ジャンルやメディアなどを問わず、魅力ある女性キャラクターたちを
チョイスし、イラストに描き起こして紹介するシリーズ・その2。

手塚治虫氏の代表作をアニメ化した、1986年公開の長編映画『火の鳥 鳳凰篇』より。
主人公、我王の生き方を変えるきっかけとなった女性・速魚です。

己を拒む世の中への憤怒に任せ、悪の限りを尽くす我王。彼に手篭めにされ、強引に妻にされた彼女。原作では我王が傷つけた茜丸の妹を騙るなど
そこそこ行動的でしたが、この映画版の速魚はひたすら寡黙に、影のように我王に寄り添います。結局は猜疑心に駆られた我王の手で殺されますが、
最期の瞬間まで彼を憎まずに慕い続けた眼差しと、あまりにも儚いその正体が、怒りと憎しみに塗り潰されていた我王の心に悔恨と目覚めを呼びます。
哀しい展開ではありましたが、説教臭く改心を求めたりせず、ただ一途に我王だけを見つめていたその姿は、短い登場ながら鮮烈な印象を遺しました。

茜丸を慕うもう一人のヒロイン・ブチが健康的なお色気担当だったのに対し、彼女のまとう空気は文字通りの「」。我王に強姦された(直接描写は無し)
直後の物憂げな寝姿や、裸のまま彼と普通に会話する振舞いが実に扇情的。まさに80年代の「美女」(美少女にあらず)キャラクターの魅力全開でした。