの尻尾がにゅるっと蠢き、ベッドの脇へと伸びていく。ここからでは
ほとんど見えないけど、かすかな音とともに手足の拘束が順に解かれるのが判った。
かなり頑丈に縛ってあっただろうに、器用な尻尾だ。あたしは状況も忘れて感嘆した。
特にうっ血はしてなさそうだけど、とりあえず両手を顔の前に持ってこようと試みる。
と、それを見ていた吹雪さんがあたしの両手首を素早く掴んだ。そして自分の顔を寄せ、
10本の指を小指から丁寧に口に含んでしゃぶり上げる。

「ひゃっ!!」

さっきまでとはまるで違うくすぐったさに、あたしは変な声を上げてしまった。舐められた
指の先がかすかに痺れ、まともに力が入れられなくなっていく。

『逃げたりはしないと思うけど、念のためにね。』

ようやく解放された両手は、そのままパタリと顔の脇に力なく横たわった。

ダメだ。
やっぱりこの状況、あたしは責めに耐えるしかないみたいだった。

『じゃ、ちょおっと下の方を責めるからねー。よく見てて。』
「えっ?…あひゃあっ!!」

じゅるッ!!

卑猥な音を立てて、吹雪さんの陰唇がすぼまりながら女人棒をゆっくり放した。
唾液まみれになったあたしのクリから、かすかに湯気が立っているのが見える。
ひくひくと動くその先端は、あたしが見たいつよりもいやらしかった。

「ああ…あっ!!」

まるでお菓子でも食べるように、大きな陰唇が女人棒の先端だけを咥え込む。
痛みはない。歯や牙が生えていないから、濡れて柔らかい唇の感触だけが伝わる。
ぎゅっと口をすぼめられると、締め付けられた女人棒から電流のような快感が走る。
未知の体験に、あたしは頭がくらくらした。

こんなの、絶対に色摩の吹雪さんにしかできないアブノーマルな性技だ。
どんなくノ一の名器だって、普通は締め付けの強さや内側の感触を競う。要するに、
基準そのものは普通のセックスと同じはずだ。

だけど今のあたしたち二人は、そんなくノ一の常識ですら測れない事をしている。
男性器さながらに勃起したクリトリスを、肉厚な唇と化した女性器が弄んでいる様は、
異様としか言いようがない。

そして、想像を絶するほどキモチいい。

蛇のような舌がぬらぬらとクリに巻き付き、根元から先端まで丁寧に舐め上げる。
真っ赤な唇は、まるで棒アイスを味わうかのようにあらゆる角度から甘噛みしてくる。

棒アイス。
そうだ。
まさにあの感じだ。
だとしたら。

あたしの女人棒は、吹雪さんに溶かされて食べられちゃうのかも知れない。

馬鹿げた考えが、頭の中でぐるぐるととぐろを巻いている心地良さ。
それでもいいと思ってしまうほど、淫らな感触が股間から全身に伝わっている。

「ああ…」

ダメだ。


堕とされちゃう。


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「あっ、あっ、ああああん!!」

もはやあたしは、声を抑える事すらも出来なかった。
実は吹雪さんが部屋に入って来た時、入口の上に呪符が貼ってあるのに気づいていた。
その時は動揺していたから何か判らなかったけど、途中で思い出した。確かあの術式は、
室内の音や振動をほぼ相殺する効果を持っている。
昔は拷問部屋とかで、秘密漏洩を防ぐのに使われてたんだっけ。

そんなものをどうして貼ったのか、今さらその理由が否応なしに判ってしまった。

どんなに声を出しても悶えても、他の部屋の人に気付かれないように…という配慮だ。
これを配慮と言うのかは怪しいけど、とにかく吹雪さんの意図は体で理解した。

声を上げても大丈夫。
カーテンを閉めているから、見られる心配もない。
ニン忍も今はいない。つまりここにいるのはあたしたち二人だけ。

だけど、人払いはこの部屋だけ。他の部屋の人たちは当たり前のように、穏やかな
日曜日の朝を過ごしている。壁一枚、床一枚、天井一枚隔てたその空間で。
窓の外の世界もまた、限りなくいつも通りだろう。

そんな中で、あたしは異形の怪物と化した吹雪さんと快楽を貪り合っている。
淫らな声を張り上げ、髪を振り乱して悶え合っている。

こんなの、おかしくなるなって言う方が無理だ!

いつ玄関のベルが鳴るかも分からない。クラスメートが訪ねて来ないとも限らない。
怖れと背徳感が肥大化する一方で、それがいつも以上に体の内側を熱くたぎらせる。

吹雪さんの流す涎と汗が、ボディローションのようにぬらぬらとあたしの体を光らせる。
あまりにもエロティックなその様は、もはや自分の体なのかどうかも定かでない。

どんどん思考に霞がかかる中で、反比例するように情欲が燃えたぎる。
あたしの上で躍動する色摩の吹雪さんも、じっとりと汗ばんでいるのが見て取れた。
ひと目見れば恐怖を覚えるしかないその姿が、いつしか何よりも蠱惑的に見えている。
不規則に揺れている3つの乳房は、熟れて落ちるのを待つ果実のようだった。

「ああっ、もう…!」

何かのタガが外れたのか、不意に腕に力が戻った。素早く吹雪さんの両腕を捉え、
そのままグッと上体を引っ張り込む。

「えっ?…ああん!」

考えるより先に、あたしは真ん中の乳房にむしゃぶりついていた。
汗にまみれたその先端を口の中で舐め回し、音を立てて思い切り吸い上げる。

『うあっ!み、巫女ちゃぁん!!』

エコーのかかった嬌声が、ますますあたしの中の情欲を刺激する。

色摩の血の影響なのか、怪物じみた吹雪さんの姿への忌避感が完全に消えていた。
不気味なエコーがかかっているその声さえも、あたしの嗜虐心をいたずらに刺激する。
目の前で蠢いているのはもう、愛おしい少女の裸体にしか見えなかった。
股間の女人棒がますます熱く滾り、あたしは3つの乳房を獣のように乱暴に貪る。
汗なのか分泌物なのか、それとも母乳なのか。舐め取る液体は迷いなく飲み込んだ。
媚薬になってるらしいけど、だからどうしたって感じだ。今さらあたしの情欲は止まらない。

『あ…うぁあッ!!』

プシュッ!!

粘っこい水音と共に、あたしたちの結合部から大量の飛沫が飛び散った。もちろん、
吹雪さんの下の口が放った涎だ。その中にすっぽりと咥え込まれたあたしのクリは、
大量の唾液の中で溺れんばかりになっている。皮膚から沁み込む温かな感触が、
さらにあたしの理性の薄皮をはぎ取っていく。

「ああぁ…吹雪さん…ッ!!」

これが、本当の淫術の高みなのだろうか。人間とか色摩とか、そんな上っ面の言葉さえ
意味を成さなくなる。自分が何かなんてどうでもいい。ただひたすら、お互いを高め合う。
汗と粘液にまみれて抱き合うあたしたちの体は、もはや個という認識すらも曖昧だ。
蕩け合い、愛撫し合い、ひとつのエロティックな何かとなり果てて悦び合っている存在。

戻れなくなる。
このまま果ててしまえば、あたしたちは別の領域に達してしまう。
でも、それを怖いとさえ思わない。

あたしは
吹雪さんは

あたしたちは…!


瞬間。

『たっ、助けて…』

絞り出すようなそのひと言が、あたしの中に残る最後の理性を揺り動かした。

だめ。

だめ!
このままイっちゃだめぇぇぇ!!

「ううっ!!」

果てる直前。
あたしは辛うじて、己の中で爆ぜる気を全て女人棒に流し切った。

『あっ…』
「あああああぁっ!!」


そこまでだった。


あたしと吹雪さんの意識は、絶叫と共にぷっつりと途絶えていた。


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「…う…」
「うう…」

あたしたちは、ほぼ同時に意識を取り戻していた。
辛うじて目だけを動かし、時間を確認する。意識の途絶はほんの数分だったらしい。

隣の部屋からか下の部屋からか、とにかくアニメの主題歌らしき音楽がかすかに聞こえる。
あたしたちの痴態には全く関わりなく、日曜朝の時間は穏やかに流れているらしかった。

「…死んじゃうかと思った…」

あたしに覆いかぶさっていた吹雪さんが、辛うじてごろりとあたしの隣に仰向けに転がる。
荒い息をつくその体は、既に人間の姿に戻っていた。

正直言って、どうなって終わったのかの記憶がない。


「…あたしたち、どうなったの?」
「憶えてないの?」
「う、うん…」
「呆れた…」

心底呆れたといった口調で呟き、吹雪さんは大きなため息をついた。だけどさいわい、
怒っているような様子はなかった。

「巫女ちゃん、あなた最後に盛大に射精したのよ。」
「え!?」

しゃ、射精!?
ちょっと待って。女人棒って形はすごく似てるけど、男性器じゃないんだよ!?
射精なんて出来るわけが…

「もちろん男とは違う意味でね。」

あたしの動揺を見透かしたように、吹雪さんは天井を見ながら淡々と続ける。

「高めるだけ高めた体の中の精気を、女人棒から一気に放ったのよ。で、あたしはそれを
まともに喰らったって事。分かる?」
「…な、何となく。」

恥ずかしさと申し訳なさで、あたしの声は露骨に小さくなっていた。

まさか無意識の間に、そんな事をやってしまっていたとは。
言われてみれば確かに、体を突き破りそうになっていた情欲と気を女人棒から解放した。
何とかそうやって、体の制御を取り戻そうとしたんだった。おぼろげながらに思い出せた。

それで正気に戻れたけど、女人棒を咥え込んでいた吹雪さんはたまったもんじゃない。
男性とのセックスにおける「中出し」を公園の噴水とかに例えるなら、あたしがやったのは
大きな間欠泉の蒸気噴射みたいなものだ。普通の女の子なら、まず間違いなく腹上死。
いや、下手すれば下半身がスプラッターに吹き飛んでいても不思議じゃなかった。

色摩の形態になっていた吹雪さんだからこそ、どうにか失神で済んでたんだ。

「…ごめん…」

あやうく友達を殺すところだった。
自責の念が胸に湧き上がり、あたしは唇を噛んだ。

だけど。

「え、何が?」

けろっとした口調で答え、吹雪さんは身を起こした。回復が速いなあこの人…!
あたしはまだ、まともに動けそうにないってのに!

「何がってその…危ない目に遭わせちゃって…」
「いやいや!すっごい修行になったよ?あんな事ができるなんて知らなかったし!」
「そ、そう?」

何だろう。
罪悪感が消えたのはいいけど、憶えのある嫌な予感がひたひたと戻ってきていた。
この人の向学心って、本当に想像の斜め上を行くから…

「よーし、じゃあ攻守交替ね。」
「えっ?」

ますます嫌な予感が。

「ど、どういう意味?」
「決まってるじゃない!」

顔いっぱいに笑みを浮かべた吹雪さんは、迷いなく顔を寄せてあたしにキスをした。
柔らかなその感触に、あたしは予感が的中した事を思い知る。
唇を話した吹雪さんは、やる気満々といった口調で言い放った。

「今度はあたしが女人棒を使う番って事!」
「ああ…」

やっぱりだった。
この人、本当に色んな意味で底が見えない。

「あの、あたし今…力が入らないんだけど…」
「そう?じゃあこのまま正常位でやろう!うん、力抜いててね巫女ちゃん!」
「そういう意味じゃ…ああん!」

ヌプッ!

抗議の言葉など無駄だった。あっという間に膨らんだ女人棒が、あたしを貫く。
尽き果てていたはずの体内の情欲が、再起動でもしたかのように呼び起されていく。


ああもう!
仕方ない、とことんまで付き合おう!

開き直ったあたしは、吹雪さんの慎ましい乳房に手を伸ばして揉みしだく。

「ひゃっ!そうそう、その調子!」

調子いいんだからこの人は!
負けないからね、吹雪さん!!

…………………………


それは、穏やかな日曜の朝の出来事だった。